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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ2

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エピソード28.5

・2022年6月28日付

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 過剰な規制、それが逆に炎上商法を誘発しているのではないか――それはネット上でも言われている事である。ARゲームには元々のガイドラインでも『悪質商法の禁止』と言う一文があった。それは、あくまでもオレオレ詐欺や振り込め詐欺と言う様な警察沙汰になるような商法と言う意味を持つ。悪質商法にネット炎上を利用した炎上商法やRMTリアルマネートレードのような物、転売ヤー等――。


 こうした勢力も悪質商法と同種という定義をしたのは、一部のARゲームジャンルだけだ。それ以外のジャンルは無用な炎上を極力避ける事をプレイヤーに呼びかけたり、それこそ性善説を信じていたレベルとも言える。アーケードリバースは、プレイヤーのモラル向上等を目的としてネット炎上を禁止しており、どちらかと言うと性善説は信じない方向かもしれない。


「押しつけの様な方針は――それこそ炎上商法と変わりないと思うのだが」


 一連のネット上にある記事を見ていたのは、山口飛龍だった。彼も人間が超有名アイドルの芸能事務所が所持する駒――という考え方は間違いだと考えている。そうした考えこそ、ネット炎上や歪んだコンテンツ市場を生み出す――そう考えているのだ。だからと言って、草加市の考えているコンテンツ流通を全て問題がない――とは全く思わない。


「何を始めるにも、賛成派と反対派がいるのは当然であり――その対立があるのも仕方がない。しかし、芸能事務所が全てを手中に収め、それこそ――」


 山口は何かの言葉を続けようとしたのだが、そのp途中でメールの到着を知らせる着信音がARガジェットから鳴る。別のARゲーム中継を見ていた山口だったが――テレビの電源は切らず、そのままテレビは流し続けた。


「――なるほど。あのテレビ局は、草加市が設立した訳ではないのか」


 山口の元に届いたメール、それはARゲームの中継を配信しているテレビ局の事である。このテレビ局が無断で配信するようなゲリラ放送局ではない事を、番組途中で流れるCMで把握していた。 そして、ソレとは別に気になる部分もあった為に――スタッフの何人かに調査を依頼していたのである。


【あのテレビ局は、草加市ではなく足立区にあったテレビ局が草加市に中継局を作った物であり――】


【ARゲームを専門とした衛星放送局とは全く違う系列の模様――】


 メールの内容を確認した山口は、交渉の余地がある事を確認した。これならば――アーケードリバースにスポットライトを当てる事も可能だ、と。



 草加市役所、その会議室ではふるさと納税の一件を含めて、会議が行われていた。会議に参加しているのは市役所職員も数名いるのだが、基本的には外部スタッフが参加している。その中にはふるさと納税を収めている納税者も数人、会議の傍聴をする為に姿を見せているのだが――。


「今回は、特定のユーザーによる転売についてです。お手元の資料をご覧ください――」


 会議室中央に姿を見せたのはメガネをかけた男性スタッフである。彼はARゲームの運営スタッフの一人だが――名札等は付けていない。普通であれば、彼の名前が分かるような資料も配布されるはずなのだが――それも用意されていなかった。


「ふるさと納税の返礼品が転売に――と言う話は、数年前にも議論された事。それを今更――」


「あの活動報告が転売されたとしても、そんなに高額になるとは思えませんが」


「返礼品の転売は超有名アイドルファンのごく一部、それも芸能事務所から報酬を受け取っているような――」


 傍聴席の方から声がするのだが、男性スタッフは手を叩いて静かにするように求めた。


「今回の一件には芸能事務所は無関係です。我々が相手にしているのは――もっと別の存在です」


 彼の目が真剣になった。その目つきを見た傍聴席の人間は、黙っているしかなかったのだ。それ程の威圧感が――会議室に漂っている。


「今回、転売されたのが会議の報告書であってARガジェットではない――と言う段階で違和感を感じました」


 男性スタッフは周囲を見回しつつ、手元の資料であるタブレット端末にダウンロードされた資料をめくっていく。


「報告書であれば、売店などでも市販バージョンが売られています。それが転売されているケースもあるのですが――」


「問題なのは、ふるさと納税の返礼品である活動報告書が売買されている点です」


 次のページを傍聴席の人間がめくると、そのサイトは一般的なオークションサイトやフリマアプリとは違うサイトが事例として挙げられていた。そのサイトとは――簡単に言えば、軍事兵器を扱ったサイトである。


「これでは、ARゲームが本当の意味でガイドラインで禁止されたデスゲームを解禁する事になり――地球滅亡待ったなしの状態になる!」


 彼の力説は――冗談半分にも聞こえるのだが、その危険性は何度も同じような事件が起きた事が証明となっていた。ARゲームであっても、事故が100%起きないとは言えない。怪我人も禁止されたアクロバットプレイをした事による物が多いのだが――。下手をすれば、ニュースで大きく取り上げられそうな事件が起こる事もゼロではない。


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