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エピソード67

・2022年7月11日付

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 午後1時45分、スレイプニルによる一連の発言がネット上に拡散する。これに関しては賛否両論であるのは間違いないだろう。実際、これをテンプレとしてまとめサイトで真実を歪めた記事も出回っているからだ。


 しかし、一つだけ言えるのは今回の発言はネット炎上を狙った物ではない――と言う事。それを百も承知しているのか――この発言に関して、アルストロメリアからのコメントはない。


「これに関しては――どう判断すべきか」


 ARメットを外し、会社のサーバー室で一連の動画を見ていたのは山口飛龍だった。今回の彼は別行動と言うべきだろうか――コンビニ以外で外に出る様子はない。まとめサイトに関しては目を向けず、ただひたすらにアルストロメリアの情報を探しているようにも見えるだろうか。


「芸能事務所の動向も気になるが――」


 山口は例の謝罪報道がフェイクとも考えにくいと思っている。あれをフェイクと思っているのは、一連の芸能事務所信者やアイドル投資家、FX投資の如くCDを購入してきたファンと言うべきか。そうした勢力が、芸能事務所AとJは無罪であり――特定のメーカーが貶めていると。


 こうした流れもフェイクと言える可能性はあるのだが、真相は不明であり――下手に炎上させれば、トラブルを大きくさせかねない。芸能事務所Aのアイドルが売り上げたCDやグッズ――その金額は国家予算100年分にも匹敵する。


 それほどの水増しやマッチポンプ、出来レースを繰り返してきたというのは――ネット上ではあるあるとしても言及され、更には都市伝説とも言われていた。アカシックレコードにも、芸能事務所Aに関しては色々と警告とも取れるメッセージがあったのだが――今となっては、アカシックレコードが信用できるソースなのか不明だろう。



 5分後、アルストロメリアは予想外の場所に姿を見せていた。それがネット上に拡散したのは、更に10分後と言う事である事――これは、彼女が周囲のギャラリーを欺いたと言う事だろうか。


「やはり――ここに現れたか」


 アルストロメリアの目の前に現れたのは、ジャック・ザ・リッパーだった。彼女はチートプレイヤー狩りをしていたのだが――それも終わりに近づいている中で、アルストロメリアに遭遇したのである。


「チート狩りをしても、結局はエンドレス状態だった――それを自覚しなかったの?」


 アルストロメリアの一言に、ジャックは返す言葉もない。下手に返せばネット炎上を招くだろう――それ位に、今のARゲームが置かれている状況は危機的と言えるだろう。


「結局は、一部の何でもビジネスに利用しようと言う人物の思惑が――今回の事件を生み出し、シナリオを進めていった」


「だからこそ――ここで、終止符を打つべきなのだろうと思う」


「物語には、始まりがあれば必ず終わりが来る――」


 言い返せないジャックに対し、アルストロメリアは語り続けている。その言葉の多くは、周囲のギャラリーにも突き刺さるような物ばかりであり、周囲も言葉を出せない状態だった。それに加えて、ネットに拡散して炎上を企むような人間も――こればかりは拡散出来ないと諦めている。アルストロメリアと言うHNで投稿された、キサラギのメッセージの件も、それを助長させていた。


「コンテンツ市場は、自分達が儲かるようなシステムを求め――それがユーザーの求めている物と違った事で、小さな対立が存在していた」


「その規模を大きくして炎上させたのは、FX投資とも比喩された超有名アイドル商法――ネット炎上は、これが生み出したと言ってもいい」


「そして、容易にネットを炎上させれば――ライバルコンテンツを終了させる事もでき、芸能事務所AとJから報酬がもらえると勘違いしたユーザーが、炎上を助長した」


「やがて――世界は、ネット炎上と言うリアルウォーに突入すると言うフェイクニュースに踊らされ、遂には――」


 アルストロメリアが語っている途中、周囲を囲むように姿を見せたのは芸能事務所Aの現役アイドルである。本来であれば――現役アイドルがARゲームに参戦するのは禁止されているが、特定芸能事務所でなければ許可をした事が新ガイドラインで言及されていた。つまり、今の所属は芸能事務所Aではないのだが――アルストロメリアにとっては、これも自分を潰す為に都合よくガイドラインを解釈し、禁じ手を仕掛けてきた――と認識する。


「こういうルールブレイカーもチートと認識していたと言うのか――デンドロビウム!」


 アルストロメリアは、早速ARウェポンを転送――その場でレールガンを構えた。しかも、即座に引き金を引くような勢いであるのだが、引き金にはロックがかかっていて撃つ事は出来ない。ロックがかかっている理由は、ARゲームフィールドが展開されていない事にある。



 次の瞬間、アルストロメリアは引き金が引けない事に気が付かなかった。これによって、彼女はレールガンを投げ飛ばそうと考えていたのだが――周囲のフィールド変化に気付き、変化直後にはレールガンの引き金を引く。発射されたレールガンを見て、アルストロメリアを取り囲んでいたアイドルも『話が違う』という事で、動揺しているようだ。それに加えて――攻撃は仕掛けているのだが、当たる気配は一切ない。


「何処の誰なのかは知らないが――」


 アルストロメリアは、ARアーマーを展開し――更に巨大なガトリングアックスを転送、レールガンは収納した。まるでアマゾネスを思わせるような、彼女の無双展開は――ある意味でも衝撃的である。ギャラリーも言葉に出来ないような光景を――目撃していた。


「これで、こちらの真の目的を達成できる! 想定していた理想のハッピーエンドではないが――」


 彼女が何を言っているのか、周囲には理解できない。しかし、彼女自身から事情を聞いた事のあるジャックは何となく事情を呑み込める。



 アルストロメリアの周囲が騒がしいと思ったデンドロビウムは、その場をスルーしてアーケードリバースのフィールドへ向かう。


「マナーがなっていないと言うべきか。どちらにしても――」


 この段階ではアルストロメリアが原因で起こっている騒動とは気づいていない。遠目に見ている関係もあって、取り囲んでいる芸能事務所Aのアイドルしか姿が確認出来ない状態だ。


「今は自分のレイドバトルに集中するべきか」


 ノイズを気にしてはいけない。今は、自分のバトルに集中するべきだろう――そう彼女は判断した。一部の青騎士勢力に関しても彼女がスルーをしていたのには、自分が関係ないというのもあるのだが――。


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