ケースオブジャック・ザ・リッパー
・2022年7月9日付
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全ての始まりと言うよりも、きっかけは彼女のバトル――それが導火線に火を付けた。青騎士騒動、炎上マーケティング、そして、ジャックザ・リッパー。
『貴様たちには――分からないだろう!』
彼女は不良グループの一人を道路に叩きつけ、更には――装備しているパイルバンカーを放つ。道路に叩きつけられた際の痛みは相手の方も感じているだろう。そのダメージは10分の1程に軽減されているのはARゲームである事も理由の一つだ。これがリアルの格闘技か何かだったら――意識を失うレベルでは済まないだろう。
パイルバンカーのダメージは不良グループが悶絶する程なので、威力としては相当なものかもしれない。ただし、この武器はチート認定されている武器ではない。これには――まとめサイトの管理人なども驚きの声を挙げていた。
【あれだけの破壊力を持つのか――ARウェポンは】
【それこそ、軍事転用が可能な――】
【一番の懸念は、あれがテロリストに使用されることだ】
【チートではないのか!?】
ネット上では案の定というか、炎上させるのを目当てとしたネットイナゴが集まっていた。まとめサイト側も――芸能事務所から大金を受け取っている関係で、彼らの指示には絶対従う事が求められている。
ただし、これらの募集は現在行われておらず――裏サイトのアルバイトも削除されていた。それほどに情報が漏れる事を――何故、彼らは恐れていたのか? これに関しての真相は――後に明らかになるのだが。
「これに関して言える事は、一部のARゲームの情報を集めるような勢力が――下手に、今回の情報を手に入れるのを恐れていたのか」
あるサイトの管理人は、ARゲームの情報を集中的に集める人種がいる事を把握していた。そうした勢力がネットイナゴやフェイクニュース等を悪質な勢力と認識――ネット炎上、炎上マーケティングはこうした歪められた偽情報が拡散される事で――生まれると言ってもいい。
【他のARゲームはどうだ?】
【リズムゲーム系は炎上させても無駄だ。FPSは―ージャンルによる】
【特定のゲームをヨイショして、他のゲームは炎上させる――それはある芸能事務所のアイドルグループでも使われた形式だ】
【結局、同じ事を繰り返すのだ――】
デンドロビウムとアルストロメリアの激闘から1週間が経過した時期、一連の動画は反響が非常に大きく――アーケードリバース人気に大きく貢献した。これに関しては運営サイドも想定外と思っていたらしく、別の意味でも驚きを感じたと言う。
「プレイヤーサイドの方は決着したとしても、運営サイドの決着は――先の事か」
ARメットは外し、事務所のビルから景色を眺めていたのは山口飛龍である。プレイヤーの間で起こっていたトラブルが全て解決したわけではないのだが、現状で大きな懸念になるような事はない。次は運営サイドの運営方針等の――だろうか?
「ガイドラインの変更に伴う変化は、数日程度で劇的に変化はしないだろう。アーケードリバースの例は極端すぎる」
タブレット端末で様々なニュース記事をチェックしながら、現状のARゲーム業界を考えていた。しかし、ニュースで取り上げられているのはARゲームの負の側面ばかりで、これではやっている事が芸能人の不倫等の話題を探すマスコミの様である。コンテンツに完璧と言う物は存在しないし、100%保証できるような完成度のコンテンツも――現状で存在はしないだろう。
山口はテーブルに置かれている醤油せんべいに手を伸ばし、景色を眺め続けていた。本来であれば、何も事件が起こらない事が――ARゲームでは理想形だろう。さすがにテロ事件等に発展するような事件が起きたら、それこそARゲームは終了する。
「今は、大きな事件が起きないように祈るか」
運営サイドも警戒をするが、それでも事件は起きる可能性がある。例え、そうだとしても――彼は何も起こらない事を願った。