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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ3

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エピソード45-3

・2022年7月3日付

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 施設の奥に関しては周囲が壁だらけで何も見られないと言う訳ではなく、特殊なプレートで守られていた。ガラス的なものではなく、文字通りのバリアと言うべきか。ある意味でも地震対策等を考慮しているようにも見えた。しかし、洪水や地震の時にもARゲームをプレイするような不謹慎な人間がいるかと言われると――否定はしたいが、全くいないとは言い切れない。


 その一方で、ARゲームの技術に関して災害や事故を未然に防ぐ為の訓練等に使用する等のケースは存在するらしい。つい最近では、災害現場を想定した訓練で大型ARアーマーが使用されていたケースが取り上げられた事もある。大型ARアーマーに関しては、重機クラスの巨大な物も存在するので――例外中の例外なのかもしれないが。


「殺風景と言うには――若干違うのだろうが」


 橿原隼鷹は壁の矢印に案内されるかのように進むのだが、特殊プレートで隠された部分は見る事が出来ない。おそらくは、ボタンひとつで換気が出来るようなシステムかもしれないが、下手にサーバーを見せるとセキュリティ的な問題があるのだろう。秋葉原のサーバーも非公開の部分が多いので、この辺りはお互い様か?


「それにしても、何処まで歩くつもりなのか?」


 5分は歩いただろうか? しばらくすると、目の前には自動ドアらしき物があったので、ここが目的地なのだろう。そのドアは自動ドアだった為、ドアに手を触れる事無く――扉は開いた。



 橿原の目の前には、複数のサーバーが置かれており、それら全てがARゲームで使用されていると思うと驚きである。もっとサーバーの数は少ないと思っていただけに――自分の考えが別の意味でも無駄だったような気分だ。


『まるで、ソーシャルゲームのサーバールームと同じと思っているだろう?』


 橿原の前に姿を見せた人物、それはARメットで素顔を隠しているのだが――ARスーツを着ている訳ではないので、誰なのかはバレバレである。その人物とは、山口飛龍であり――この場所の正体は武者道のARゲーム支部とも言うべきサーバールームだったのだ。


 他のメーカーもサーバールームを松原団地等に持っているのだが、草加駅にも近いような位置にサーバーを持っていたのは武者道と一部のみ。ARゲームの運営本部と同じ場所に――と言うのが色々とアレなのだろうか? 諸説ありそうだが、橿原はあえて言及しない事にした。下手に言及すれば、こちらの企業機密を離さなければいけなくなる可能性もあったからである。


「ここを見せた理由は、単純に言えば情報交換と言う訳ではないのだろう?」


『ARゲームの技術自体、開かれた状態での公開が前提となっている以上――交換条件ではない』


「情報交換でないと分かっているのならば、話が早い――」


『アーケードリバースの誕生経緯を知りたいのであれば、無駄な話だ。あれは――まだ真相を公開するタイミングではない』


「つまり、こちらが何を言っても答える事はないと?」


『そう思っていただければ助かる。こちらとしても――あの情報を知られる訳にはいかないのでな』


 あの情報と言われて、橿原は察した。やはりというか、アーケードリバースに関係したスタッフは芸能事務所AとJに対して――。しかし、橿原としても土産話もなしに変えるわけにもいかない事情がある。


「過去に秋葉原で起きた事件――超有名アイドル事変は知っているか?」


 一か八か――橿原は賭けに出た。これで何も出てこないようであれば――手がかりなしと言うべきかもしれない。


『超有名アイドル事変か。それこそ芸能事務所がネット上で宣伝に利用しているだけのマッチポンプではないのか?』


「マッチポンプ――?」


『こちらも後に分かった事だが、これに関係した人物が草加市に現れたらしい』


「関係者――だと?」


 まさかの展開には橿原も驚く。山口の方は表情を変えるような気配がなく――と言うよりは、素顔が見えないので表情不明とか言ってはいけない。


『ガングートと言う人物は知っているか?』


 山口の言うガングートと言う単語に、橿原の反応は薄い。むしろ、ガングートと言う名前を、このタイミングで聞く事になると言う事に――。


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