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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち-不正破壊者の我侭姫-  作者: 桜崎あかり
ステージ4

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エピソード53-7

・2022年7月5日付

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 午後2時、他のメンバーと違う様な場所にいたのはビスマルクだった。


「ARゲーム独特の――と言うべきなのかな」


 いまだに慣れていないのだが、ARゲームは身体を使うゲームである。体感ゲームを進化させたような物――と言うと、若干の語弊はあるかもしれない。それでも、スポーツをすれば汗をかくのは当然だろうか。


 そうした事情を踏まえてアンテナショップ内には、シャワールームが併設、あるいは近くにスーパー銭湯があると言う。AR対戦格闘では、シャワールームが満席になる事もザラであり――重要施設なのかは分かる。格闘技と変わりないようなAR対戦格闘、アスリート競技系等はシャワールームなどの需要はあるかもしれない。


 しかし、リズムゲームやロボットバトル系、テーブルゲーム系に必要があるのか――と言う声はあるだろう。それでも――コスプレイヤー用の着替え室と言う某イベント以外で必要なのか、と疑問を持つような施設も草加市には存在する。ARゲーム課が出来上がる前から、何かのイベントで盛り上げようと準備したとしか思えない。


「――利用できる物は利用しない手はないか」


 シャワールーム自体は、男女で別々となっているのは当然として――設置数が非常に多い。その中でも利用料金も無料と言う事は特にありがたいという意見があるのだが、ARゲームのプレイヤー専用なので――そこは一長一短と言うべきか。


 シャワーを浴びている際も、謎の視線を感じる事はない。盗撮対策が万全である事に加え、男女別々にしたのには――それ以外にも事情が存在する。それは、やはりというかSNSにおける炎上対策だ。


 ARゲームの場合、保護主義的と揶揄される事もあった炎上対策だが――盗撮写真が流出と言う事になれば、どのような事が起こるのか想像に難くないだろう。安易な発言がSNS炎上を招き、それこそ特定芸能事務所による支配を強化すると言う妄言が飛び出し、リアルウォー待ったなし――。そう言う展開を防ぐ為の炎上対策は、時には過剰すぎると言われるものもあるのだが、こういう所では感謝すべきかもしれない。


「無料と聞くと、裏があると言う人間も出てくるだろうが――」


 シャワーを浴びた後、ビスマルクは髪を乾かしている。使用しているのはドライヤーではなく、特殊な送風機である。形状はドライヤーの様なものではなく、リング状の機械と言うべきか。


 ビスマルクは形状に何か見覚えがありつつも、気にせずに使用する。突っ込んだら負けなのかもしれないが――。


「これだけの事を可能にしているのも、ふるさと納税――は、さすがに違うか」


 アルストロメリアがふるさと納税でアーケードリバースが運営されていると明言した事を思い出したが、ここまでのサービスは難しいと考えていた。ビスマルクはふるさと納税をしていないし、アーケードリバースをプレイしたきっかけがふるさと納税絡みではない。



 午後2時20分、フードコーナーでたこ焼きと似たような物を口にしていたのはデンドロビウムである。さすがに連戦続きでは、集中力も切れてしまう。その為、糖分補給を兼ねてフードコーナーに足を運んだのだ。彼女のテーブルにはスポーツドリンク、たこ焼きと思わしき物、チョココロネ、それにチョコパフェである。そこまで食べられるのか――と思われるのだが、デンドロビウムの目の前にはガングートの姿もあった。


 ガングートの方は、偶然遭遇したと言うべきかもしれないだろう。しかし、向こうは偶然と言う様な表情ではない。おそらく、狙って相席にした可能性も否定はできないだろう。


「こちらも色々と聞きたい事はあるが――」


 対するガングートのテーブルには、アイスコーヒーとナポリタンサンド、焼きそばパンが置かれている。どう考えても異世界人が食べるようなメニューとは考えにくいのだが、考えたら負けだろう。


「――!!」


 唐突にガングートが話を切りだしたので、デンドロビウムは慌てている。口に入れたたこ焼きらしき物が出来たてと言うのもあるのだろうが――。しかし、その中に入っていたのはたこではなかった。


「急に話しかけるな。やけどをする所だったぞ」


 思わず、彼女は慌てるようにしてスポーツドリンクを口にする。ガングートは何故に熱がるのか分からなかった為、一口もらう事にした。


「これは――?」


 ガングートの方も熱がるのかと思われたが、彼女は大丈夫なようだった。そして、その中身には驚いているようでもある。たこ焼きと思われた食べ物、その中身はチョコレートだったのだ。生地はパンケーキ、中のチョコレートはミルクチョコレートとフレークか? それに青のりはチョコチップ――。たこ焼きと言うよりは、チョコ焼きと言うべきかもしれない。焼きチョコならばガングートも聞いた事があるのだが。


 そして、スポーツドリンクを飲んで落ち着いてきたデンドロビウムは、ガングートに何故会いに来たのか――聞こうと考えていた。しかし、話を切りだしたのはガングートの方である。これには別の意味でも驚いた。


「このサイトを見て、何か覚えはありませんか?」


 ガングートが見せた物、それはタブレット端末なのだが――画面に表示されていたのは有名所やアフィリエイト系まとめサイトではない。むしろ、公式サイトなのは間違いないが、その内容を見てデンドロビウムの方が驚くしかなかった。


「そのサイトって――?」


 アカシックレコード絡みではないサイトを見せられた事にも驚いたのだが、それ以上に――。


「ご当地ヒーローは知っていますね? そして、町おこしに関しても――」


 町おこしを題材にしたアニメやドラマ等は今までにもあっただろう。しかし、ガングートが見せているサイトは――1年か2年前の作品を扱っているサイトだ。一体、ガングートはこれを見せて何を聞こうとしているのか? デンドロビウムにも分からなくなっている。


「それと、アーケードリバースに関連性が?」


「アーケードリバースとは関係ありませんが、青騎士騒動後の一連の流れは――」


「青騎士騒動後――まさか!?」


「このアニメを再現している訳ではなく、ヒントを得ているとしたら――」


 青騎士騒動後のSNS炎上の流れ、アルストロメリアや一ガーディアンの動き、それはARパルクールを題材にしたアニメがベースになっているだろう。それもマッチポンプだとしたら――その目的が、何かを訴える為に仕掛けられたものだとしたら――。


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