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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ3

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エピソード45-2

・2022年7月3日付

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 8月11日午後1時、橿原隼鷹が向かった場所――それは予想外の場所だったのである。そこはARゲームとは無縁とも言えるようなビルであり、ビル以外では周囲に太陽光発電パネルや水力発電の装置なども――。ここの正体に関して、橿原は何となくだが知っている。過去に訪れた事はないのだが、施設の外見を見る限りでは類似案件を知っていた。


「太陽光発電に風力発電――更には水力発電まであるのか」


 橿原は周囲の設備を見て驚きの声を上げるのだが、これらの発電で得られた電力が草加市の9割強を賄えるレベルなのは気づいていない。秋葉原でもARゲーム用にサーバーの電力等を太陽光や風力発電で何とかしようという計画があり、一部で試験運用されている。しかし、草加市の様な大規模な物は実用化できていないのだ。


「果たして、内部には何があると言うのか――」


 橿原の目の前にある施設、そこには【ARゲームメインセンター】と書かれていた。この施設こそ、ARゲームの総本山なのである。厳密には草加市内のARゲームの運営本部と言うべきか。秋葉原にも支部がいくつかあるのだが、ここが秋葉原や北千住にある支部の本部ではない。あくまでも、草加市内のARゲームのアンテナショップ等を管理していると言うべき場所なのである。


 この施設に関しては、関係者以外立ち入り禁止の類ではない。ARゲームのプレイヤーであれば、施設を使う事も可能なのだ。温泉施設、着替え専用ルーム、ガジェット修理施設、テストプレイ専用フィールド、更にはゲームの歴史資料等――様々なゲームを集めた施設と言える。


 ただし、ゲームセンターと違って、フードコートはエリア外に併設された施設と若干隔離されている印象だ。それに――施設内では禁酒禁煙、更にはARゲームプレイヤー以外は入る事が出来ないという徹底っぷりである。


 フードコートは誰でも利用できるが、それ以外は別のアンテナショップでARゲームのアカウントを取る必要性があるのだ。そこが若干の手間である一方で、マナーの悪いプレイヤー等がいないと言う事で歓迎されている部分もあるようである。



 橿原が入って行った施設は、本来であれば関係者以外が入る事の出来ないサーバールームへと続くエリアに該当していた。普通であれば、警備員に止められるのは確実である。しかも、このエリアの警備員はARガーディアン並の重武装――。


 実際、一般人やアイドル投資家等が該当エリアへの侵入を行おうとした所、逮捕されたという話もある。そうした話が拡散しないのには、別の理由があるのかもしれないが――口止めの類ではないのは確実らしい。


「ARガーディアンが配備されているのは聞いていたが、アキバガーディアンよりも武装が凄い事になっている――」


 橿原は彼らの装備に驚きつつも、呼び止められる事がない事には逆に驚いていた。普通であれば不審者はガーディアンが即反応するような気配もするのだが、橿原が呼び止められる事は全くない。まるで、彼をここへ招待しているかのように――。


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