エピソード45-7
・2022年7月3日付
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午後2時15分、草加駅から電車で移動を考えていた橿原隼鷹は移動を断念し、アンテナショップを巡っていた。そして、ある物を探しまわっていたのである。その探している物こそ、あの時にスタッフの一人に見せた――。
【新日常系拡張現実シリーズ】
厳密には、該当シリーズの一つと言う事なのだが――その作品名が書かれている部分は橿原が手でジャケットを持っている為か、タイトルは確認出来ない。
「このシリーズで間違いはないのだが、別の作品――なのだろうか」
橿原はDVDだけではなく、小説の方も探している。WEB小説であれば、該当サイトで探せば済む話なのだが――。彼の表情は若干の焦りを見せているような印象であり――発見できないと手遅れになると言う様な印象を周囲にも抱かせる位だ。
ヴィザールが動きだした事はネット上でも拡散されたのだが、そちらよりもガングートの方がトレンドらしく――あまり見向きはされていない。逆に、それが彼にとって都合のよい事なのかもしれないのは――あまり知られていないだろう。
「今はアルストロメリアの行動を探る方が優先か――真相は別として」
アンテナショップで休憩をしていたデンドロビウムも、今回のアルストロメリアの行動は急ぎ過ぎと感じている。チートでもないようなプレイヤーまでチートと称して狩る事は――明らかに魔女狩りのそれと同じだ。まるで、夢小説を書いている勢力であれば題材がどうであれ問答無用に刈り取り、後から全部を芸能事務所Jの夢小説を書いたというレッテル貼りをすれば――。そう言った事が起きたのが、あの時の超有名アイドル商法を巡る炎上マーケティングであり、芸能事務所AとJのやり方である。その勢力の商法を別の形で訴えようとしていたのが――あの作品だった。
「まさか、アカシックレコードとは違う場所から発見出来るとは予定外だが――」
デンドロビウムが見ていた小説サイト、そこには様々なジャンルの小説が投稿されている。一次創作オンリーと言う事で、超有名アイドルファン等が来ない事もあって――あまり荒らされているような様子はない。しかし、ランキングには二次創作と思わしき作品もランクインしており、別の意味でも無法地帯と言われる可能性は否定できないだろう。
同時刻、草加市役所に一人の男性が姿を見せる。ARメットを被っており、素顔は見えないのだが――。本来であれば市役所や銀行の様な施設ではARメットはガードマンに止められるだろう。しかし、彼は入口にいた警備員にある物を見せる事で、自分の身分を証明した。
「失礼しました。ゲーム課の方ですね――」
疑っていた警備員の一人が、自分の非礼を謝っている。どうやら、彼はこの人物が不審人物と思っていたらしい。身長が180位の高身長の為か、そう思うのは不思議ではないだろう。ARメットも考えようによってはフルフェイスと同じなので、この判断は間違いではないが。
『君の様な判断をするのは正しい。下手をすれば、強盗犯を市役所に入れるような事もあり得ただろう』
非礼を謝っていた人物に対し、彼の方は落ち着いて対応している。確かに特例としてARメットの着用は認められているのだが、あくまでも身分証明書の提示が必要なのは間違いない。その証明書も偽造されてしまえば、大参事も――。
『私が来た以上は、不正プレイヤー問題を無視する事は出来ないだろう。それに、炎上マーケティングやタダ乗り便乗も許せるものではない』
彼の名は――鹿沼零、別のARゲームに関しても企画をしていたのだが――ロケテストが思わぬトラブルで打ち切りとなり、草加市役所へと戻って来たのである。しかし、彼がロケテストの会場にいたのは数日前の話であり、今日の話ではない。それに――。
『あの時のエラーメッセージは――どういう事なのだ』
鹿沼は武者道の関係者と会う為に、とある場所へ向かったのだが――そこに彼はいなかった。そして、あの場所で――。




