エピソード34
・2022年6月30日付
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7月24日、一連のSNSメンテナンスに関する詳細が明らかになると思われた矢先――。
【複数の芸能事務所でサイトの閲覧できない状態が続く】
まさかのニュースが拡散することとなった。昨日の事件に関係しているかは不明だが、芸能事務所のサイトがサーバーダウンで閲覧できないとの事らしい。おそらく、一連の事件で逮捕された芸能事務所のプロデューサーが――と言う事らしいが、詳細は明らかになっていなかった。
その状況下でネットが炎上している為、どう考えても主導しているのはまとめサイトやネット炎上勢力と考えてもよいだろう。このネット炎上勢力は、芸能事務所が手配した物――つまり、マッチポンプだと言う説が非常に大きい。実際、数年前にも同じような事件は起き、WEB小説でも『予言者』と言われた作品が存在した事も――記憶に新しいからだ。
今回の案件に関して、ネット上では悪質な釣りと言う意見が相次いだ。それもそのはず――逮捕された芸能事務所のプロデューサーが、実は別の大手超有名アイドルの所属している事務所の社長とも言えるような大物だった事も理由の一つだろう。
その為、大手芸能事務所が金の力で自分達に邪魔なコンテンツを次々と終了させ、超有名アイドルが神コンテンツになるようにネット炎上を誘導する――。ある意味でもネット社会になってから変化した現実とも言えるだろう。まさに非日常の世界その物であり、新日常系とも言われるような作品で小説化してもおかしくない状態だ。事実は小説よりも――と言われるが、まさに現実化してしまった事件と言えるのかもしれない。
一連のまとめ記事を調べていたのは、山口飛龍だった。他にも調査しているガーディアンはいるのだが――表向きに調査しているのは彼一人と言ってもいいだろうか。
「芸能事務所が自分達のコンテンツで日本経済を復活させる事が出来ると言う慢心が――ネット炎上を生み出すような事件に発展した」
山口はアンテナショップ内のフードコートでタンブラーに入ったコーヒーを片手にサイトの記事をチェックしている。チェックしていると言っても、アンテナショップでアクセス不可に指定されているアフィリエイト系大手まとめサイトではなく――ARゲーム公式のニュースだ。
信用できないような煽りやネット炎上を呼ぶだけの記事は、ARゲームでも使用されている高性能AIによって排除されている。何故に排除されたのかは不明だが――まとめサイトの記事を不要な記事と判断したのかもしれない。
「やはり、繰り返されるのか――」
山口が思うのは、数年前の超有名アイドル商法や芸能事務所によるゴリ押し、その他多数の――。思う所があったとしても、下手に口に出したとしたら炎上案件になるのは避けられないし、これを巡って大規模なテロに発展しかねないだろう。過去にあったARゲームを巡る事件では、数万人規模の怪我人が出たという噂もあるとか――。ただし、これらはアカシックレコード上のフィクションかもしれないが。
「どちらにしても――これがトリガーになって、新たな事件が発生するのは容易に想像できるだろう。それを防ぐ為には――」
一連の超有名アイドルを巡る事件は、ある意味でも世紀末を連想させる物として――このニュースが表面化する事はなかった。それこそ、一種の黒歴史として片づけられている案件と言えよう。山口も直接目撃した訳ではないが、ワイドショーで何かを煽るようなニュースになっていたのは分かっていた。つぶやきサイトでもフィクションをフィクションと判別できないような人間が、ネット炎上を誘発する。
チートガジェットに関しても最新型の様なものでない限りは、データが更新されるようになり――持ち込み厳禁になるようなシステムが確立された。こうした情報はデンドロビウムやチートハンターが集めてきたデータが貢献していると言ってもいい。
「ARゲームには多種多様なゲームがあるのは分かるのだが、それらをひとまとめに――」
「全ジャンルをフォローするのも難しい話だろう。数ジャンルに絞り込むべきだ」
「アーケードリバース以外に、新たなふるさと納税の対象を増やすべきでは?」
ふるさと納税の話がARゲームの運営サイドから出る事も珍しいのだが、それ程に一連のシステムが認められつつある事だろうか。その一方で、使途不明金が出た際にどういう対応を取るべきなのか――という議論もされていた。
残念ながら、こうした会議は全て非公開で行われており、公式では公表される事はない。しかし、このような企業機密の情報をネット上に公開し、まとめサイトとして炎上前提で取り上げる集団もいた。だからこそ――こうしたチート勢力を根絶しなければ、コンテンツ流通は超有名アイドルの独占する世界となる――と断言する人物や過激派が出現し、負の連鎖が繰り返される事になるだろう。
チートガジェットを狩る勢力は、こうした情報が外部に流出する事に危機感を募らせている。下手に海外へ流れ、そこで軍事兵器に転用されたら――と言う話だ。こうした話はネット上でも滅多に目撃される事はなく、テレビでも触れられない。軍事兵器にARガジェットやARゲームに使用されているノウハウが転用されれば、それこそ地球終了のお知らせである。




