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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード56-4

・2022年7月6日付

行間調整版へ変更

 午前12時、草加市内にあるアンテナショップではアーケードリバースの設置準備が行われていた。この場所は松原団地に近い場所に加え、電車では草加駅と松原団地駅の間にある。そうした面では交通で不便かもしれないが――別のARゲームでも強豪プレイヤーやランカーの出没しない穴場としても有名だった。


「ここもアーケードリバースを置くのか?」


「そうなると、ここに強豪プレイヤーが来る可能性も否定できない」


「さすがに――それは考え過ぎだ。草加駅や谷塚駅に近い場所にもアーケードリバースは設置されている。そこに集中するだろう」


「そんなものか?」


「強豪ゲーマーが集まるゲーセンにも一定の法則がある。交通面で行きやすいというのは――そう言う事だ」


「そのベタ法則が通じないのがARゲームじゃないのか?」


「それは一理あるのかもしれないが――逆にマスコミが知らないような場所に置かれるのは、そうした勢力に情報が入りにくい――とも言える」


 設置の様子を見ていたプレイヤーらしき男性2人は、ここにもアーケードリバースが来る事に複雑そうな表情をしている。人気機種と言う事で導入を考えた――と言う事ではゲーセンだけでなく、パチンコやパチスロに通じるような流れかもしれない。一方で、ARゲームは人気機種だからと言ってすぐに導入できるような物ではないのは――誰にでもわかる。


「第一、ARゲームはジャンルによって実際の一般道を利用したり――住宅地を利用するケースだってある」


「一般住民からすれば――ARゲームは騒音や環境に関して、色々と苦情が出てくるだろうな」


「それでも導入すると言うのは――それなりの得る物があるからだろう」


「得る物?」


 得る物がなければ、ARゲームの最新機種を予約してまで導入しようとは考えない。特にアーケードリバースは草加市が全面協力しているに近い状態の為、様々な面でバックアップを受けられるという事もある。ARゲーム自体が草加市で色々と優遇されている事はアンテナショップなども知っているが――。


「場合によっては、パチンコ等よりも儲かると言う話だ。電気代も太陽光パネルやバッテリーを使っているから――」


 話をしていく内に、準備の方は完了しつつあった。しかし、現在はレイドバトル導入に伴うメンテを行っているので――電源を入れてもメインモニターはシステム表記が表示された後は、ローディング画面のままだが。


《システムローディング中》


 センターモニターにはシステム更新中の画面が表示されている一方で、メンテナンスが午前12時30分まで続く事も表示されていた。設置スタッフも分かっているようで、モニターの方へ近づこうと言う事はしないようである。それ以外の設置作業を急ピッチで進めているのかもしれない。



 午前12時15分、アーケードリバースの運営には謎のメッセージが送られていた。その内容は――脅迫状や怪文書というレベルでも、まとめサイトの炎上マーケティング狙いの様なものではない。


「どうしますか? この時間に来たという事は――ウイルスの可能性もありますが」


 男性スタッフの一人は、明らかにウイルス添付のメールである可能性もあって、無視するように促しているようにも見える。しかし、運営の責任者らしき人物は内容の確認を指示、添付画像は開かないように指示した。


【ガーディアン組織の一部が、青騎士を泳がせている】


【その青騎士の中には、ARゲーム運営が棄権ししている芸能事務所Jの現役超有名アイドルが混ざっているだろう】


【何故に泳がせているのかは不明だが――秘密基地を一網打尽にする目的があるのかもしれない】


【そこでアーケードリバース運営に指示したいのは、不正チートを使っているプレイヤーの中には――まだ炎上勢力が残っていることだ】


【保護主義的なゲーム運営や二次創作を一切認めずに公式の作品以外は魔女狩りする――そうした考えの人間がいる限り、青騎士は動き続ける】


【こちらとしては、青騎士残党を叩くのに協力して欲しいのではない。運営としては、これを黙認して欲しいという事だ】


【おそらく、アキバガーディアンは動く。彼らはコンテンツ流通に関して――】


 メッセージの途中は――全く書かれていない。残りの内容は添付ファイル参照と言う事なのだろう。運営責任者はウイルスチェックを指示したが、特に危険なウイルスは確認されなかった。


「ウイルスの問題はありません。ファイル開きます」


 男性スタッフがファイルを開くと、そこにはある人物の顔写真が添付されていた。それに加えて――文章の続きである。


「彼女は確か――!?」


 男性スタッフも彼女の事はネットで知っていた。かつて、ビスマルクに大敗して姿を消したと思われた――あの人物である。


【保護主義と炎上防止は別問題だ。炎上を防ぐ為にガイドラインを細かく設定しても――無視される可能性は高い】


【炎上をしないゲームを作りたいのであれば、まずはオープンの環境を作ることだ】


 続きの文章は画像に書かれていた物であり――その人物の正体とは、北条高雄だった。何故――彼女は、あえて運営側に自分のこれからの行動をネタバレするような事をしたのか。全ては、レイドバトルが妨害されるのを何とか阻止したいと言う気持ちがあったのかもしれない。自分の行動がきっかけでレイドバトルが中断するのは面白くない――という考えが、今回の行動になったのだろう。


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