エピソード62-4
・2022年7月9日付
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ある日を境にして、チートキラーとチートブレイカーの定義が設定された。これはまとめサイト対策という説があった一方で、デンドロビウムとそれ以外のチートキラーを区別する為と――様々な説がある。しかし、アカシックレコードではチートキラーとチートブレイカーで区別するような文面は確認出来ない。おそらくは動画を見ていたファンが拡散した物が、半公式みたいな扱いで呼ばれるようになった――と言うのが正しいかもしれない。
『アガートラームの有無と思っていたが――』
一連の考察サイトを見て思ったのは、スレイプニルだ。アガートラームとは神話等でも単語が聞かれる物だが、アカシックレコードではありとあらゆるチートを破壊する存在とされている。しかし、明確にARガジェットとは定義されておらず――設計図でも色々な形状で出回っており、不明確な個所もあった。アガートラーム以外にも、アカシックレコード経由で存在する単語はいくつか存在し――ゲーマーの中には、それを使用している人物もいる。
それこそ、戦国武将、英雄、偉人、神話上の存在――それらがアカシックレコードによって生み出された架空の存在と思うかもしれない。しかし、学校の歴史で学ぶような偉人を理由なくフィクションと切り捨てる事は出来ないし、後に創作と言及された事件だってある。どちらにしても――それらの出来事を自分達の都合のよい方向でねつ造したり、圧力で無理やり変えようとする行為は――あってはいけないのだ。
『しかし、定義されたタイミングが明らかに――狙っているのか、ネット炎上を』
スレイプニルが疑問に思ったのは定義を決めて発表したタイミングだ。まさか、レイドバトルが開催中の今に設定するとは――。発表したのがまとめサイト系のサイトと言うのも炎上狙いという思惑があるのだろう。
『不用意に記事を叩けば、それがネット炎上系サイトに取り上げられ――エンドレスするように仕掛けがあると言う事か』
さすがに分かり切った罠に飛び込むのはリスクが大きすぎる――そう判断したスレイプニルは、この件に関しては様子を見る事にした。しかし、これにリスクを承知で飛び込もうとするのは――真犯人を探っているアキバガーディアンや一部勢力だろう。ネット炎上の真犯人を発見できれば、これ以上の炎上は起きない事に加えてリアルウォーを回避できる。リアルウォーに関しては一部の過激派勢力等が利用しているネット炎上用のパワーワードであるかもしれないが。
その状況下、あるネット上の記事が拡散する事になる。このタイミングで拡散するのは――ある意味でも誹謗中傷にも値し、一歩間違えれば拡散者が逮捕されかねない。
【都市伝説を拡散したきっかけとなった芸能事務所、広告会社を根絶する】
ある種の脅迫文にも見えるのだが、このコメントを書いた人物の名義は――何と、デンドロビウムだったのである。当然だが、このような口調は使わないのでネット上ではなりきりチャットの文章を本人が発言したかのように、まとめサイトが載せた虚構記事という見方が強かった。どのような手段を使って――と言うのが明言されていなかったので、ネット上では一種の大喜利になっていたと言う。
実際、そのやりとりもまとめサイト上で掲載され、運営サイドに削除要請まで来たのだが――それでもこれは削除できない事情があった。単純に拡散した情報主を発見するだけであれば、もっと別の話題でも同じような事はするはずである。それを、この話題だけに限って特例処置をするのには――芸能事務所も広告会社も明言されていない事にあったと言う。
「これが芸能事務所A及びJみたいに書かれていれば――と思うのは、不謹慎かもしれないが」
運営スタッフの一人は、一連の発言に関して子の様な事を言っていた。アンテナショップでも、風評被害が起こりかねないという声があるのは事実であり、発言の削除を個人的な意見と言う形で進言したケースもある。
【これを放置した理由が分からない】
【ネット炎上が大規模ではない――という考察もあるほどだ】
【しかし、炎上は炎上に変わりない。やはり、発言の削除をするべきだった】
【芸能事務所の名称が具体的に明言されていないのは理由にならない。明らかにAとJを個人攻撃しているのは明白だ】
【だからと言って、この発言がデンドロビウム本人による物なのか――疑問に思う】
【今までのチートプレイヤーを摘発している状況、その正体がアイドル投資家と言う箇所を踏まえても――彼女の発言なのは明らかなじゃにのか?】
【それでも明らかに分かる証拠がないと、アーケードリバースの運営は動かない】
【アイドル投資家や芸能事務所は諦めていない――と?】
【そうとしか言えないだろう。証拠がまとめサイトにアップされていても、まとめサイトでは証明にならないと切り捨てている】
【それ程にまとめサイトは信用できないと?】
【まとめサイトがアフィリエイト系の炎上サイトとひと括りにしているのも原因だが――】
ARゲームのガイドラインが変更になっても、やはり変えていない部分があると言う事なのだろうか。こうした部分を煽ることでネット炎上が容易に起きる可能性が――と運営は考えているかもしれない。




