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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード55-5

・2022年7月6日付

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 今から数か月前、まとめサイトに謎の文章が投稿されていた。


【芸能事務所AとJを優遇しようと言う法案が可決しようとしている。このままではコンテンツ流通は、芸能事務所2社によって――】


 しかし、まとめサイトに取り上げられる前に削除された。該当するつぶやきサイトのアカウントも発見できないので、それこそ芸能事務所を神とあがめる勢力による物――と思っていたと言う。あるいは別勢力による情報戦――要するにかく乱作戦だ。


 しかし、これをかく乱作戦と言うには様々な証拠が足りない為、いわゆるネタとして処理されたのである。


 この文章をサルベージしたのが、ごく最近に立ち上げられたサイト――実際にこのサイトが該当文章を掲載したのは8月31日、今日だった。何故、このタイミングでサルベージしたのか? 8月31日と言う日時に理由があったのか?


 もしかすると、レイドバトルを前に妨害工作をしようとしたのか? 芸能事務所AとJのCDリリースを中止に追い込もうと言う策略があったのか?


【芸能事務所AとJは自分達を神と思いこみ、全てのコンテンツを生み出したのが自分達と主張する。つまり、全てのコンテンツの権利を独占しようと言うのだ】


【特定の組織や団体等が権利を独占すれば――それはコンテンツ流通とは言わない。単なる消耗戦だ】


【我々は訴える。芸能事務所AとJが行おうとしている炎上マーケティングは――リアルウォーである。形を変えた――であると断言出来るだろう】


【そのような戦争を芸能事務所AとJが行えば――確実に海外勢力に大敗するのも目に見えているだろう。恥の上塗りをする前に――目に見えた負けフラグを晒す前に、自分達の過ちを認めるべきだ】


【改めて警告する。芸能事務所AとJは自分達が過去に行った炎上マーケティングの全てを謝罪し、日本政府との裏取引等を認めるべきだ】


 この文章の一部は、明らかにサルベージされたつぶやきと違う物が――あからさまに混ざっている。しかし、芸能事務所の炎上を狙ったものであれば――もっと過激な文章を込めてもよいはずだ。この文章を投稿した人物を特定しようとした矢先、あるサイトが引っ掛かる事になる。しかも、それはまとめサイトではない――別のサイトだったのだ。



 午後5時、毎度恒例でARゲームプレイヤーのラインナップが入れ替わる時間だ。ビスマルク目当てだったあるプレイヤーは悔しそうな表情を浮かべる。直接見たかったようだが、訪れる場所を間違えたらしい。そのプレイヤーは、ある女性プレイヤーの前を通り過ぎるのだが――特に見向きするようなことはなく、そのまま通過した。


「このサイトは、自分が立ちあげたサイトを踏まえつつも――別のメッセージを伝えようとしている」


 アーケードリバースの方も数回プレイし、様子見が終わったアルストロメリアは――帰り際にシャワーでも浴びようと考えていた。しかし、この周辺にはアンテナショップに併設されたシャワールーム以外は皆無だったので、汗が気になるようでもインナースーツを着たまま帰宅する事になる。先ほどの通行人も彼女の前を通り過ぎたのだが、その人物をアルストロメリアが見る事はなかった。タブレット端末の方に集中していたからだ。さすがに歩きながら操作するのは危ないので、待機用のチェアーに腰をかけている。


「どちらにしても、このサイトを放置するべきか――通報するべきか迷う部分がある」


 通報したとしても――該当するサイトには削除に値するような表現がない。犯罪につながるような書き込みがある訳でも、チートガジェットやスパムと言ったような要素もないだろう。では、このサイトはどのような目的で作られたのか? 残念ながら、今のアルストロメリアには分からなかった。単純に英雄にでもなろうとしているサイト管理人が立ちあげたと言うには――どちらに加担しているような要素もない。


「一体、このサイトは何のために――」


 結局、ここでは情報不足と言う事もあるので自宅へと戻る。竹ノ塚駅から谷塚駅まで電車に乗って移動しても問題はないのだが――ARスーツのままで電車に乗るのには抵抗感がある為か、乗って来た自転車で帰る事にした。



 午後7時、アーケードリバースを稼働しているアンテナショップの一部では行列が出来ている。草加駅や谷塚駅のアンテナショップでも行列が確認出来るのだが、時間的な関係で列の方が解散している所もあった。エントリーをするだけであれば、インターネットでも可能であり、それはARゲームの90%近くで同じシステムを採用している。


 しかし、アーケードリバースでは事前登録はインターネットでも可能だが――レイドバトルを控えているので、直接エントリーをしようと行列が出来ている――と言う事らしい。


「ここまで行列が出来るとは――想定外と言うべきか」


 この様子をネット上の記事で確認していたのは、デンドロビウムである。アーケードリバースのプレイヤーは50万人と言う情報を、自分がエントリーしていた段階では聞いていたのだが――。今では何と200万人がプレイしているという情報も出ている。ソースが不明なので、これはまとめサイトが炎上目的で書いている物かもしれないが。


 しかし、100万人突破は本当らしく、公式サイトでも150万人突破を告知していた――。これにはARゲーム課も予想外と驚き――武者道の山口飛龍も言葉に出来ないほどだったと言う。


「しかし、ここからだ。全ては――今まで起こった事件は、レイドバトルで一つの答えを出すだろう」


 チート問題、ネット炎上問題、プレイヤーのモラル、それ以外にも芸能事務所の宣伝行為――これらの事件も、ARゲームで行われた炎上マーケティングなのだろうか? その答えの一つは――レイドバトルイベントで出る事になる。本当に一連の炎上案件がARゲームの宣伝で行われたものであれば――。


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