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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード57-3

・2022年7月7日付

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 結局、その後も9月1日には有名プレイヤーのログインは報告されなかったと言う。数少ない報告では、ヴィスマルクをARリズムゲームの方で目撃した、アイオワをAR対戦格闘のフィールドで観戦していた等はあったのだが。


【結局はデンドロビウムを含めて、有名プレイヤーはいなかったな】


【アーケードリバースではアルストロメリアやハンゾウの目撃例もあったが、レイドバトルではなかった】


【情報を収集してから動くのか、それともチートプレイヤーやマナー違反のプレイヤーを避けたのか?】


【チートプレイヤーよりも、向こうが警戒したのはRTAリアルタイムアタック勢力だろう】


【あちらも――マナー違反が叫ばれている勢力の一つだからな】


【しかし、テレビではその辺りに触れていなかったが?】


【民放のワイドショーは、何処もネットを炎上させる議員とかアイドルとか――そっちの方が視聴率を取れるのだろう?】


【それに、視聴率の取れない話題を広告会社がOKを出すと思うか? 芸能事務所AとJが全権を握っているような広告会社が多い中で――】


【局地的過ぎる反応のARゲームは取り上げない、と?】


【そうではない。RTAに関しては2日目以降はスコア対象にしない事を公式で発表している】


【要するに、アカウントBANと言う事か。対応が早すぎて、何か不穏な空気を感じるな】


【どちらにしても――本番なのは2日からだ】


 つぶやきサイト上では、テレビでレイドバトルだけでなくARゲームの話題も出なかった事に違和感を持った。しかし、テレビ局として視聴率が取れそうな話題に時間を多く使うのが常識――と言える状態である。それが更なるネット炎上を呼び、リアルウォーの引き金になるとは気づかずに。


 ネット炎上のメカニズムは、過去も今も変わっていないだろう。それを詳細に解説すれば――それこそリアルウォーの引き金になる可能性がある為、ここでは割愛する。


「相変わらずのまとめサイトか――」


 自室の机で各種サイトを検索していたデンドロビウムは、右手の指で机を軽く叩いていた。アフィリエイト目当てのまとめサイトがネットを炎上させて風評被害を生み出す――それはしつこいほどに言及されていたはずである。


 書き方に関しては、テンプレ的な煽りタイプが淘汰されている一方で、役に立つ情報を載せていると見せかけて芸能事務所AとJのアイドルを持ち上げる物が増えていた。そんな事をすれば――ガーディアン側から通報されるのは分かっているはずなのに、である。


「しかし、芸能事務所の所属アイドルを引き合いに出すタイプはガーディアンが――」


 サイトを調べていく内に、デンドロビウムは何か引っかかる部分がある事に気付く。こうしたサイトは――ある作品では頻繁に見かけたタイプの書式だったのも、気づいた理由の一つだが。


「これでは、やっている事が――」


 これをガーディアンへ通報するべきか考えたデンドロビウムだが、証拠不十分なので通報を止めた。仮に犯人の狙いが芸能事務所を壊滅させる事ではなく、別の場所に理由があるとすれば――。しかし、これもネット上では色々と言われていた説の一つだ。それを事実だと証明した人物は――誰もいない。



 9月2日午前10時、前日のフィーバーに反して行列が出来ている事はなかった。逆に言えば、このタイミングを有名プレイヤーは待っていたのかもしれない。ARゲームはその性質上、大人数が行列を作る程のゲームと言う訳ではない事もあって――あまり行列とは無縁の方が良いのだ。


「行列が出来ると人気が出ると言うのは、昔の番組で使われた手法――今ではステマとも言われかねない。これ位の方が理想ね」


 久々に帽子を深被りして姿を見せたのは、ヴィスマルクである。ARスーツは白をメインにした者に変えているが、これはスーツのバージョンアップによる物だ。俗に言うパワーアップとは違う物だが、似ていると言ってもいい。


 スーツのバージョンアップは初日に起きた不具合に対応するもので、パッチ適用と言った方が早いだろう。それを発見したのは、皮肉にもRTA勢力のプレイだった。レイドバトルのテストプレイは万全だったので――ある意味でも彼らが抜け穴を見つけたと言ってもいい。


【RTA勢が一掃されただけでなく、バグ修正もされたのか】


【チートガジェットは使っていなかったが、これはさすがに修正されるな】


【テストプレイの段階で何個かのバグを排除したのは言及されていたが――】


 つぶやきサイトをタブレット端末で見ていたヴィスマルクは、鼻で笑う様な事はしなかったが――何故かドヤ顔っぽい。自分もARリズムゲームで色々とあったので、そちらを先にプレイしていたのだが――こうなるとは予想外だったのだろう。


「どちらにしても、上位プレイヤーで残っているのは――!?」


 タブレット端末でレイドバトルの中間結果を見ていたのだが、1位と2位のプレイヤーでは10万ポイント位の差がある。こうなっているのは、RTA勢のアカウントを一斉にBANしたのもあるのだが――驚くのは更に別の箇所。


《1位:ハンゾウ》


 まさかの名前を発見した。何と、あのハンゾウが1位を取っていたのである。スコアは30万位だが、2位とのスコア差は10万以上と言う事もあり――単独トップと言ってもいいかもしれない。ただし、RTA勢でトップだったのは500万と言う事を補足しておく。つまり、RTA勢以外ではトップだったのである。


「ハンゾウは廃課金でもチートと言う様なプレイヤーと聞いた事があるが――今回の事をどう思って――?」


 ヴィスマルクも、目の前を通過した人物に視線を合わせ――。ある意味でも自分の話を聞かれた、と感じるような場面が展開されたと言ってもいい。


「今回の事は、どうも思わないわ――悔しいという気持ちがないと言えば、嘘になるけど」


 サイバー忍者を思わせるようなセクシーな衣装――と言うよりはARスーツを装着していたハンゾウが、自分の目の前で立ち止まった。これには、唐突な出来事にヴィスマルクも言葉を失う。まるで、ネット上で炎上しているタレントの悪口を言っていたら、本人が通り過ぎたような――そんな展開である。ドッキリ系のバラエティー番組もビックリな現実が、ヴィスマルクの目の前で起きていた。


「そう言えば、あなたはヴィスマルク――だったわね」


 ハンゾウの方もヴィスマルクに何か聞きたそうな表情をしている。ARメットのバイザーをオープンし、素顔を見せているので――表情の方はヴィスマルクにもはっきり分かった。


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