エピソード62-2
・2022年7月9日付
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再び9月13日、例の動画の拡散速度は――言うまでもなかった。しかし、この動画を参考にしてデンドロビウム攻略動画が作られる事はなかった――と言う話がある事を補足しておく。そう言った動画に需要がなかったのも理由の一つであると同時に、炎上マーケティング疑惑を持たれる原因にもなるのでアップしない説が高い。
これらの情報はまとめサイトをソースとする物ではなく、実際にアンテナショップでのセンターモニターで流れるニュースで書かれていた。こうしたソースが明確なニュース以外は信用しないように――という事が注意喚起された事も大きいだろう。運営サイドのこうした行動が、最終的には一部芸能事務所から公式の謝罪を引き出すまでになった。ただし、芸能事務所と言っても地下アイドル系や準大手であり、芸能事務所A及びJは公式で動きを見せていない。
【地下アイドルにまで、炎上マーケティングのノウハウが拡散していたのか】
【自分達が売れれば、他はどうでもいいという考えが――コンテンツ市場をダメにしていったのかもしれない】
【芸能事務所が謝罪に追い込まれる程に、今回の状況が深刻だと判断したのだろうな】
【見た目は深刻には見えないが、どうなっているのか?】
【確かにゲームフィールド等では、そう見えないのは分かるかもしれないが――】
【ネット上のニュースでも、ネット炎上や煽り等を自粛している可能性がある】
【それは、さすがに報道の自由に反するのでは?】
【報道の自由と言っても――何でもかんでも報道したら、大変だろう? 週刊誌の不倫騒動や――】
【そう言う事か】
【ネット炎上や炎上マーケティングのノウハウもチートと認識され、そうした商法で儲ける企業もチートを使用していると判断したのだろうな】
様々な発言がある中、それらがまとめサイト等に転用される気配はなかった。無断転用や無断転載もネット炎上と同義と言う事で、一連のARゲームガイドライン変更に引っ掛かるのだろう。
「さて、こちらも仕上げと――」
一連のサイトを見ていたのは、アルストロメリアだった。芸能事務所が次々と謝罪している傾向を見て、成功していると考えているのだろうか?
同日午後2時、青騎士が数か所で目撃され、一部のガーディアンと交戦している情報が入った。一部の青騎士はアーケードリバースでも暴れまわっているという未確認情報も――。しかし、その情報にデンドロビウムが動くような事はなかった。
その理由は――この情報がブラフの類と考えていた――と言う類ではない。ネット上ではなく、センターモニターで青騎士の情報は掴んでいたのだ。それでも動かないのには――。
「今回の青騎士は、どちらかと言うとチートが目的とは思えない」
彼女の目的はチートプレイを駆逐していく事がメインであり、今までの行動もチートを駆逐する為に動いていた。一方でネット炎上や悪目立ち、マナー違反と言った事は管轄外とは言わないが――そうした勢力はガーディアン等に任せている傾向がある。あくまでもチートプレイや便乗ビジネスの根絶が彼女の本来の目的であり――理想でもあった。
しかし、彼女の理想は現実化するようなことは非常に難しく、こうした存在をビジネス化するような人物がいる限りはなくならない。リアルウォーと言う単語自体、嫌悪感を持つ事がある彼女にとっては――命のやり取りや命を賭けると言った台詞をARゲームで聞くのも地雷なのかもしれないだろう。
「それに、あの青騎士の様に自己満足と言う目的で戦っている訳でもない」
青騎士騒動後、もはや青騎士と言う存在に興味が薄れた訳ではないが――今の彼らは過去の遺産にしがみつく広告会社やテレビ局、芸能事務所と被る部分があった。つまり――古き物に対する依存症とも言える状態である。それが決して悪い事ではないのだが、ARゲームを初めとした次世代のコンテンツも出ている。その状況の中で、彼らは超有名アイドル商法を唯一の神として――それこそ、言い方は悪いかもしれないが唯一神として進行している節さえある。
このような企業が存在する中、クールジャパンを掲げようとしてもいい顔をする企業が何社あるか? ARゲームを黒歴史にしようと芸能事務所側が炎上商法を展開するような手段――そのノウハウを海外に拡散する事が何の意味を持つのか? それこそリアルウォー待ったなしであり――下手をすれば人類滅亡のシナリオも見えてくるだろう。海外へARゲームの技術等を流出させたくないと考えるキサラギ等の企業は、芸能事務所や広告会社のこうしたやり方をチートと断言し、非協力的になっているのかもしれない。
「結局、自分がやってきた事は彼女と同じだったのか――」
デンドロビウムの言う彼女とはアルストロメリアの事を指す。これも、いわゆる一つの同族嫌悪なのかもしれないが――。アルストロメリアのやり方で、悪しき炎上商法を根絶できるかと言うと疑問点があるだろう。
自分のやり方が完全に正しいかは、判断も難しいかもしれない。本当の意味で決着を付ける必要性が――何処かで発生する可能性はあった。そのフィールドは、もしかするとここになるだろう。




