エピソード50
>6月21日付
誤植修正:銅立ちまわる⇒どう立ちまわる
・2022年7月4日付
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アーケードリバースには、基本的にシングルマッチは存在しない。シングルマッチと言うよりは、マッチング切断等による補助システム、あるいは店舗専用オプションに限定される。アーケードリバースのプレイ人口が伸びない理由として、マッチングプレイ必須と言うスタッフも少数意見で存在していた。
「マッチング必須は格闘ゲームで対人戦オンリーにしているような物――」
「しかし、対人戦でもマッチングの差が出ないようになっている以上は、問題ないのでは?」
「格闘ゲームだと初心者狩りが問題になっている。FPSでもフレンドリーファイア等の問題があるだろう――」
「どのジャンルでも、全く問題がないというジャンルはない。ゲームバランスの規模に違いがあるが、問題はあるだろうな」
「その括りとは別に問題なのが――チートと言う事か」
「当然だろう。チートは陸上競技などで言う所のドーピングと同じ物。あれを認める訳にはいかないだろう」
周囲のスタッフと思わしき人物のつぶやきも聞こえるが、特にガングートが意識するような事はなかった。ノイズキャンセルの類がARバイザーについている訳ではないので、聞こえているかもしれないが。
結局、ガングートが使用する事にしたのは購入したガジェットの内、ランチャーユニットだった。ランチャーは専用ガジェットで読み取り後、ARアーマーの両肩に装着されたのだが――。
「そう言う事か。威力と引き換えに、機動力が失われるのは――バランスの仕様上か」
ガングートは装着後の数値を確認し、攻撃力と引き換えに機動力が減っている事に気づいた。これが減らなければ、明らかにチートと言われても仕方がないだろう。中には、武装の組み合わせ的に不可能な組み合わせもあるのだが――。
【この組み合わせは――ありなのか?】
【チートの様な組み合わせでなければ、アーケードリバースでは問題ないと聞く】
【組み合わせ以前にチートアプリやガジェットの持ち込みは、明らかに論外だが】
【それでも、あの装備は遠距離特化型――大丈夫なのか?】
【格ゲーのパターンを確立しているような物とか、無限コンボでなければ――問題ないと思う】
【フレンドリーファイアはペナルティが大きいと聞く。あれでは味方も巻き込むだろう】
つぶやきサイトでも、ガングートの装備に関しては三者三様の意見が出ている。それらの意見はつぶやきのコメントなので、ガングートがチェックしているとは限らないが。
ガングートがランチャーユニットを装備した外見は、明らかに艦艇擬人化のソレと似ているのでは――と言う反応もあった。しかし、どの作品なのか特定出来ないのと向こうが意識しての装備ではないので、あまり言及する人間はいない。あのカスタマイズで、そっくりだと言い出したら狩りゲー装備や神話モチーフ等はどうするのか?
細かい所まで権利関係等で縛っていったら、それこそ汎用装備と固定組み合わせ以外はNGと言いかねない。カスタマイズを楽しむというジャンルの場合――明らかにアウトな部類以外は黙認をしている気配がする。FPSの場合、キャラカスタマイズはカラーリングのみと縛っている物もあるかもしれないが。
「あのデザインで確信犯とか言っている連中は――」
ガングートのARアーマーを見てアルストロメリアは、つぶやきコメントに対してバッサリと切り捨てる。アーケードリバースの場合、ガジェットカスタマイズ等は厳重にチェックされているのだ。チートチェックと言う事もあるのだが、それ以上に超有名アイドルの宣伝となるようなカラーリング、装備、マーキングも禁止されている。
それを踏まえて、一部の装備が別の作品とそっくりなだけで禁止にするのもお門違いだろう。その装備がバランスブレイカーであれば、制限や規制を入れる可能性は高いのだが――。
「ARゲームで重視されるのは、ゲームとは無関係な所で炎上させる行為や――政治的要素の介入、それに――」
アルストロメリアが他にも何かを言おうとしていたのだが、その間にガングートと他のプレイヤーのマッチングが成立していた。もうすぐバトルが始まるようである。レベル的には周囲のプレイヤーがガングートよりも上だろうが、技術はガングートの方が上だろうか? その状況下で、ガングートはどう立ちまわるのか――注目する部分は、そこにあった。




