エピソード54.5
・2022年7月5日付
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大手まとめサイト以外で有名な所と言うと――アカシックレコードの解析サイトだろうか。アカシックレコードの解析自体は禁止されている気配はないのだが、反応は色々な意味でも分かれていた。
【あれは解析していい物ではない。芸能事務所に権利を独占される的な意味でも】
これは反対派の代表的な意見だ。大手芸能事務所に権利を独占され、最終的には――と考えているらしい。
【アカシックレコードは解釈が難しい。中二病とは違うが、あの書かれ方で正確に再現できるとは思えない】
【あの書き方が情報流出防止の観点があるのを踏まえても――補助的なサイトは欲しい】
こちらは賛成派の意見である。彼らはアカシックレコードの情報を正しく認識して共有する為にも、解析サイトを必要としていた。解析と言っても、著作権侵害的な解析と言う訳ではない。あくまでも、アカシックレコードのデータ類は著作権フリーと明言されている。何故、ここまで明言されているかは不明――と言うよりも、解析サイトでも詳細を把握していない可能性が高い。
一説によると、アカシックレコードの記述自体がフリーゲームのアイディア的なものであり、それを利用している――という物があるらしいが。その全てを把握するのは100%不可能に近いと明言されるつも、解析率は70%に迫っていた。解析スピードを早めたきっかけが、実はアルストロメリアが立ちあげたアカシックレコードの解析サイトの一つである。管理人がアルストロメリアとは書かれておらず、それに気づいたのも――非常に少ないだろう。
アルストロメリアの正体――それを知ろうと情報戦を仕掛けたアイドル投資家は、全て通報されてしまった。その通報先は、まさかの場所だったのである。情報が大量に着た事に関して驚いたのは言うまでもないが。
『ジャパニーズマフィアや地方議員とのパイプを持っている投資家ばかり――ここまでピックアップ出来るとは』
この情報量や内容に驚いたのは、鹿沼零だった。彼も一連の情報屋に関しては追跡をしていたのだが――発見できていない。ある意味でも、このメンバーリストはARゲーム課としても喉から手が出るほどのシロモノだったのである。
『一体、何処の誰が情報を提供したと言うのか――』
データに関してウイルスが仕込まれている様子はなく、そのまま警察へ情報を流し――大量検挙と言う展開になるのは、数日後の事であるが。
【週刊誌でも掴んでいないような情報が流れたらしい】
【芸能事務所のスキャンダルか?】
【それは雑誌売り上げを上げる為のねつ造だと公式発表があっただろう】
【ねつ造発表はテレビのニュースでは一切取り上げていない】
【どういう事だ!?】
【まさか――仕組まれた?】
一部のつぶやきサイトでは、週刊誌のねつ造報道がテレビで取り上げられていない事に関してのタイムラインがあった。これに関してはまとめサイトには掲載されていない物である。何故、使わないのかは――その内容が非常にだからだろう。
8月30日、レイドバトル開催2日前――ガングートはある情報を手に入れていた。
「ビスマルク以上のプロゲーマーが草加市に来ているという噂がまとめサイトではなく、大手ニュースサイトにあったが――」
ビスマルク以外にも有名なプロゲーマーが姿を見せたというニュースだが、偽ニュースと疑う声もある。実際、有名どころのARゲーマーは草加市に何人か姿を見せていた。
アーケードリバースに参戦している中では、ビスマルク、アイオワ、それに――ガングートだろうか。デンドロビウムはプロゲーマーでもなければ、それ程の実力があるとは認識されていない様子。ジャック・ザ・リッパーも、経歴不明と言う事もあってプロゲーマーと認識はしていないようだ。
「そう言えば、キサラギの契約プロゲーマーがいたという情報もあったが、アレは草加市内ではないのか」
ガングートがふと思い出したのは、ゲームメーカーのキサラギがプロゲーマーと契約している件である。しかし、その人物とは契約を解除したと公式サイトにも書かれていた。別の人物と契約したのだが――それはARパルクールでの話であり、アーケードリバースではない。
「アーケードリバースでプロゲーマーの参加は禁止されていない――と言うよりも、解放したと言うべきか」
ARゲームにプロゲーマーが参戦する事も珍しくなくなり、アーケードリバースも最近解除したようだ。ガングートがエントリーした段階でプロゲーマーはエントリー出来ないという記述がなかったので、おそらくはロケテストでは禁止だったのかもしれない。
「いよいよ、全てが始まると言う事か――」
レイドバトルの開幕、それが告げるのはアーケードリバースへの新しい風なのか? それとも、芸能事務所による権利独占のきっかけになるのか――。




