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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード62-3

・2022年7月9日付

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 午後2時30分頃、ワイドショー番組で臨時ニュースと思わしきテロップが表示される。


《芸能事務所AとJがコンテンツ流通で提携する事を発表》


 その内容は、どう考えても週刊誌のブラフニュースと言えるような内容だった。しかし、ワイドショー番組だけでなく国営のニュースでも速報で取り上げている所を踏まえると、一概に偽ニュースとして無視する事が出来ない。詳細な部分は言及されていない為、記者会見待ちかもしれないが――どちらにしてもARゲームにとっては最悪な空気になりつつあった。


「一時撤退と見せかけて、手札を隠していたのか――」


 思わずARメットのバイザー部分をオープンにして驚いたのは、鹿沼零である。草加市からは確かに撤退したと発表があった。実際、公式サイトで該当のプレス発表は削除されていない。しかし、これは別のエリアで地固めを行い、包囲する為の準備とも受け取れたのかもしれなかった。


「どちらにしても、向こうが慌てて手札を切った訳ではないのは明白だが――」


 ARゲームの状況を踏まえ、人気が奪われると思って提携を発表したのであれば、フラゲ記事等が出回るはずだ。その様子もないという事は――芸能事務所も本気で潰す気があると言う事かもしれない。フラゲ記事が出なかったのには、芸能事務所側が通達を出した可能性もあるのだが――それは、推測でしかないだろう。


【そう言えば、何時も通りならば――と思ったが、何処も扱っていないな】


【表現規制とか入ったのか?】


【そうではない。普段なら、いくつかのアフィリエイト系サイトでフラゲ記事があるはずだ】


【フラゲ記事自体、色々と問題を抱えている個所もある――ネットマナーの欠落とも言える】


【こうした流れも全ては芸能事務所と広告会社が自在に操っていた?】


 まとめサイトにフラゲ記事がない事に対し、つぶやきサイト内では疑問の声があった。ARゲームの新ガイドラインに関して知らないユーザーは、フラゲ記事の禁止と言う事を知らないだろう。芸能事務所側が圧力をかけて情報を封じ込めているという解釈も出来るかもしれないが――。


『どちらにしても――運営側に連絡をしなくては』


 余計なお世話と運営が思うのは百も承知で、鹿沼はアーケードリバースの運営へ連絡を取ろうとした。しかし、肝心の直接連絡用のアドレスは載っていないのである。そして、鹿沼はARバイザーを再び展開し――。


『アンテナショップへ直接行くか――』


 ホームページに載っていてもサービスセンターのアドレスの為か、時間がかかる可能性もあった。その為、近くのアンテナショップへ行って事情説明をした方が早いと考えたのである。



 その一方で、同時刻にフライングで動くような青騎士勢力が数名いた。こちらの目的に関しては芸能事務所の指示と言う訳ではない。その証拠として、彼らの目の前にいたのは――。


「貴様たちも――あの勢力か?」


『あの勢力? 芸能事務所とは無関係だ! 同じと思っては困る』


「そうか――」


 そうしたやり取りの後、レイドバトルがスタートした。しかし、ARゲームのスキルが低いようなプレイヤーではデンドロビウムは止められない。彼女の方も接待プレイをする気は毛頭なく、手加減なしでレイドボスを撃破していた。


【化け物か?】


【ネット上でも最強の声が高いが――】


【どちらにしても、ARゲームで最強と言うプレイヤーは大抵がチートを使用したチートプレイヤーである事が多い】


【チートプレイしても得る物がないようなカードゲーム、リズムゲームでは目撃例がない。しかし、リアルドーピングをチートと言う様なアスリート系もある】


【メーカーとゲーマーによるチートプレイに対する論争に終わりは来るのか?】


【チートプレイに罰金精度を採用すれば、減りそうだが】


【そう言うやり方でチートプレイを減らしても、結局は同じ事が別ジャンルで起こる】


【ここで重要なのは、チートプレイが自分にとっては損しかしない事を分からせる事だろう】


 ネット上ではチートプレイヤーに関しての反応もいくつかあるようだが、大抵が泥沼化している争いに終止符を打って欲しいような物だった。そして、陸上競技でのリアルドーピングの様な事例もARゲームで出ており、これらに関しても規制を求める声がある。


 しかし、リアルドーピングに関しては――今回の事例とは関係がない為、あくまでも一例のみにとどめておく。こうしたチートプレイヤーが出現し続ける事は、ゲームメーカーにとっても損害と言える物になっている。ADVやミステリーと言ったジャンルのARゲームがないのは、動画サイトで実況勢がネタバレを含む動画をアップしている問題を踏まえて禁止にしている話もあるだろう。


 ARゲームには、様々な問題が存在し――それらを少しでも解決していかなくてはいけないのは間違いない。それらの事例を考えているからこそ、アルストロメリアは本格的にARゲームの改革をする為に動き出した――そう断言出来る。


「結局、こうなるのか――このジャンルも」


 レイドバトル終了後、つぶやきサイトの様子を見て――デンドロビウムはふと思う。チートプレイヤーを減らす為の手段が、結局はペナルティではなく罰金や該当者の追放というパターンになってしまう――と言う事を。


 そこまですれば圧力や暴力などで分からせる事と同じであり、チートキラー等とやっている事は変わらない。自分の場合は、百も承知でチートプレイヤーを減らす手段がこれしかないと考えたからこそ――この手段を取ってきたのだ。


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