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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ4

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エピソード49-3

・2022年7月3日付

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 8月18日、昨日には様々な事件がまとめサイトに載るような状態となっていた。その状況をカオスだと言う者もいれば、地獄絵図と例える人物もいるだろう。これでも怪我人等が出ていない事が奇跡と言えるのかもしれない。


 ARゲームで未熟な腕でのアクロバットや運営が意図しない危険なプレイは行ってはいけない――と明言されている。しかし、プレイヤーは有名になる為には動画サイトにあるようなスーパープレイをすれば目立てるだろう――と浅はかな考えをするだろう。こうした浅知恵がARゲームを排除すべきコンテンツと芸能事務所側がマークし、自分達が正義だと明言して排除しようとする。


『結局、炎上マーケティングは繰り返される。やはり、規制法案が必須なのか――』


 草加駅周辺には様々なギャラリーに混ざって、マスコミが――と言う事はない。マスコミの方は、今頃のタイミングだと横浜だろうか。超有名アイドルのライブが行われている事もあって。周囲を見回してマスコミではなく、炎上系まとめサイトの管理人を目撃してため息を漏らすのはジャック・ザ・リッパーである。


『規制をした所で同じような事を繰り返す人物がいれば同じだろう。それに、芸能事務所側が都合よく書きかえるのも目に見えている』


 唐突にジャックの隣に姿を見せたのは、スレイプニルというARバイザーを装着した謎の人物だ。スレイプニルと言う名前自体は、あまり聞かないような気配もしたが――アーマーの色を見て、ジャックは何となく察する。


『青騎士便乗か。そう言う事をすれば――どうなるか分かるだろう』


『そうか? 便乗しているのは――向こうだと思うが』


 ジャックはスレイプニルの何か引っかかるような一言を聞き、まさか――と考えた。この人物は便乗青騎士ではない。おそらく、ネット上でも言及されている本物の――。


『お前は――一体、何を考えている?』


 ジャックが声のした方へ振り向き、ARガジェットのソードライフルを構えるのだが――既に、人影がない。ステルス迷彩の類でも、ARバイザーのシステムをオフにすれば人影を見る事は可能だろう。そして、ジャックは正体バレを覚悟の上でシステムを切る。


「いない――!?」


 システムをすぐに切った後でシステムを再起動するにも、若干のタイムラグがある。ラグなしの物もあるが、それは新型だったり――特殊ケースに限定されるだろう。ジャックが若干の顔を赤らめているのは、システムを切った際に自分の姿が大多数の人間に目撃されただろう――と言う事に対して。


『なんてことだ――』


 わずか10秒だが、ジャックとしてはあまり見せたくない光景――それを晒してまでもスレイプニルの姿を見つける必要性があった。スレイプニルが青騎士ブルーナイトの便乗ではなく、正真正銘のヴィザールとしての青騎士である可能性も否定できないから。ただし、彼女の巨乳と巨尻をわずかなタイミングでスマホ等で写真に収める事は無理ゲーである。


 何故かと言うと、スマホの部類がARゲームの展開されているフィールドでは使い物にならない事は――皆も分かっているから。それでも運よく拝めたような人間がいるかと言われると――残念ながら、存在しないだろう。


 ジャックが顔を赤くしていたのは、素顔の方も晒された為である。ARシステムをカットすると言うのはARメットの機能もシャットダウンする事を意味していたから。巨乳と巨尻だけで誰かを特定するのも、コスプレイヤー等も姿を見せる草加市内では至難の業だ。素人コスプレイヤーを1000人以上把握しているような人間でも、ジャックの本名まで割り出すのは――お察しください。


 スレイプニルの行動が表面化したのは、ジャックが遭遇したこれ限りである。敢えて言えば、この段階で表面化した――という意味で、だが。



 スレイプニルの動向を調べていたのは、ジャックだけではない。


「最近、青騎士見ないな」


「便乗が捕まっているという事で、下手に名乗らないだけじゃないか?」


「自分は悪い事をしていない。堂々と名乗ればいいんじゃないのか?」


 ギャラリーの声を聞き、アルストロメリアはノーリアクションで彼らと距離を取りつつ素通りする。何故、素通りするのかは――彼らがいわゆるチートプレイヤーだと言う事が丸わかりだったから。そして、アルストロメリアはARガジェットに表示されているアプリのボタンを押す。


【チートプレイヤーを通報しますか?】


 表示されたメッセージを確認する事無く、彼女は【はい】のボタンを押した。強く押したとしてもすぐに駆けつける訳ではないので――感情は押し殺している訳だが。



 それから数分後、該当するギャラリーは自分達が何をしたのか分からないまま、ガーディアンに拘束される。その理由がチートガジェットの所持だった事に気づいたのは、ガーディアンに拘束されてからガジェット検査を受けた時だった。


 ここまでハイスピードにチートプレイヤーを摘発できるのか――と言われると、実は違う。アルストロメリアは密かにふるさと納税を多く支払っている事を理由に、アーケードリバースの運営にアイディアを送っていたのだ。そのアイディアの一つがチートガジェットの通報システムである。


 当然、プレイヤーであれば知っていて当然なシステムだが――そこまでガイドラインを読むようなプレイヤーもあまりいないので、読み飛ばされる落ちだ。アルストロメリアとしては、アーケードリバースをプレイするのであれば熟知していて当然――と考える。


「桶は桶屋――チートガジェットはガーディアンに」


 アルストロメリアは、この手法を使って全体の2割に該当するチートプレイヤー摘発に貢献していた。これを一種の密告と見るべきなのかは――プレイヤーにゆだねられるだろう。


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