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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ6

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エピソード62

・2022年7月9日付

行間調整版へ変更

 9月13日、衝撃のデンドロビウム参戦から1週間が経過する。途中参戦と言う状況ながら、まさかの途中経過で上位10人に入った事はネット上でも驚きの声があった。まさか本当に9月7日の中間発表までの段階で、あそこまで――と言う意見もあるのだが。


【デンドロビウムが予想外の伸びだ】


【上位プレイヤーで対抗できそうなメンバーも非常に少ないのもポイントだ】


【しかし、プロゲーマーも負けてはいない】


【どちらにしても――】


【さすがにレイドバトルをギャンブルにするのは危険すぎる】


 ネット上ではデンドロビウムの圧倒的なスコアに驚くのだが、その一方でプロゲーマーも負けてはいない。プレイ動画を見る限りでは付けいる隙がないに等しいので、他のプレイヤーも研究熱心なのだろう。しかし、彼女が完全無敵ではないのは――アイオワ戦で判明している為、勝てない相手ではない事は分かっていた。



 9月10日、デンドロビウムが衝撃デビューしてからしばらくして、レイドバトルで予想外のカードが組まれた。何と、マッチングにはアイオワの姿もあったのだ。彼女のネーミング由来は、戦艦ではないと思うが――本人が語らないので不明だが。それ以外では色々と有名そうな歌い手や実況者も参戦しているように思える。


 しかし、それでもデンドロビウムの敵ではないのは――ネット上の誰もが分かっていた。今の彼女のスキルは、過去のプレイやチートブレイカーとして動いていたころとは桁違いに変化しており、その時の攻略法は通じない。ソシャゲ等でも過去に使えた攻略法が数年後には使用不可になっているのと同じ原理が、彼女には存在していたと言える。


【レイドボスは、固定砲台か?】


【珍しいタイプだな。動かないレイドボスは】


【これは楽勝じゃないのか】


 表示されていたレイドボスは、何と固定砲台×6である。砲台の設置場所はランダムではないのだが、スタート地点の数メートル先には設置されていない。マップを表示してもボスの位置を確認出来ないので、おそらくは一度でも遭遇しないと表示されないのだろう。


 その一方で、アイオワは周囲を見回して何かの違和感を感じていた。周囲の光景はゲームフィールド扱いにはなっているが、ビル街がベースとなっている。ベースとなっている街とは違う箇所を発見できれば、もしかすると――山を張っていたのかもしれない。


《ゲームスタート》


 各プレイヤーが一斉に動き出す。他のメンバーが一斉に動いたのに対し、デンドロビウムは微動だにしない。アイオワも周囲の様子を見ているのだが、デンドロビウムの様に動かない訳ではなかった。下手に動きを固定すれば、砲台の標的になると察しているのだろう。


「まぁ、そうなるだろう」


 アイオワは、既に砲台の2つがマップ上に姿を見せたのと同時に――別の場所へと急いだ。その場所は砲台が出現した場所とは反対側のマップである。ゲームフィールドは半径3キロメートル程のオープンフィールドで、これでもARゲームで使用するフィールドとしては狭い部類に所属していた。ARリズムゲーム等のフィールドと言う概念がないような機種を除外すると、一番広いのではドーム球場1つ分位の広さでも足りないと言われている。


「ステルスとは――違うか」


 マップ上に4つ出現した事で、遂にデンドロビウムが動き出す。最初の標的は、アイオワが向かっていない方向――北側の2つだ。既に何名かがライフを削っている所だったが、デンドロビウムの所有するガジェットの火力は――残り2割と言うライフを一瞬で削るほどである。この攻撃力に関して一部のプレイヤーは『チートだ!』とゲーム中に通報するのだが、この通報は却下された。


 その理由はデンドロビウムのガジェットの火力は、カスタマイズによる物であり――不正ツールで底上げされた物ではなかった。


「この2つは――!?」


 2つ目の砲台を撃破した所で、デンドロビウムは自分の行動がニアミスしていた事に気付いた。北側に設置されている砲台は2つのみであり、残りは東側と西側にそれぞれ1つ、南に2つあるのだが――。その距離はデンドロビウムがガジェットを使って高速移動しても、おそらくは30秒かかる距離にあった。ライフの削り具合からして、30秒では間に合わないレベルでライフが削れており、下手をすれば4つの砲台は諦める事になるだろう。


「それでも――間に合わせる!」


 デンドロビウムはARガジェットコンテナの近くまで急ぎ、大型のガジェットを転送しようとも考えた。大型ガジェットであれば、飛行型ならば装着後に間に合う可能性もあるだろう。


 しかし、大型ガジェットは出現するのに時間がかかると言うもろ刃の剣でもある。ジャンルによっては転送コードを入力して、すぐに出現するような物もあるのだが――アーケードリバースでは10秒かかるのだ。



 結果として、デンドロビウムも何とか大型ガジェットを転送して間に合わせようとしたが――3つの砲台を撃破するのがギリギリだった。しかし、アイオワも3つを撃破しているので――最終的なスコアは削ったライフで決まる。


【まさか――?】


【やはり、そうなったのか】


【削りの量で決まるとか】


【原因はデンドロビウムが戦略をミスした事か】


【戦略ミスではないだろう。固定砲台の火力は5人のプレイヤーを瞬時にして行動不能にするほどだ】


【しかも、その射程は1キロ。下手に動けば、それこそ狙われる可能性は高かった】


【戦略ミスは大型ガジェットだな。他のARゲームと同じ感覚で呼び出したのかもしれないが――】


【アーケードリバースの大型系は、確かに性能は高いだろう。しかし、その分のリスクは相応の物だ】


【結局――アイオワの対応が奇跡的な勝利につながったのか】


 最終的に勝利したのはアイオワであり、これはネット上でも衝撃度が高かった。デンドロビウムがリアルチートやバランスブレイカーではないと証明された事でもあるのだが、本人にとっては不名誉かどうかは分からない。


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