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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ4

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エピソード50-3

・2022年7月4日付

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 ガングートの実力は、ある意味でも知識チートの類で片づけられるような物ではなかった。彼女としてはデンドロビウムのプレイ動画を見ただけなのだが――それだけでスキルが身に付くとも周囲は思いもしないだろう。


 その一方で、ガングートが本当にプレイ動画を見ただけで――あそこまでの動作が出来るのか? その疑問を持っていたのは、一般人ギャラリーもそうだが、ある人物も疑問に持っていた。


『あのガングートと言う人物――本当にARゲーム未経験なのか?』


 ある疑問を持っていたのは、ARメットを装着した状態の山口飛龍だ。彼もガングートのプレイ動画を見て、ふと疑問に思う部分がある。


『あの場合は、ARゲームのエアプレイ勢が本格的に参加したと言うべきなのか、それとも本当に――』


 ARゲームのエアプレイで二次創作の夢小説を書いているというケースは、まとめサイト等で言及されて炎上する事があるのは山口も知っていた。しかし、ガングートのプレイ技術はプロゲーマーと言う事を差し引いても疑問に思う個所が多い。


『ガングートの経歴自体が不明確すぎる。ネット上の情報も参考になる物が少ないのも痛いが――』


 彼女の情報が少ない事は非常に痛いのだが、ネット上にある物が大抵は超有名アイドル商法の炎上ネタに利用されている物か、都市伝説しかない。本当に日本政府が情報を意図的に隠していると言うのか? さすがに――そこまでの規模で隠さないといけない人物なのか、それも疑わしいと考えている。


 

 ガングートのプレイ終了後、彼女はアーマーを外して別のアンテナショップへと向かおうとした。アンテナショップによって、未対応フィールドがあると言うのも大きいのだが。


『ガングート……君は色々と知り過ぎている。だからこそ、日本政府から国籍を抹消された――違うか?』


 自動ドアに近づこうとしたガングートを呼びとめたのは、山口と思われたが――。


「私は異世界出身――日本国籍など知らない」


『あくまでも、話さない気か』


「こっちとしては、厄介事は起こしたくないのだが」


『ソレはこちらも同じだ。それに――』


 ARメットの人物はガングートに向けて、ARウェポンのショットガンを突きつける。しかし、向こうもARガジェットをテロ事件等に使う事が禁止されている事は知っているので、あくまでも威嚇まで。


 その光景をギャラリーは見ていても、運営に通報する気配はない。ARフィールド以外ではARウェポンが実体化する事はないので、ウェポンが実体化している以上は――。


『あちら側の人物が介入するとは、ある意味で予想外だが――それは、越権行為ではないのか?』


 2人の会話に介入した人物――それは、ジャック・ザ・リッパーだった。そして、ジャックが越権行為と言っている人物は、もう一人のARメットをした人物の事だろう。


『そこまで言いますか? 私は、これでもARゲーム課の人間――正しい認識を広めようと言う意味では、あなた方と一緒のはず』


 先ほどの人物の正体、それは鹿沼零だったのである。どうやら、山口に偽装して様々な場所に姿を見せていたのは、彼のようだ。ただし、何処まで介入したのかは分からないが。


『ARゲームを広めようと言うARゲーム課の広報活動は理解できるが――全てを自分達だけで動かそうとし、プレイヤーの意見を無視するのは――』


 しかし、ジャックが喋っている途中で男声にノイズが入り――女性の声に変化していた。これは、一体どういう事なのか?


『越権行為と言うのは、超有名アイドルが自分達の人気を不動のものにする為に、他のライバルをゴリ押しでネット炎上させ、衰退させる――そういう例えですよ』


 鹿沼はジャックが話をしている途中で、何かのシステムを起動させていた。ボイスチェンジャー機能の不具合は、それが原因だろうか。


『ARゲームを広める為に他のARゲームをかませ犬のような扱いにしていない我々を、そういう例えにしている事こそまとめサイトで炎上案件として取り上げられるのは――』


「黙れ! ARゲーム課にも話せばわかるような人間はいるが――貴様だけは例外だ、鹿沼零!」


 ジャックは、不調のボイスチェンジャーをカットし、ARメットのシステムも一部解除した。そして、遂に見せた素顔は――。


「ジャックって女だったのか?」


「その割には、何かおかしくないか」


「確かに。本来のジャック・ザ・リッパーは男性を指す言葉だ」


「性別を偽って、今まで活動していたのか」


「ARゲームに性別は関係ない。重視されるのはプレイヤーとしての力量だ」


 周囲のギャラリーもジャックの素顔を見ても、あまりリアクションの方は薄い。歓喜の声を上げるような人物は、一握りに過ぎなかったのも――ARゲームに容姿は重視されない事を意味していた。


『ジャック・ザ・リッパー、まさか君が女性だったとは――こちらも予想外だったよ』


 デンドロビウムやアルストロメリアの事例もあるし、プロゲーマーのビスマルクやガングートの事例もある。容姿はオッドアイに金髪の美少女でも――ARゲームのアバターを使っている可能性だってあった。


 そう疑えるほどに、草加市はゲームとリアルの境界線が歪んでいたのかもしれない。だからこそのARゲーム課――だからこそのふるさと納税の返礼品、様々な要素がゲームに対する風評被害防止だったのか?


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