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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ4

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エピソード53-9

・2022年7月5日付

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 ハンゾウがスコア不調になっていた原因――それは、今回のプレイではないのは明白である。しかし、今回のプレイは――明らかに何かが違った。


『納得できない? これが実力差と言う物だ』


 相手チームは重装甲をメインとしており、素顔もARメットの影響で見えない。彼らの装備は、テンプレの様な重装備カスタマイズであり――攻略サイトでは少し有名な組み合わせでもある。この組み合わせに関しては、制限がかけられているような装備レシピでもなければ――チート装備でもない。唯一の問題点があるとすれば、この装備を揃えるのに必要な物だろうか。


『その通りだ。このガジェットは違法手段で強くした訳ではない。だからと言って、お前の言う様なチートガジェットでもない!』


 チートに関しては完全否定を明言し、彼は実力で勝ったかのような表情である端末をハンゾウに見せた。彼にとっては、これが余計な行動でもあり――アイドル投資家やまとめサイト勢力等に燃料を提供する事になってしまったのである。


「廃課金勢――ARゲームでは賛否両論だけど、問答無用でチートと同類じゃないの!」


『廃課金がチート? アイテム課金制のソーシャルゲームでは賛否両論だが、1コインプレイが基本のARゲームで通じる理論ではない!』


「その高級ガジェットで初心者狩りをしていれば、不正チートガジェットプレイヤーと似たような人種だと――気づかないの?」


『不正ガジェットは、一種のドーピングと同じだ。しかし、これは正規品である以上――チートと言う発言は放置できないな』


「ARガジェットは使い手を選ぶ――! それが分からない訳ではないでしょう?」


『ゲームマナーを語り、自治を行う勢力――と言う事か』


 2人の話が結局はかみ合わない。両方とも喧嘩腰と言う訳ではないのに、どういう事なのか? まるで、お互いに正論を言っているはずなのに――何処かが意図的に合わないようにされているようにも見える。これではネット炎上勢等に利用されても文句は言えないだろう。



 ハンゾウは改めて第2ラウンドを行うようにと彼らに挑戦状をたたきつける。例え、自分が一人で挑む事になろうとも――彼らの様な廃課金勢を放置するのは、ネット炎上的な事情を踏まえても危険要素だろう。


【第2ラウンドって……出来る物なのか?】


【格闘ゲームと違って、順番待ちにはなるが可能だろう。ゲーセンのハウスルールによるが】


【ARリズムゲームだと連コイン禁止を明言している機種もあるな】


【ARゲームは整理券と聞いたが】


【整理券は確かにそうだが、アーケードリバースは違ったような――】


【どちらにしても、あのブルジョワプレイヤーは――さすがにチートとは違う気配もする】


【確かに、廃課金はソシャゲだと非難される話題ではあるが、1クレジット100円が基本のARゲームで、それが当てはまるのか?】


【チートガジェットやツールを使わなければ、問題はないと思う。しかし、それを口実に初心者狩りが横行するのは感心しないが】


【どちらにしても、炎上マーケティングとかネット炎上案件になりそうな――】


 つぶやきサイト上では、色々な話題が流れている。その中でも、連コインは不可能と言う認識のプレイヤーも多いようだが、それはジャンルに寄って違うらしい。


『さすがに、こちらもこの装備を連続で使うには――小休止は必要だ』


 重装甲のプレイヤーは、そう言い残してフィールドをログアウトした。ラウンド2には応じるが――連コインはしないと言う事だろうか。下手にショップ側のルールに違反すれば、出入り禁止は避けられない。そうなっては、ハンゾウを倒すチャンスも失われる――と考えたのかもしれない。


 ハンゾウは若干焦っていた可能性もある。何故、焦ってしまったのかは――連中の挑発に乗った事も一理あるのだが、実際は別だろう。思った以上のスコアが出ていない事に関して焦り始め、その場で何とか対応できるはずの思考が出来なかった事かもしれない。本来の彼女であれば、それが出来てもおかしくはないだろう。


 頭に血が上るようなタイプのプレイヤーは何人かいるのだが、それでもゲーム中限定などの制限がある。冷静な判断が出来なければARゲームでは、即敗北を意味していると言ってもいい。


【ARゲームでは冷静な判断が必要になる事がある。VRゲームや家庭用ゲーム機と違って、一瞬の焦りが大きな事故に繋がる可能性も否定できないからだ】


【それに、ARゲームが拡張現実を使ったゲームである事を理解せず、そのまま異世界トリップ等と同列と語るエアプレイ勢も問題視されている】


【あくまでゲームはゲームだ。一種のデスゲームだったり――ギャンブルとは切り離すべきだろう】


 あるサイトのつぶやきまとめに、こういったやりとりがあった。途中で何が書いてあるのかは忘れたが、エアプレイ勢がARゲームのプレイヤーを題材にした夢小説をアップし、小説サイトのランキング独占をしている事に批判した記事だったかもしれない。


 こうしたケースはARゲームプレイヤーではなく、歌い手や実況者、超有名アイドルでも目撃される事案だ。夢小説がファンタジーだからと言って『名前を借りているだけです』や『彼らとは関係ありません』と言うのも――。


「何に焦っていたのだろう――私は」


 息が切れていた状態のハンゾウだったが、ログアウトしてから冷静になり、ようやく言葉が出た。確かに彼らの言う通りに違法ガジェットでなければ、それをどう使おうと自由かもしれない。しかし、それらは本来であれば借り物と言える物であり――慎重に取り扱うべきものだ。


 ゲーセンの筺体に台パンして出入り禁止になるケースに例えれば、ARガジェットを破壊するのは言語道断だろう。そう言った意味ではチートガジェットの方な違法改造も認められるべきではないし――。


「思うようにスコアが出なかった事に対し、チートを使っていないようなプレイヤーに対してチートと言うなんて――」


 ハンゾウは頭を抱えるようなポーズは取っていないが、自分の発言に後悔をしていた。おそらく、この発言がネット上に拡散され、最終的にはネット炎上や炎上マーケティングに利用され、アーケードリバースのサービス終了だってあり得る。自分の発言は、芸能事務所側に塩を送るような発言――そう言っても間違いではなかった。


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