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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ2

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エピソード28

・2022年6月28日付

行間調整版へ変更

 午後2時、その動画を見たプレイヤーは誰もが驚いたと言う。


【あれが初心者とは思えない】


【近距離武装だけに近いチームが勝つとは――予想外にも程がある】


【しかし、近距離メインのランカーやプロゲーマーもいる。近距離が最弱とは思えない】


【だが、中距離が一番有利と言われていた状況を覆すには、今回のバトルは間違いなく――】


【遠距離武装でも接近されれば何も出ない。この流れも一時的なものにすぎないだろう】


【ゲームバランス調整が入るのは高いと思うが、それは中距離のプレイヤーが多くなりすぎた事が理由ではないのか?】


【中距離が絶対的に強いというパワーんがまとめサイトで取り上げられたのが、中距離が爆発的に増えた原因だろう】


 つぶやきサイトや動画のコメントでも様々な声があるように、プロゲーマーやランカー、その他のアーケードリバースに関係する人物も無関係ではなかった。ゲームバランスが運営を行うに厳しいものであれば、調整が入るのは確実かもしれないが――。


「たった一人のプレイヤーが、ゲームバランスを左右してしまうほどの影響力を持つとは思えない。どうせ、ネット炎上やまとめサイト等のネタに利用されるだけだ」


 今回の動画を冷静に見ていた人物は多くいるのだが、状況が状況だけに落ち着いていられなかったのはジークフリート――。


「しかし、こうなってくれるとはかえって好都合だ。調子の乗っている天狗のコンテンツには、超有名アイドルが介入しての――」


 迂闊な事を言ったばかりに、彼は通りかかったプレイヤーの一人に通報され、あっという間に逮捕された。その理由はネット炎上を誘発しようと考えた事による――ネット炎上罪。


 しかし、ネット炎上罪と言うのはネット上で便宜的に使われている名称にすぎず、本当は別の名称があるようだが――それを口に出そうとはしない。


【ここまで都合よく、摘発するような世界になるとは】


【下手をすれば、超有名アイドルファンは――ありとあらゆるものを破壊出来ると言う話だ】


【それこそ――】


 様々な話がネット上に出るのだが、そうした話題も逮捕されるきっかけになると言う事で拡散をしようとはしない。こうした情報は、詳細を公表すれば他の世界に過剰な影響を与え、それこそ『メタ発言』と受け取られかねないのだ。アカシックレコードに関しても彼らが言及しようとしないのには――こうした背景があるのかもしれない。



 あの動画を見た人物の一人、ジャック・ザ・リッパーもアルストロメリアのプレイスタイルには衝撃を受けていた。


「アレだけの実力があって、ARゲーム初心者はあり得ないだろう」


 ARメットを被っている為、表情を周囲のモニターを見ていたギャラリーが確認する事は出来ない。しかし、それでもジャックの動揺しているリアクションは――間違いなく何かを感じていると思うだろう。


「しかし、中距離武器を使うプレイヤーがチートを気づかずに使っていたとは――」


 ジャックは疑問を持っていた。それは、チートアプリの存在である。他のARゲームと違い、アーケードリバースでは些細なアプリでもチート判定をしてしまう。例えば、ゲームには使わないような時計アプリでも――その機能によってはチート判定を運営側がしてしまうのだ。


 運営としては、ふるさと納税で得られたお金で運営しているような物なので、何かのビジネスモデルと言う訳ではなく、今後の町おこしに役立てようとしているのかもしれない。そうしたゲームの開発背景が、些細なアプリでもチート扱いする事情かもしれないだろう。


 当然だが、ジャックの使用しているARガジェットにもアーケードリバースで認められたアプリ以外にもいくつかインストールされているアプリがあった。それらはアーケードリバースのプレイ中に起動しない事で、チート判定を受ける事がないのだが――。


「過剰な規制は――本当に炎上防止に役に立つのか?」


 ジャックはチート狩りをするプレイヤーを批判する訳ではない。しかし、実際にはごく普通のアプリでもアーケードリバースでチート判定されれば、デンドロビウム等がチートプレイヤーとして対象にする。本当にチートプレイヤーを根絶する事が、ARゲームの為になるのか? ジャックは――疑問を持っていた。


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