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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード65-4

・2022年7月11日付

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 山口飛龍は、デンドロビウムのマッチングメンバーを見て――。


『デンドロビウム以外では、上位ベスト10に入るメンバーが2人――と言ったところか』


 12人中、3人が上位メンバーというマッチングは、他のプレイヤーにも軽いプレッシャーとなった。絶望しかない――と諦めるようなプレイヤーであればイベントに参加しなければよいだけの話。それは、山口も思っている。


『しかし、どう転んでも――デンドロビウムのスキルには勝てるはずがない』


 逆に山口は何度かデンドロビウムのプレイを直接見た事がある。他のプレイヤーが使用しているARガジェットやウェポンを見て、若干の苦戦はする可能性が――とも若干思う部分があった。しかし、デンドロビウムには他のプレイヤーにはない物が存在している。


 それは、他のARゲーマーやプロゲーマーにも足りない物だろう。これほどの物を持っているのは、アーケードリバースでのプレイヤーに絞り込むとアルストロメリアしか持っていないと思われる。


『デンドロビウムは――研究等と違って、明らかに別の感情が存在する。それは――熱意だ』


 山口は、デンドロビウムが他のプレイヤー以上に持っている物を熱意と考えていた。アルストロメリアはARゲームの認識を改めつぁせる為に一連の行動をしていた――とネット上では書かれている。それが暴走した結果が、もしかすると芸能事務所サイドの介入を招いたのかもしれないし、青騎士騒動や一部勢力によるネット炎上等を引き起こした。


『ARゲームに対する熱意が、どういったきっかけで誕生したのかまでは分からない。しかし、アルストロメリアとは明らかに――』


 山口もデンドロビウムが熱意を持っている理由を知っている訳ではなかった。しかし、彼女のプレイスタイルやチートプレイヤーを嫌う個所、正々堂々のプレイスタイルを好む――そうした部分は、過去に何かがあった事を連想させる。


『だからこそか――彼女が、同じような悲劇が起こる事を阻止していたのは』


 山口は改めて考える。彼女が最初にチートプレイヤーを撃破した時の事を。そして、その後にもガーディアンとは同調する事無く、独自でチートプレイヤーを撃破していく様子を――振り返った。ガーディアンと同調しなかったのには、彼らが入手していない情報網を持っていた――と山口は思い込んでいたのである。それが最終的にはデンドロビウムの真意を隠すような事になってしまった――。


『彼女の真意は、過去のトラウマを二度と起こさないようにする為――だったのか』


 今は考えても仕方がないと判断し、山口はバトルの方に集中する事にした。



 レイドバトルが始まると同時に、動いたのは8人のプレイヤーである。4人は動かないと言うよりも、様子見と言う気配がしたが――動かないのは、他の一般プレイヤーだ。デンドロビウムが動いていたというのは、周囲も驚く一方で、レイドバトルで様子見をすればターゲットを見失う事も意味している。


「様子見をして、失敗したアルストロメリア等の事例もある。攻めるが勝利と言う訳ではないが、動きを止めれば致命的だろう」


「レイドボスの一部には攻略法が確立されている。それを踏まえれば、勝てない相手ではない」


「初めから勝てないと言う考えで動くから、勝てないのだ」


「アーケードリバースにチートキャラは存在しない。首位は誰にでも平等に――」


 動いていたプレイヤーが、まさかのピンポイント射撃で倒されたのである。装甲車のスピードは、決して速いものではない。出したとしても、時速30キロと法定速度を守っている。それなのに重装甲のプレイヤーが撃破されたのは、別の意味でも衝撃だった。


 つまり、装甲車の火力は相当の物と言う事だろう。


「迂闊だったか。装甲車の火力を甘く見ていた」


 別の有名ゲーマーは3輪バイクであるトライクを捜索し、装甲車は無視していた。装甲車はスピード的に、後回しでも問題ないと判断したのだが――トライクの方が見つからないので、こちらも焦っている。


「迂闊なのは――どっちだと言う話だろう!?」


 有名ゲーマーの背後には、装甲車が通過したのだが――通り過ぎた後には、何と別の軽装甲プレイヤーがビームライフルを片手に戦闘態勢で待機していた。装甲車を無視し、他のプレイヤーがいる事をARバイザーで再確認しなかった事も――迂闊だったと言うべきだが、相手の方はペナルティを覚悟で有名ゲーマーにビームライフルを向けている。


「貴様は――失格になってもいいのか?」


「動画サイトに雇われて大金を得ているような実況者やプロまがいのゲーマーは――芸能事務所AとJのやっている事と変わらない」


「だからと言って、ゲームのルールを違反していい物ではない!」


「そうだな。芸能事務所AとJのアイドルはエントリー不能だったか」


「我々は芸能事務所とは契約して――」


「果たして、そうかな?」


 ビームライフルを構えた人物は、そのまま引き金を引き――ターゲットのゲーマーは倒れる。その人物のARバイザーに登録されたデータには、芸能事務所Eの所属アイドルである事が書かれていたのだが――。



 一連の動きを別所で見ていたのは、レイドボスのバイクを次々と撃破していたデンドロビウムである。その動きは――ギャラリーが驚きの声を出す前に、次のターゲットを撃破していく。まるで、超高速で撃破していくような――信じがたい動きだった。


「プロフィールの改ざん――おそらくは、チートデータに潜んでいたプログラムによる物か」


 デンドロビウムは、チートプレイヤーをたたくやり方としても、あの人物が行った手段は姑息であると考える。自分が手段を選ばずにチートプレイヤーを撃破していたのは確かなのだが、あそこまで露骨に卑怯と言われるような手段には手を出さない。


「あの連中は、どこまでARゲームを荒らせば気が済むのか? 芸能事務所は自分達のアイドルを宣伝できれば、低予算で宣伝が可能であれば、このような手段を使うと言うのか」


 彼女の方も限界一歩手前――と言う様な状態で、一連のやりとりを見ていたのだが、これを通報すべきなのか? 通報すれば犯人逮捕は確実、ニュースサイト等でも一連の事件は風化していなかったと取り上げるだろう。


 しかし、レイドバトルが中止、あるいはARゲームが再びネット炎上で更に取り締まりを厳しくする事も――考えられる。それこそ――個人個人でプレイマナーを考えるような時に来ているのは間違いない。今のデンドロビウムには、どれが正しいのか――?


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