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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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139/187

エピソード58-4

>更新履歴

・8月12日午前2時45分付

誤植修正:熱の活動→別の活動


・2022年7月7日付

行間調整版へ変更

 バトルの方はすでに終了し、その結果はジャック・ザ・リッパーが勝利した。実際、ジャックが接近戦で戦車にダメージを与え続けたのが勝因と分析する人物もいる。ジャックが今回使用した重装甲ガジェット、それには近接武器もいくつか装備されており――。


「まさか、レイドボスを撃破してしまうとは――」


「事実上は2人で削っていたような物だ。それで倒すとは――信じられない」


「正直、2人で倒せるような能力とは考えにくいが? チートを使っているとか」


「しかし、今回のチートチェックはプレイ前の段階で弾かれるはず。プレイ中はあり得ないだろう」


 センターモニターで見ていたギャラリーも、似たような反応と言うか――そんな感じである。チートプレイヤーは弾き出せてもRTA勢力を弾けなかった反省点もあり、チートガジェット以外にも様々な不正チェックが入るようになった。そのおかげでRTA勢力の8割ほどのアカウントを凍結に成功した。


 それ以外にもRMTに回されているアカウントを摘発する事にも繋がっているので、今回の仕様変更は成功とも言える。しかし、本当に成功したのだろうか? 一部の超有名アイドルファンがアンチを偽装して炎上させているだけでは――と言う声も存在していた。だからこそ――理想的なARゲームを実現する為、アルストロメリアは動いたのかもしれない。今までのチート勢力を通報していく方式では――手遅れになると考えて。



 バトル後、アルストロメリアは別の誰にも聞かれないような場所へジャックを案内する。その場所はある意味でもシークレットルームに近く、一般プレイヤーでは立ち入りが出来ない。監視カメラの類も数台ほど確認出来るが、この内容はカットするようにアルストロメリアが指示していた。


「ここならば――大丈夫かな」


 アルストロメリアはARメットを脱ぎ、ジャックに素顔を見せるのだが――ジャックの反応は無反応に近い。


『何故、素顔を見せる必要性がある? 覆面ゲーマーを名乗っているのであれば――』


「私は元々、覆面ゲーマーで登録した訳じゃないし」


『では、どういう事だ?』


「顔を見てピンとこないのであれば、これを見せてあげる」


 アルストロメリアがジャックの無反応に対し、タブレット端末を取り出してあるプレイ動画を見せた。そのプレイ動画は――かなり有名な動画なのは間違いない。ジャックも見覚えこそないが、噂は聞いた事がある。


『その動画は――対戦相手ならば見覚えがある。まさか、お前だったのか?』


 ジャックも、対戦している人物の姿を見て反応を示した。彼女が戦っている相手は、今やプロゲーマー入りをしているビスマルクである。まさか――アルストロメリアがビスマルクと戦った事があったとは。


「これは、キサラギ主催のFPS大会――つまり、私は元々キサラギの所属ゲーマーだったのよ」


 まさかのカミングアウトにジャックは驚きを通り越して、あきれ果てている。何故、キサラギに所属していたプロゲーマーが――ここにいるのか?


『アーケードリバースもキサラギが関係していると聞くが――まさか!? アーケードリバースのシステムも――?』


「そのまさか、よ。でも、私はアーケードリバースの計画を聞く前にキサラギの所属ではなくなってるし」


『レイドバトルの仕様も知らなかった――と言って通じると思うのか?』


「確かに、普通に説明しても理解してもらえないでしょうね。元キサラギである以上、アーケードリバースの事を知っている上でプレイしているのでは――と」


『改めて聞く必要性はないと思うが、意図的に負けた訳ではないのだな?』


「それをやって、無気力試合と判定されれば――没収試合になるでしょう?」


 2人の会話は続くが、ジャックもアルストロメリアがプロゲーマーだった事はいまだに信じられない。しかも、所属はアーケードリバースの開発にも関係しているキサラギである。この事を別の第3者が知れば――ネット炎上狙いやアンチ活動を偽装した超有名アイドルのタダ乗り宣伝に利用されるのは明らかだ。


『約束は守ってもらえるのだな? デンドロビウムの正体を――』


「デンドロビウムはハンドルネームよ。元々は別の名前で別の活動をしていた」


『ハンドルネームなのは察しがついていたが、別の活動だと?』


「彼女は西雲春賀――元々はリズムゲームをメインフィールドにしていた人物よ」


 西雲春賀、それがデンドロビウムの本当の名前だった。本名を聞いてもピンとこないジャックだったが、リズムゲームをメインフィールドにしていたという事で何となく理解出来たのである。


『リズムゲームで西雲と言うと――そう言う事か。しかし、作曲活動もしていた彼女が――どうして?』


「そこまでは分からないわよ。何処のゲームでもチートや不正行為は100%ないと言えないから」


『チートのないゲームを探して、ARゲームに来たという事か』


「それは本人に聞かないと――」


『しかし、そこまで把握しておいて――お前は何を考えている?』


「何も――と言っても、信じてもらえないかな? 今は全貌を話す事は出来ないし」


『ARゲームアニメと類似したシナリオ――それをリアルで起こして何をする気だ?』


「テレビドラマで聖地巡礼ってケースも、ないわけじゃないでしょ?」


『芸能事務所AとJか――』


「キサラギとは方向性の違いもあって、離れたに過ぎないわ」


『方向性の違い?』


「要するに、泳がせたという事。あの芸能事務所に求めるのは――自分達の商法が全て間違っていたという謝罪よ」


 アルストロメリアが芸能事務所AとJに対する不満は、既に限界を超えていたのかもしれない。だからこそ、今回の作戦を実行したのではないか――と。ARゲームだけでなく、コンテンツ流通の未来を彼女は見極めようとしている――そうジャックは考えていた。


『その行為に――お前は見返りを求めているのか?』


 ジャックは、アルストロメリアにあえて疑問をぶつける。ふるさと納税というシステムを利用しているアーケードリバースに投資を続けているような状態――それが今の彼女だろう。


「私はARゲームの未来を見極めたい。それがコンテンツ流通に対する日本政府や芸能事務所などと見解の相違があったとしても――」


 強がって発言しているようにも見えたが、彼女の拳の握り方を見れば――。それ以上、ジャックも話を聞くのを辞めた。ここから先を聞けば、彼女の今まで隠していた目的も――。


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