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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード63-5

・2022年7月10日付

行間調整版へ変更

 午後2時、谷塚駅周辺はいつもと違う雰囲気になっている。曇りと言う事もあって、一部の屋外用ARゲームではプレイ不能と言う状態になっており――別の屋内ARゲームにプレイヤーが集中した。アーケードリバースはどちらかと言うと屋内ゲームだが、一部のエリアでは屋外エリアも存在する。


《本日のアーケードリバースは、屋外一部エリアに関してプレイ不可となっております》


 公式ホームページだけではなく、メールマガジンでも一部個所で中止という記載があった。ARゲームで中止と言うのも雨天中止が関係するプロ野球や高校野球等と似ているだろうが――あちらとは事情が異なる。精密機械は水に弱いと言う弱点があり、それはARゲームでも例外ではない。


 それなのにセンターモニターは――と思われがちだが、これらには防水が万全であって問題はないのだろう。一部のARガジェットでは防水機能も搭載されているのはサイトにも書かれている。しかし、防水機能ありのガジェットは高価である事も影響しているのかもしれない。


【防水機能が必要なARゲームって、サバゲだけじゃないのか?】


【そうかもしれない。しかし、この技術が他のARゲームにも広まれば――】


【ARゲームが雨天でもプレイ可能になる事が、本当に便利な事になるのだろうか?】


【屋内オンリーのARゲームが広まる方が――優先事項では?】


【防水機能の有無だけで5000円は値段が変わると聞く。しかし、それでも欲しいと言うプレイヤーは存在するだろう】


 防水機能があるARガジェットは高級品の印象が強く、所有しているプレイヤーは少ない。インナースーツは防水ありなのだが、ガジェットはさすがに――コストがかかるのかもしれないが。



 デンドロビウムは屋内フィールドのあるアンテナショップに到着した。アーケードリバース以外では2タイトル程度しか置いていないのだが、それでも客足が途絶える事はない。


「雨が降った訳でもないが、悪天候を配慮して中止とは――」


 デンドロビウムは、今回の中止に関してネット炎上のきっかけになるのではないか――と考えていた。しかし、ARゲームは使用するガジェット等の関係もあって、下手に事故が起きては炎上しかねないと言う事らしい。これに関してはガイドラインの変更があったとしても、変更予定がない部分である。


「現状のARゲームでは、安全性が確保できない――ということの裏返しか」


 防水機能完備となれば――軍事転用も可能になる危険性も懸念されるが、それはさすがに考え過ぎか。デンドロビウムは、ふと気になる部分もあったが――インナースーツへ着替える為に着替え室の方へと向かった。



 着替え中のタイミングで、ガングートのスーパープレイが披露されたのである。これに関しては目撃していたギャラリーも驚きしかないだろう。あまりにも凄過ぎてため息が出るほどに。


「あそこまでの動きが出来たのか」


「スコアには技術点は影響しないが、仮にあれば――1位は彼女だろう」


「レイドバトルはボスを撃破出来れば、何でもアリみたいな感覚を持っているプレイヤーもいる」


「1位報酬は未発表だが、物によってはチートプレイヤー等も出るだろうな」


「チートよりも、一番懸念すべきはマッチポンプだ」


 ギャラリーの方はガングートのスーパープレイよりも、その反動でレイドバトルが荒れるのでは――という懸念を持っていた。まとめサイトのテンプレでもチートプレイヤーがARゲームを荒らし放題だったのは、大体のプレイヤーも感じているだろう。


 だからこそ、今回もあれないとは限らないのだ。サーバーエラー等のチートが介入しないような物でもネット炎上のネタにする――それが、アイドル投資家のやり方である。そのノウハウを利用しない手はない――そう考えている一部勢力がいても、おかしくはない。試す場所が仮にアーケードリバースだったとしたら――。


「なるほど――そう言う事か」


 別の一件でアンテナショップに訪れていた山口飛龍は、偶然だがガングートのスーパープレイを目撃する。その技術は過去の彼女とは比べ物にならないのは一目で分かるが、それ以上に山口が感じたのは――。


「プロゲーマーであるガングート。彼女の正体は――」


 日本政府からも日本国籍を否定され、異世界出身とされている彼女だが――絶対に何か裏がある。一体、彼女と日本政府には何があったのか? 超有名アイドル絡み以外で、何かを知っている可能性も考慮すれば――。


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