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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ2

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エピソード27.5

・2022年6月28日付

行間調整版へ変更

 バトル開始の合図とともに、プレイヤーが一斉に動き出す。チャットメッセージはスルーしているかのような気配もするが。


【近距離プレイヤーばかりならば、戦略も容易だな】


【チートプレイヤーがいると言う話もあるが――チートがいれば、既にゲーム開始前でふるいにかけられるはずだ】


【近距離プレイヤーオンリーではない以上、射程外からの攻撃で終わるわけがない】


【相手側の遠距離プレイヤーがチート使いかもしれないだろう】


【そんな事は分かってる。そこまで慢心するようなプレイヤーは――】


 青チームのチャットメッセージには、既読を示すマークが出ていない。さすがに、FPSで既読アイコンを採用する事はないと思うが。しかし、ある1人のプレイヤーだけがメッセージを途中送信しているようなメッセージを送ってきた。まさかと思って別のプレイヤーが検索した結果、既に倒されたらしい。


 この様子を中継映像で見ていた顔ぶれは――まさかの有名プレイヤー揃いである。それだけの注目度があるバトルとは思えないのだが、期待の新人でもいるのだろうか?


「近距離ばかりがマッチングされたと聞いていたが――なるほど」


 会社のテレビで観戦していたのは、山口飛龍である。テレビの方は40インチはあるような大型テレビであり、パソコン等をつなげて視聴している訳ではない。


 実は、草加市内限定で地方局でARゲームを中継しているローカルテレビ局が存在し、そこへチャンネルを回して見ている。テレビの前にあるテーブルには、コーヒーが置かれているが――淹れたてタイプではなく、ペットボトルのアイスコーヒーだ。ARゲームでも格闘技等のように専門チャンネルは持っており、そこで視聴する事も可能だろう。


 しかし、アーケードリバースに関しては、こうした放送ライセンス等が複雑らしく、地方局や動画サイト等の限られた手段でしか視聴できない。これに関しては山口も何か対策を取れれば――と考えている。


「優良なコンテンツでも、見てもらえる客がいなければ――忘れ去られてしまうかもしれない」


 山口は何とかしてテレビ局と交渉しようと連絡先を検索しようとしたが、その連絡先は驚くべき場所だった。それに気付いた時には『灯台もと暗し』と山口は思ったとか、思わなかったとか。



 先ほど倒された中距離武装のプレイヤーはビームライフル系の武器に軽装備というのが弱点になったのか、刀の一撃で真っ二つになった。真っ二つと言っても例えであり、本当に真っ二つになった訳ではない。ARゲーム的な演出でスタート地点へと倒されたプレイヤーは戻されていた。気が付くと、青チームのゲージは3割が減っていたと言う。これには該当チームのプレイヤーも慌てている。


「馬鹿な――1人倒されただけで、あのゲージの減り方はないだろう!」


「まさかと思うが、1人以上が倒された?」


「あり得ない! 2人同時で撃破とか」


 周囲のプレイヤーが動揺しているのを見ると、この状況を飲み込めていないと言う事だろうか。それもそのはず――2人倒されてゲージが3割減ったのが正しいのだが、刀で真っ二つになったプレイヤーとは別に――。


「もろすぎる――これがパイルバンカーの威力なのか」


 アルストロメリアがパイルバンカーで相手プレイヤーを撃破したのと同時タイミングだった為、ゲームの処理的に刀で真っ二つになった方が先に表示された。刀の方はガード状態から削られた状態と言う可能性もあっての処理だが、パイルバンカーは前提動作なしの一撃決着――あり得ない話と青チームが通報を考えていた程である。


 チートプレイをしているプレイヤーがいれば、該当プレイヤーを通報する事でゲームの中断をする事が可能だ。しかし、逆に不正プレイでないと判定された際は意図的なゲーム進行妨害を取られるケースもある。あからさまなゲーム進行妨害と判定されれば、失格となるのはアーケードリバースのゲームルールにも明記されていた。



 その後も近距離武装チームが圧倒的な無双を展開する事で、見事に勝利を収めた。青チームにとっては、この展開は予想外と言えるかもしれないが。


「まさか、サブカードや複アカウントじゃないよな?」


 青チームのプレイヤーからは、このような発言も出た。ARゲームにおける複数アカウントは禁止行為に当たる。禁止行為はチート以外にも、相手プレイヤーを意図的に怪我させるような暴力行為、複数アカウント、身代わりプレイ――。普通に考えれば、ゲーセンでも迷惑行為になりそうな物も禁止行為に加えられているのだが、それ以上にアカウント凍結のような重い罰則があるのがチートである。


《青チームに反則の疑いがあり、審議を行っております》


 青チームだけでなく赤チームにも同じインフォメーションがARメットに表示された。まさかの審議と言う展開に、両方のチームが驚きの声をあげる。アルストロメリアに関しては、驚く事は一切なく――逆に冷静を貫く。


 5分後、結果に関してはチートではないにしても不正行為が確認されたとして、青チームに失格の処分となった。どうやら、気づかない内にダウンロードしていたアプリに不正ツールが紛れていたという事らしい。


 稀にアーケードリバースでは他のARゲームでは問題のないアプリ等を不正ツールとして判定するケースがあり、今回もその事例のようだ。最終的には失格の処分とはなったが、アカウント凍結等は行わずに1時間のARゲームアクセス不可処分と軽い物になったようである。


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