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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード61-2

・2022年7月8日付

行間調整版へ変更

 秋葉原某所にあるアキバガーディアン本部、そこではガーディアンメンバーが青騎士のデータ収集を行っている。しかし、真犯人と思わしき人物にたどり着けずに――数週間が経過していた。


 ネット上で青騎士と明言されたのは100人とされているが、正確な数字は定かではない。その後にタダ乗り便乗や自分の名前を有名にしたいが為に――という人物もいる為、正確に計算されていないのだろう。一部の青騎士はガーディアンが泳がせている事実も、知っているのはごく少数であり――正確な人数も把握できているのは、数える程度か。


 その便乗青騎士を潰しに回っていたのが、実はデンドロビウムと言う話が存在している。実際、そうだったのか――と言われると疑問に残る箇所もあるのだが。


「どちらにしても、青騎士の行動原理は――」


 ガーディアンのメンバーの一人は、便乗青騎士の行動原理に関して疑問に持っていた。明らかに芸能事務所AかJにバイトで雇われたような――事務所側が否定していたアレである事を考えている。


「あの人数だと芸能事務所に雇われたのか、独自の行動をしているのかでさえ判別が難しい」


 何とも複雑そうな表情でネットの掲示板を見ていたのは、橿原隼鷹である。青騎士の何人かは明らかに芸能事務所に雇われた感じがしたのだが――闇サイトでバイトを知ったという証言もあった。果たして、どちらが正しいのか――?


「しかし、既に100人以上は目撃例があるのでしょう?」


「それはそうだが――」


「これ以上の芸能事務所による財力に物を言わせるやり方を許せば、それこそコンテンツ市場は超有名アイドルというチートの独占を許す事になるでしょう」


「しかし、芸能事務所が仕掛けたという証拠が出ない限りには――」


 スタッフと橿原の話は続くが、真犯人が見つからない事には――という結論に至るのはお互いに同じのようだ。そして、ニュースでも報道しないような出来事があるのではないか――とも考えるようになる。


「今回の青騎士騒動は、本当にコンテンツ市場を変えてしまうのか」


 橿原は、芸能事務所AとJが全てを独占するようなコンテンツ市場になった時――日本のクールジャパンは虚構で終わるともアキバガーディアンの会議で断言している。しかし、ここでいうクールジャパンは日本の政治家主導ではなく、企業体等による政治的な動きとは分離した物を指している。だが、そこにはARゲームのメーカーは何処も参加していない。何故と言われても――その真相は不明のままであり、取材拒否を貫いていた。



 9月6日、初回集計の直前でデンドロビウムはようやくレイドバトルに姿を見せた。しかし、ここから参戦して間に合うかどうか――ギャラリーの不安は、そこにある。


【ここまで遅れての参戦と言う事は、上位狙いではないだろう】


【RTA勢力や一部の不正プレイヤーも排除されているが、それを踏まえても遅すぎる】


【もしかすると、集計は無視してのレイドバトル参戦だろう】


【確かに、集計を考慮しない場合ならば特に注目は浴びる事はない】


【しかし――彼女の問題は、知名度が高すぎることだ。レイドバトル参戦は、ファンの後押しと言う説が浮上しているほどだ】


 ネット上ではファンの後押しで参加したという説もあるのだが――デンドロビウムがネットのつぶやきサイトや掲示板の反応で動くとも思えないので、これは否定されたと言ってもいい。他のプレイヤーも様子見をしていたのは事実であるが、デンドロビウムはイベント系のバトルに参加するとは思えないという事情もあった。


 RTA勢力や一部のチートプレイヤーがスコア荒らしをしていた関係で様子見していたのは、ネット上のニュースでも言及されている。だからこそ、デンドロビウムが今回のタイミングで参加したのはファンの後押しと言われるのは――こういう事情があるのかもしれない。


【なんだ、これは?】


【どういう事だ?】


【信じられない――】


【以前にデンドロビウムと思わしき人物がレイドに参加していた話もあるが――どういう事だ?】


【あれが、デンドロビウムの実力か?】


 確かにデンドロビウムは6日以前にもレイドへ参戦していた形跡が存在する。しかし、それはネット上で偽名や成りすましという情報が拡散されており、このタイミングでエントリーしたとまとめサイトで言及されていた。つまり――この展開はまとめサイト等が作りだした演出であると言ってもいいだろう。


「この数日で、ここまで調整が入る物なのか?」


 プレイ後、デンドロビウムはARガジェットの挙動が変化したと錯覚する。レイドバトル開催中に細部調整やバランス調整は告知され、何度か修正はされていた。それもRTAリアルタイムアタック勢力や一部のチートプレイヤーが行った仕様の穴を利用したプレイが理由と考えられている。


 しかし、それだけでは方が付けられないようなプレイを――デンドロビウムは行っていたのだ。これに関しては周囲から歓声が聞こえる事から、相当な物だった事が分かる。


「イベントは様々なゲームで報酬等目当ての不正やチートプレイが横行すると聞いていたが――」


 デンドロビウムがレイドバトルを様子見していたのは、ソーシャルゲームやアプリゲーム等で報酬目当てのチートプレイ等が横行していた現状に――と言う事らしい。そして、本当の意味でレイドバトルの幕が上がろうとしていた。全てはある人物のシナリオ通りと知らずに――。


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