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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ1

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エピソード20

・2022年6月27日付

調整版に変更

 午後3時、草加駅と松原団地駅の間にある大型商業施設――そこではある人物がネット上で有名な青騎士と遭遇していたのである。厳密に言えば、その人物がプレイしている最中に青騎士が乱入してきたというべきか?


「何とも嫌なタイミングで来たものだな――」


 身長180センチ位の長身男性だが、ARメットで素顔を隠している。彼が左腕に持っている大型のソードがARガジェットのようだが、それを上手に振るっている様子はない。


「奴も――そんな、あり得ない!」


「我々しか、この場には知っている人物はいないはず。それなのに、何故だ?」


「こっちが知るか? 青騎士の偽物を名乗る人物は、探せばいくらでもいる」


 そんな話が彼の耳にも届いていた。どうやら、彼らがネット上でも噂の青騎士らしい。西洋風の鎧を装備し、青一色ではないのだが――カラーリングは青メインに近いような感じがする。目の前には最低でも5人の青騎士が存在するだろう。アーマーのデザインは、それぞれで異なるのが気になる部分ではあるのだが。


「こっちは面倒なチートプレイヤーが出て来たって情報を見たっていうのに――面倒だな」


 彼の方はやる気を出す様子がない。興ざめとか『明日には本気出す』とか、そう言うノリではないだろう。明らかに青騎士の出現をイレギュラーと確信していた。つまり。今の彼には青騎士は眼中にないと言っても過言ではない。その発言を聞き、青騎士の一人がビームランスで突撃を仕掛けるのだが、それをあっさりと回避した事に対し――。


「こいつ――本当に情報通りのプレイヤーなのか?」


 突撃を回避された青騎士は、情報にはないような動きをした人物に疑問を持ち始める。明らかにデータが嘘だと言う事を――。


「ネット上のデータを鵜呑みにするとは、何と愚かな事をする」


 彼の方は目つきが若干変化し、青騎士の相手をする事にした。本来であれば、彼らは眼中にないのだが――ゲームの中断や手抜きプレイをすれば、それこそペナルティが痛いだろう。


 その後、彼は――あっという間に青騎士を全滅させたのである。一騎当千と言えるかもしれない実力を持っていたのかもしれない。


「相手が悪かったな――」


 彼の名はジークフリート、情報屋としても有名な人物で――不正喰いという二つ名を持っている。そして。このバトルを2階の観覧席から見ていたのは、インナースーツにメットで素顔を隠しているジャック・ザ・リッパーだ。


「あれが情報屋――油断が出来ない相手が現れたな」


 ジャックはバトルエントリーをする事無く、観覧席を離れ――そのまま別のエリアへと向かう。本来、ジャックが青騎士とバトルする予定だったのだが、何者かがマッチングを細工した可能性もあるのかもしれない。



 ジークフリートのバトルに関しては、バトル終了後に動画がアップされ――それを見た視聴者は驚いた。


【ジークフリート? あのジークなのか?】


【名前を騙るだけの便乗だろう】


【アーケードリバースだけとは限らないが、有名プレイヤーの騙りや偽者は出来ないはず】


【その実例がビスマルクとヴィスマルクだ。間違いなく、彼が情報屋のジークフリートと見るべきだ】


【そう言えば、似たような外見の人物を見かける事があったが――】


【まさか? このバトルにエントリーしているのが本物だとしたら、その時間帯に目撃された人物は偽物だろう】


 動画のコメントの中には、別の場所でジークフリートを見たというコメントもあった。荒らし絡みのコメントであれば、運営が監視してコメントを削除するので――そう言った目的がないコメントかもしれない。このコメントが本当だった場合、バトルとは別の場所にいたジークは偽者とみて間違いないだろう。


「情報屋のジークフリートか……面倒な事を」


 ジークの行動に関して否定的な考えをしているのは、橿原隼鷹だった。彼は草加駅近くのアンテナショップにいるのだが、目の前には予想外の人物がいる。


「チートプレイヤーを一方的に狩る人物――チートプレイヤーに賞金がかけられているとは思えないが」


 彼も橿原に同意はするものの、全面的に賛同している訳ではない。その人物とは、山口飛龍である。彼もチートプレイヤーの存在はARゲームの正常運営に支障をきたす。その一方で、彼らの存在は一種のバグを悪用するようなプレイヤーとは目的も違う。一方的に狩ることには反対していた。


「我々としては――彼らの存在は芸能事務所が影でコントロールしていると――」


 橿原は、まさかの直球発言をする。山口には、チートプレイヤーに対して危機感を更に強くして欲しいと言うメッセージを伝えたいのだろうか。


「橿原隼鷹――君の言う事にも一定の理解はする。しかし、芸能事務所がネット炎上を悪用して自分達のアイドルを売り出している以上は――」


 山口はネット炎上を利用したビジネススタイルで特許を取って、それを世界中に拡散させようと言う芸能事務所のやり方に納得がいかない。しかし、だからと言ってアキバガーディアンと手を組むと言うのも――彼にとっては得策ではないと考えている。



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