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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード57-5

・2022年7月7日付

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 鹿沼零が向かった場所、それは市役所から徒歩10分も見たない所にあるアンテナショップである。ここでは複数のARゲームが展開されており、ある意味でも草加駅前や谷塚駅近くのショップよりは規模が大きい。それなのに客足がアーケードリバースに向かない理由――それは、鹿沼がコピーしたメールの一部にあった。


【我々はゲームガーディアンだ。午後3時、アンテナショップ○○で超有名アイドルAの宣伝活動を行う】


 見た目は脅迫や爆弾テロの犯行予告には見えないだろうが――アキバガーディアン等から見れば、れっきとした犯行予告となる。その理由は、草加市ではARゲーム上での特定団体の宣伝等は禁止されており、それに引っかかると言う物だ。


 このような犯行予告はネット上では、息をするようなレベルでゴロゴロと拡散しているので、ある意味でも性質が悪い。他にも類似の犯行予告を鹿沼はコピーしていたのだが、そのほとんどが芸能事務所Aの所属アイドルを宣伝するメッセージばかりだ。


『これらを摘発するのも彼らの役目――とすると、この近くで待機すれば問題ないか』


 鹿沼は先手を打って摘発しようと言う訳ではない。彼の目的は、あくまでもARパルクールアニメ作品と同じシナリオを再現させようとする人物も割り出しだ。


『そんな事をしようと言う人物は――あの人物しかいないが、悪目立ちしようという人物は掃いて捨てるほどいる』


 ARバイザーの関係上、表情は確認出来ないが――その発言からは、明らかに何かを企んでいるようなオーラを感じる。それに、彼は次のプランを進めようとして密かに動いているのだ。それも――ピンポイントで。



 午後2時55分、犯行予告の時間まで5分――。しかし、それらしいプレイヤーが参戦しているような様子もない。あからさまにスーツのデザインやカラーリングで分かりやすい宣伝を行う者もいれば、チャットメッセージ等で宣伝する人物もいる。それを踏まえると――特定するのも難しい状況かもしれない。


 プレイヤーを魔女狩りで次々と捕まえていくのは簡単だが、そんな事をすればレイドバトルは中止になる。アイドル投資家残党等の狙いは、レイドバトルの中止と見て間違いないのだが――さすがの鹿沼も我慢の限界が近い。


『いっそのこと、こちらもARゲーム課権限で参戦を――』


 この音声は特殊なミュートシステムによって、外部には聞こえていない。これが周囲に聞こえていたら、ある意味でも越権行為等の発言でネットが炎上するだろう。


《裏工作、自作自演等に該当するような行為はアカウント凍結の可能性があります》


 鹿沼の行おうとしている行為は、もしかすると裏工作に該当するかもしれない。警察の協力等は、ARゲームの性質上もあって期待は出来ないだろう。


 しかし、運営とは別の勢力が圧力をかけるのも非常に危険なのは間違いない。


『やはり、あのルールさえなければ介入する手段があると言うのに』


 鹿沼の言うあのルールとは裏工作の禁止以外にも別に存在する。それは、9月2日から追加された項目の一部で――。


《アーケードリバースの性質上、草加市の市議会議員関係者やふるさと納税関係、ARゲーム課等の関係者が参加するのはご遠慮ください》


《なお、この禁止項目に関してはレイドバトルにのみ適用されます。通常モードでは問題ありません》


 運営側が何を考えているのかは不明だが、草加市役所の関係者やARゲーム課等の介入を禁止している。これでは鹿沼も迂闊にはレイドバトルへ参加する事は出来ない。こうした犯行予告があると言うのに、止める事も出来ないのには――こうした理由もあった。該当項目が追加されたのには、RTAリアルタイムアタック勢力が無双した問題もあるだろうが――ふるさと納税的な部分もあるのかもしれない。


『ふるさと納税で高額商品関係が次々と終了している中、こちらも疑いがかけられるのを防ぐ為なのか――あの項目は』


 こちらもミュートを使用して喋っているので、外部には聞こえない。実際、ふるさと納税を巡る返礼品競争は――数年前にも加熱した事でガイドラインが変更されたばかりだ。更に変わっては、こちらのARゲームも規制対象にされかねないと思っているのだろう。


『ソシャゲやクラウドファンディングで十分と言われないような――』


 やる事もないので、別のエリアから警戒しようと今いる場所から離れようとした矢先、センターモニターで動きがあった。どうやら、該当するプレイヤーが出現したという事らしいが――瞬時にして鎮圧したとも伝えられている。


『一体、どういう事――!?』


 鹿沼はセンターモニターのライブ映像を見て、驚くしかなかった。そこに映っていた人物、それはデンドロビウムだったのである。別の意味でも予想外の人物が現れた、と。



 デンドロビウムは11人が該当するアイドルファンだったのに対し、単独でレイドボスを撃破したのだ。レイドボスはパターンさえ分かれば、あっさりと撃破できる。アイドルファンはレイドボスは後回しにして、デンドロビウムに攻撃を仕掛けた。その段階で、彼女は不審に思っていたのである。レイドバトルではプレイヤーに対しての攻撃が禁止されている事も、その証拠だ。


「チートプレイヤーのような存在であれば、こちらも都合がよかったのだが――」


 チートプレイヤーであれば撃破可能と言う特例が存在するのだが、彼らはチートガジェット未所持である。おそらく、チートを持っていなければ怪しまれない――と考えて普通のガジェットで登録、カラーカスタマイズ等で超有名アイドルファンだと言う事をアピールする狙いだったのだろう。


 それでもデンドロビウムにはお見通しだったのだ。それ程に――超有名アイドルのタダ宣伝は拍車がかかっていたのだろう。


「しかし、こちらがレイドボスを速攻で倒したのが――別の意味でもよかったのかもしれないな」


 レイドボスは出現から30秒も経過しないタイミングで撃破した。レイドボスのレベルが低レベルであればHPの関係で速攻も可能だろう。しかし、彼女が倒したのはレベル3ケタのボスである。どう考えても重火力系の攻撃力が必要なレベルなのだが――。


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