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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード64-4

・2022年7月10日付

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 アルストロメリアの首位陥落、それはネット上でも話題になっていた。まとめサイトの様な取り上げ方もあったが、大抵は誰でも首位を手に入れる事は可能と言う事の現れでもある。


 広告会社が芸能事務所A及びJとの関係を週刊誌に報道された事があり、そこでも炎上マーケティングに関して取り上げられていた。そうしたノウハウを利用し、更なる炎上を起こそうとしたのが――今回の青騎士の行動理念と言える。ただし、この行動を起こした理由はちっぽけ過ぎて、まとめサイトでも『幼稚な発想』と切って捨てられるような物だった。


「悲劇のヒロイン気取りとは――聞いて呆れるな」


 ビスマルクは、犯人に関するニュースを見ており、その理由があまりにもアレ過ぎた事に呆れかえっていた。彼女は芸能事務所AとJによって解散に追い込まれた歌い手グループを助けたいという趣旨の供述をしたようだが、それが悲劇のヒロインを発想させる物だったと言う。


「今度こそ、一連の事件は解決してくれるとありがたいが―-テンプレネタやマンネリと言う意味でも」


 ビスマルクにとっては、超有名アイドル商法と言うノイズが何度も繰り返され、それがリアルウォーとも揶揄されている事に対し、不快感を持っていた。だからこそ、一連の事件が触れられない状態となり、最後の決戦で思わぬ水入りが起きて欲しくない――とも考えている。それが物語的にも理想なのだが――それは、アカシックレコードのみが知っている事であり――。


「しかし、そうした物を好む人間がいる限りは終わる事はない。視聴率競争の様な勝利者のいないリアルウォーが過去にあったように」


 ビスマルクはモニターを見て思う。流血を伴う戦争は70年以上前には終わり、それを禁止する法案も成立した。しかし、戦争は姿かたちを変えて存在し続けている。それがテレビ番組の視聴率競争、超有名アイドル商法から始まったコンテンツ流通、炎上マーケティング――。こうしたデスゲームの要素が全くないような物が、今の時代では戦争とも言われているのだが――それはまとめサイトがサイトの閲覧数稼ぎに使用している単語に過ぎない。


「ネット炎上をリアルウォーとして煽るような勢力がいる限り、一連の事件が決着する事はないのか――それこそ、ユーザーのモラルに任せるべきなのか」


 何でもかんでもルールで縛る事で、一連のネット炎上を防いでいたアーケードリバースだったが、一連のガイドライン変更でネット炎上も起こり始めていると言う。まとめサイトや一部の煽り系つぶやきアカウント等は、芸能事務所AとJから裏金を受け取って――と言うのも、警察の捜査に一任される事になった。だからと言って、一連の事件がアーケードリバースの――しかも、レイドバトル中に再燃しないとは限らないだろう。ビスマルクは、炎上騒動が起こらない事を――祈る事にした。



 首位陥落をしたアルストロメリア本人は、その事でストレスを抱えたりする事はなかった。逆に首位を維持し続けると言うプレッシャーから解放された――と言う様な印象さえある。


【まさか、ガングートが首位になるとは】


【一連のアイドルファンが宣伝として便乗ランクインするよりはマシと言える】


【しかし、プロゲーマーが参戦するのは反則なのでは?】


【ARゲームにプロゲーマーが参戦するのは禁止していないし、実況者も問題はないと言われている】


【禁止されているのはアイドルや芸能人だ。ただし、芸能事務所AとJが絡む部分だけだが】


【しかし、アルストロメリアが首位陥落は予想外だな】


【どちらにしても、スコアの集め方が異常な人物も数人いる。彼女のようなプレイスタイルでは追い抜かれる可能性はあった】


【異常と言っても――チートは禁止、身代わりプレイもARゲームのセキュリティ的に不能、フィールドを店員に操作させるのも違反行為に該当している】


【どちらにしても正攻法以外でレイドバトルを勝ち抜く方法はない。ズルは出来ない――】


 ネット上でも、かなり騒ぐと思ったが――騒いでいるのは芸能事務所AとJの話題と比較しようという人間だけだった。逆にARゲームの性質を知っている人間は、騒ぎ立てても変化するとは思えないと割り切っている感じさえするだろう。



 午後1時頃――昼食を終えてアンテナショップに到着した彼女の目の前に、ある人物が姿を見せた。それは、アルストロメリアにとっては避けて通れないような存在――デンドロビウムだったのである。


「デンドロビウムか――何故、青騎士の一件に協力をしようとしない?」


 アルストロメリアから、まさかの発言が飛び出した事にデンドロビウムは驚く。彼女はARゲーム用のインナースーツを既に装着しており、これからプレイする所だった。その状況で、2人は鉢合わせをする事になったのである。


「青騎士――そういう連中もいたな。あくまでも、今の連中は警察の仕事だろう?」


 デンドロビウムは、今の青騎士に関しての本音をアルストロメリアにぶつける。それに対し、表情を変化させないが――アルストロメリアは、落ち着いていられない様子にも見えた。


「アレを警察に任せるだと? そんな事をすれば、コンテンツ流通は――」


「以前の青騎士ならば、こちらも行動はした。しかし、あの時に決着したはずではないのか?」


「青騎士を名乗る勢力が出た以上、動くのは我々だ! 外部の人間に任せれば、それこそフィールドは荒れ放題になるぞ」


「ARゲームをプレイ出来るのは、基本的には『大人』ではないのか?」


 デンドロビウムの発言を聞き――アルストロメリアは若干大型のガトリングを転送してきた。しかも、その銃は瞬時にして斧へと変形――どうやら、ガトリングアックスとも言える武器らしい。


「そうやって力で何でも解決すると思い、子供みたいに力を振りかざして目立とうとする――いつから、ARゲームは『子供』の遊戯になった?」


 デンドロビウムはガトリングアックスを自分に向けられても、表情を一つ変えようともしない。彼女はアルストロメリアの言葉は戯言として切り捨てているのか?


「ARゲームは、あくまでもゲームとして提供されている。ここはストレスを発散する為の場でもなければ、芸能事務所の無料アイドル宣伝スペースでも――ないのだがな!」


 次の瞬間、デンドロビウムはギャラリーの一人に視線を向け、そこに瞬時転送したARガジェットである蛇腹剣を突きつけた。動揺するギャラリーは、ネット上でも炎上系煽りを得意とするネット住民であり、アキバガーディアンからもブラックリストに登録されている。


 ネット住民が怯えて逃げようとしたのをデンドロビウムは、何と――見て見ぬふりをして見逃した。デンドロビウムにはネット住民の価値が分からない訳でもないはず。アルストロメリアも、このデンドロビウムの変化には疑問を持つ。



 5分後、デンドロビウムが逃したネット住民はある人物の通報したアキバガーディアンが捕獲し、引き渡されたと言う。


「お前が噂の――」


 ガーディアンとして指名手配犯を追っていた橿原隼鷹は、通報した人物に驚きつつも引き渡しに応じる。


『私を都市伝説の存在と思っていたのか? 柏原――』


 スレイプニルが何かを言おうともしたのだが、それはさすがに橿原に止められた。そして、引き渡しが完了後にはネット住民が出て行った方角にあったアンテナショップに目を向ける。


『なるほど――そう言う事か』


 スレイプニルは、そこで行われているやり取りに関して関心を持つ。アルストロメリアとデンドロビウム、この2人が揃っている事も関心を持った理由なのだが――。


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