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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード65-2

・2022年7月11日付

行間調整版へ変更

 午後3時30分、最初に動き出したのはアルストロメリアだった。レイドバトルでの勝負であるのは分かったが、特に順位やスコアに関してスレイプニルから言及はない。


「今日からすぐではないと思うが――」


 フィールドでガジェットのチェックを行う一方で、アルストロメリアは何かを考えていた。


【本日からレイドバトルの第3回集計が始まる。そこから――9月の最終集計まで、と言う事でどうだ?】


 午後3時頃にスレイプニルから届いたショートメッセージには、最終集計日までにどちらの順位が上か――と言う事が書かれている。それ以上の事は書かれていないので、単純明快と言うべきか。つまり、最終集計日に首位を維持すれば勝てると言う事だ。



 アルストロメリアのレイドバトル、そこには複数の烏天狗が姿を見せていたのである。全部の烏天狗を倒せれば――かなりのスコアを稼ぐ事は可能だろうが、かなりのスピードを持っているので一筋縄にはいかない。それに、妖怪的なデザインではなく――どちらかと言うとSFニンジャで出てくるようなサイバーなデザインをしているので、どのような装備を持っていても不思議ではないだろう。


 その内の1人は、まさかの広範囲兵器持ちだった事もあり――あっさりと撃破される展開になった。武器の攻撃力はそれほど高いとは思えないのだが、原因があるとすればチートプレイヤーが入っていた事か装甲を考慮しなかった事だろうか。一撃離脱を重視して攻撃力に集中、攻撃回避を行いつつ行動する為にスピードに集中しすぎると、今度は防御面がおろそかになる。防御を重視し過ぎても、動きが鈍くなるという欠点もあるのだが――。


「面倒な仕様に切り替えたのか――」


 アルストロメリアは、瞬時に別のARウェポンを用意し――烏天狗に対応する事にした。武器の変更に関しては特に問題はなく、臨機応変に変更するのも作戦の内。だからと言って、エントリー時には普通のガジェットだが、プレイする際にはチート装備に持ち帰るのは失格となるが。


「しかし、こちらとしてはチートプレイヤーを駆逐するという意味では――好都合だな」


 呼び出したARウェポンはシールドビットである。アルストロメリアが指を鳴らすと、呼び出された8つのシールドビットが2体の烏天狗を補足した。その後はシールドの形状が変形し、チェーンソーにも似たようなビームエッジが展開、そのエッジで烏天狗を切り刻んでいく。最終的には烏天狗の表示が薄くなっていき、その後には消滅する。どうやら、レイドボスを撃破したようだ。


「残り2体だと!?」


「5体はいたように見えたが――」


「既に3体は倒された。しかも、その内の2体は同時撃破だそうだ」


「あり得ないだろう? 2体同時なんて」


「不可能ではない。しかし、行動パターン等を把握したうえで狙うならば――」


 他のプレイヤーはあわて始めている。ライフを削り、止めを横取りして狙うはずが逆効果になったのだ。しかも、横取りの余裕さえも与えないような一撃で撃破した事は――他のプレイヤーからも衝撃の一言である。一部のプレイヤーは、言葉すら出てこない。それ程にアルストロメリアの動きは的確だったのだ。


「リアルチートだと言うのか?」


 あるプレイヤーの一言は、今のアルストロメリアを例えるのにはぴったりかもしれないが――ARゲームでリアルチートの概念はない。アルストロメリアの実力――それは、戦略の研究や努力等の成果で得られた正当な実力と言えるだろう。


【アルストロメリア、さすが首位プレイヤーと言うべきか】


【しかし、首位と言ってもランカーやプロゲーマーではない】


【彼女の場合は――どちらかと言うとARゲームに強いプレイヤーと言う認識だろう】


【ネット上では、敵視しているプレイヤーも多いが】


【それは、有名税と言う物だろう】


【どちらにしても、一部勢力はアルストロメリアと言う存在を絶対悪に仕立てようとしている】


【そう言う認識は――芸能事務所AとJ、フェイクニュースで情報かく乱を行う連中のみと思ったが】


 ネット上でも、アルストロメリアの動画はアップされており、それらを見て反応する人物も多い。ただし、その口調は上から目線であり――まるで、芸能事務所AとJのスタッフが書き込みを行っている気配さえある。その様子は過去に行われた炎上マーケティングを思わせる物であり、ガングート等が懸念しているリアルウォーを誘発する行為でもあった。


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