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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ5

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エピソード55-2

・2022年7月6日付

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 8月31日となると、ネット上でも色々なニュースが飛び交う時期でもある。夏休み最後と言う事で宿題の合間につぶやきを行い、ネットを炎上させてストレス発散でもしようと言うのか? そうした勢力が全てと言う訳ではなく、一方でネットを炎上させるのは学生だけではないという意見もある。


 ARゲームのプレイヤー目撃情報も一部では偽情報が存在し、情報戦が展開されている事が分かるのだが――。そこまでの事を行い、何の得があるのだろう? ARゲームのプレイヤーには疑問符が頭に出てくるような光景なのは間違いない。


【ARゲームをプレイできない恨みでもあるのか? 一連のガセ目撃情報の発信者は――】


【しかし、そうした偽情報に踊らされないように注意喚起はされている。それに、ARガジェットでフォローすればフィールド内限定で場所は特定出来るだろう】


【まさか――ARゲーマーはプライベートも丸見えなのか?】


【場所の検索システムはARゲームのフィールド内だけだ。フィールド外の動きまでは補足出来ない】


【しかし、偽情報に踊らされないようにする機能は、場所の検索だけではない】


【そうか――ARゲームのセンターモニターか!?】


【モニター以外にも、ライブ配信と言う物がある。それに気づかずに偽の目撃情報を流せば、ガーディアンに偽情報拡散の容疑で捕まるのは明白だ】


【ネットで情報を提供する以上――偽の情報と真実を見分けられる力は必要だと言うのに】


【それが出来る人間だけならば、ガーディアン等の様な組織は不要だろう。彼らの場合はネット炎上を大規模テロと想定し、動いている気配すらあるのだが】


 つぶやきサイトでは、一部の偽情報に関して苦言を呈するようなコメントもあった。それ程に――情報戦が行われている事に、無関係なユーザーからはうんざりしている気配さえ分かる。アイドル信者の情報戦は他所でやってほしい――と言うのが、彼らの望みだろう。


 しかし、それが受け入れられる事は――残念ながら、100%ないと断言出来る状況でもある。仮に受け入れるにしても、彼らは芸能事務所A及びJ以外のコンテンツを完全排除しようという声を加速させ、その声に日本政府も応じる事を意味していた。ARゲームやそれ以外のコンテンツ市場が閉鎖され、それこそ芸能事務所AとJを神として――。



 あるネット上のまとめサイトを見ていたデンドロビウムは――該当するまとめサイトをARゲーム課に情報提供した。何故、デンドロビウムがこのような手段に出たのか? 理由としてはレイドバトルも迫っている中で、このような風評被害はノイズでしかないと感じているのだろう。


「明日はレイドバトルだと言うのに――邪魔な連中ばかりがネットを炎上させ、アフィリエイト収入を得ようとする」


 彼女が情報提供する方法は、サイトのURLをARゲーム課にまとめてメールするという手法だ。使い古されている手法だが――ARゲーム課がまとめサイトの管理人に大物政治家との関係を持っているケース等、こうしたレアケースの情報を求めている。逆にARゲーム運営に提供したとしても、放置される可能性は否定できないだろう。


 しかし、彼女の場合は運営に情報提供しない理由に――別の事情があったのである。


「下手に向こうへ情報を流して、レイドバトルのバランス調整に手間取って開始が遅れるのは――」


 レイドバトルは午前10時からの開始ではない。その前にメンテナンスで数時間は回線がオフラインとなる。ソシャゲ等でもメンテが遅れる事で色々とネットが炎上するのは有名な話であり、ARゲームでも運営の対応次第で炎上する事さえあった。そうしたケースをアーケードリバースでは見たくない――と言うのがデンドロビウムの想いだろうか?


 アーケードリバースはソシャゲのようなアイテム課金タイプではなく、1クレジットでプレイするタイプだ。そうした作品で炎上するようなイベントと言えば、マッチポンプとも取られかねないようなマッチングだろう。だからこそ、ギリギリまでマッチングのシステムを考えていたのかもしれない。


 実際、マッチポンプまがいのプレイをした結果、アカウント凍結となったプレイヤーも存在、そうしたプレイを推奨しているようなルールで炎上した作品だってある。アーケードリバースに限って、そうしたケースとは無縁とは言い切れない。今までの青騎士騒動を含めて、様々な事件が起きているので尚更だ。青騎士騒動以外にもネット上で発表されていないような細かい事件、まとめサイトで言われているような不具合や問題もあるかもしれない。


「ここまでの事を――彼女は考えて行動していたと言うのか」


 デンドロビウムの言う彼女とは、ふるさと納税にも言及していたアルストロメリアだ。単純にチートプレイ及び不正ツールを取り締まるだけであれば、自分もあそこまでの行動はしなかっただろう。


 しかし、サービス開始初日や一カ月位であれば許容範囲内と考えていた問題行動が、その後も改善される事はなかった。ロケテストの段階で抜け道は遮断したつもりだったのだが、実際にサービスを開始した際にはチートツールも日進月歩の勢いで進化をしていたのである。運営側の慢心と言ってしまえば、それまでだろう。アイテム課金型のゲームでさえ、課金要素の部分を揺るがしかねない不具合は修正するし――。


「ここまで放置したのが、向こうの計画通りだとしたら――?」


 デンドロビウムは、あまり考えたくないような結論に至った。それは、運営側が最初から全体で問題視されているようなチートツール以外を放置していた事である。つまり――ARゲーム全体で注意喚起されていた系統の物以外のささいなチートは使わせていた可能性だ。それこそ、チートプレイヤーが荒らし放題のアウトローと言えるのかもしれない。


「本当に――アーケードリバース自体が、ゲーム業界全体に警鐘を鳴らす為の実験場だと言うのか」


 まさか――と思うデンドロビウムは、冷静に考え直した。これが仮に真実だとすると、例のアニメに類似したケースは単純に真似をした訳ではなく、偶然にシナリオが被ってしまった可能性もある。仮に今回の一件にシナリオがあったとして、それを書いた人間は誰なのか――と言う事もあるだろう。ゲーム業界の縮図、それをアーケードリバースのフィールドで再現させて、シナリオを書いた人間は何を目撃者に訴えるのか?


「芸能事務所の不正を暴くだけであれば、週刊誌でも報道をしている。しかし、向こうもニュースにしないような物は――」


 デンドロビウムはARガジェットではなく、タブレット端末で急ぎの検索を行う。そのワードは、焦っているような状況でも、一文字も間違える事無く入力が出来た。


「そう言う事か――全ては、これが鍵を握っていたのか」


 デンドロビウムが発見したサイト、それはWEB小説を扱うサイトなのだが――そのサイト名には、まさかの単語が書かれていた。


《アカシックレコード》


 一部の人間がアクセスできたとする存在――それがアカシックレコードである。しかし、その一部の人間とは誰なのか謎が多い。一方で、ここで言うアカシックレコードとはオカルト的なものではないだろう。


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