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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ1

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エピソード15

・2022年6月26日付

調整版に変更

 7月12日、その日は雨が降りそうな気配がする空模様だった。しかし、何とか雨が降る事はなく――持ちこたえている。雨は千葉や神奈川などで小雨気味であり、埼玉では午前中の段階で日差しもあった事もあり、野外を対象としたARゲームが中止になる事はなかったと言う。


 ARゲームのジャンルによっては雨によって環境が激変し、スリップなどの危険性が出てくるジャンルもある程。さすがに大雪や大雨では中止になるジャンルも存在するが――こうしたジャンルは安全性を重視しての判断で中止を判断している。交通渋滞や電車の運転見合わせ等では、さすがにアンテナショップもやむ得ずに中止となるケースもあるが、あくまでも店舗判断に任せられていた。


「ホームページでは中止と言う告知はなかったようだが――屋内系は中止とは無縁か」


 インナースーツにライダーメットを思わせるようなARバイザーを装備し、アンテナショップ前のモニターを見つめているのは――ジャック・ザ・リッパーである。ARゲームフィールド内ではないので、アーマーは装備していない。あくまでも、あのアーマーや武装はARゲーム内に限定されるようだ。この人物はバイザーをオープンして素顔を見せるような気配は感じられない。正体を見せたくないという事情があるのだろうか?


 アーマーを装着していないと周囲はジャックと認識できないらしく、この人物に近づこうと言うギャラリーはいない。体格も何かの疑惑を抱かせるような気配がするのだが、周囲は空気を読んで振り向こうとはしなかったと言う。


 ARメット及びインナースーツは、谷塚駅から松原団地駅の範囲であれば装着したままでも電車に乗る事は出来るし、アンテナショップにも入店は可能だ。さすがに銀行などの警備が厳重な場所、ARゲームとは無関係と明言している個人経営の居酒屋やレストラン等は入店を拒否される。


 この場合はARメットを脱げば問題なく入る事が出来るのだが、さすがにコスプレイヤーがコスプレしたまま等は――拒否されるだろうが。草加市は、埼玉県がアニメやゲームの舞台になっている事が多いという事もあって、これを町おこしやふるさと納税に生かせないか考え、その結果が今回のARゲームとなる。



 ジャックがARゲームフィールドの対象となるアンテナショップ店内に足を踏み入れると、誰もが見覚えのあるマントが特徴なアーマーが装着される。これに関してはAR映像を見る事が出来ない一般市民でも問題がないのは――設置されている機械が対応しているかどうかがカギとなる。以前にジャックが不良グループを撃退した時のアレは、使用されているシステムのバージョンが古い事もあってシステムが火対応だったとも言えるかもしれない。


「あれが噂のジャック・ザ・リッパーか――」


 ARガーディアンの男性メンバーが、ジャックを発見して即座に通報しようと考えていた。しかし、その通報を即座に無効化したのは――予想外の人物だった。


「ジャミング? 馬鹿な――アンテナショップ内はスマホではない限りは問題ないはずなのに」


 彼が通報に使おうとしたのはARガジェットである。スマホでは電波障害で圏外となってしまう為、こちらを利用しようと考えていた。しかし、通報を考えていた数秒後にはガジェットの通話機能が使えなくなったと言う。このような不具合は通常あれば考えられない。不良品を掴まされたとはガーディアンも考えていないので、背後を振り向いて何者かがいないか確認をしようとしていた矢先――。


「ARゲーマーを、騙し打ち同然で消すなんて――関心は出来ない行為だな。ゲームのルール以前の問題だ」


 ガーディアンの男性は目の前に姿を見せていた人物に驚きを隠せなかった。何故、彼女がここにいるのか?


「我侭姫――デンドロビウム?」


 そこにいた女性、身長168センチで外見こそは幼女と言えるのかもしれないが、オッドアイを初めとして不釣り合いな特徴が多すぎた。その人物がデンドロビウムと気付いた時には、時すでに遅し――と言えるかもしれない。


「ゲーム中で決着を付けるならまだしも――不正プレイヤーでもない人間を通報し、評判を落とすという寸法か?」


 デンドロビウムはARガジェットをガーディアンに突きつけるような行為はせず、拳を握った状態の右手をガーディアンの顔面ギリギリまで――。下手をすれば顔面パンチが決まるような状態である。ARガジェットを装備していれば、顔面に拳が当たらなくてもプレイヤーは吹き飛ぶだろう。


「ジャックは我々にとっても邪魔な存在。消さなければ――有名アイドルの夢小説を書けなく――」


 ガーディアンの一言を聞き、この人物は偽物のガーディアンであると自分で白状してしまったのだ。恐怖のあまりに動揺したのが――彼にとっても裏目に出た。どうやら、実在する女性アイドルの夢小説を書いている勢力に所属していたらしい。


「そっちの話題は門外漢だが――コンテンツ流通を阻害するチートと言うのであれば、話は別だろう?」


 デンドロビウムは、この人物がアイドル投資家と呼ばれるチートガジェットを流通させているメンバーだと考えていた。しかし、その人物は真相を言う事もなく――そのまま逃げる。


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