エピソード52-4
・2022年7月4日付
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そもそも、ふるさと納税の返礼品としてARゲームが提案されたのはなぜだろうか? ネット上では諸説ありという断りを入れた上で、いくつかの説を出していた。何故、このような状況になっているのかは――草加市が公式に理由を出していないからである。
「道路や公園、様々な場所の清掃や整備を行う費用が必要と考え、食品等の様なありきたりな物では集まらないと判断した」
このように市議会で質問された際、議員の一人が答えたのだが――これは表向きの理由であり、本当の目的とは違う。道路の整備や清掃であれば、もっと別な方法で費用を集められるだろう。例えば、ローカルで酒税の税率を上げるとか――。特定の市民ばかりに負担を求めるよりは、このような手で集めた方が手っ取り早い――そうとも説明された。
確かに、道路の整備に関しては苦情ではないが要望があったのは事実であり、不法投棄やポイ捨てに代表されるゴミ問題も要望書が出ていた事もある。しかし、それを行う為の費用をどうやって集めるべきなのか、そこでもめている個所もあったらしい。
ふるさと納税として行うべきだったのか――という声もあるのは事実と認める一方で、市議会で回答した『ありきたりな物では集まらない』という発言に同意する声もある。しかし、本当にこれで良かったのか、疑問に思う人物はいるのだろう。ネット上の情報では当てに出来ない声もあり、本当の事を言って欲しい――そんな意見もあった。
【ふるさと納税その物もシステムを変えるべき声もある】
【それを踏まえたにしては、ARゲームを返礼品にするのは――】
【しかし、そのおかげで草加市に観光客が集まっているのに加え、様々な反響もあると言う話だ】
【それはまとめサイトが煽っているだけじゃないのか?】
【まとめサイトは、芸能事務所AとJを唯一の政府公認や神と言う存在にする為に――】
【それこそ、広告会社の思う壺だ。そこまでの力を得たとしても、紙の力を発揮できる訳がない】
【各地の紛争をアイドルの力で終わらせてみろ――と言いたいのか?】
【そう言う事だ。結局、流血のシナリオは他国では繰り返され――悲劇は終わらない】
ネット上では、様々な声が聞かれている。その一方で、それらのタイムラインを『八百長』や『自作自演』と一蹴する人物も存在していた。
そう言った人物が現れる原因になったのは、デンドロビウムで間違いはないだろうか。
彼女がARゲームに姿を現わしてから、アーケードリバースへ参戦した辺り――。丁度、チートキラーとして有名になって来た辺りでまとめサイト等の信頼が揺らぎ始めたのかもしれない。
草加市がARゲームを利用して聖地巡礼のきっかけにしようとしていたのは、アーケードリバースの稼働前にも前例があった。超有名アイドルの絡む事件が起きる前にも、秋葉原や竹ノ塚、北千住等に遅れる形ではあるのだがARゲームを展開している。
何故にゲームで聖地巡礼を考えたのか――おそらくは、春日部、鷲宮、秩父、他県にはなるが茨城県の大洗――その辺りの成功事例を知っていたのだろう。その上で、ふるさと納税でも何かしらの理由で優位に立ちたかった事情もあるのかもしれない。
だからこそ、ARゲームのメーカーに話を持ちかけて――今回のプロジェクトを立ち上げた可能性もある。草加市が声をかけたメーカーは複数あるのだが、中には山口飛龍の所属する武者道も含まれていた。本来であればゲーム開発メーカーではない所にも声をかけたのには、その辺りのノウハウが不足していると草加市が考えた上での判断だろう。
そこで、立ちあがったのがARゲーム課を立ち上げた鹿沼零であり――。
各種データを探っていたガングートは、自分のチェックしていた記事に鹿沼の名前が出ていた事に驚いていた。
「ARゲーム課――彼がやろうとしていた事は、何なのか?」
ニュース記事を見ただけでは、何をやろうとしていたのかは分からない。しかし、草加市でもARゲームで盛り上げようと言う動きは、今に始まった事ではない事は分かった。アーケードリバースで唐突にピックアップされて、現在に至るのであれば――公式が病気辺りを疑われる。
今回の記事では、そこまで明言はされていないが――周囲からの反応は決して良いものばかりではなかった事も言及されていた。
「他にも何かあれば――」
そう考えたガングートだが、残念ながら時間が来てしまった。残り10分はあるのだが、片づけ等の関係もあるのでチェックするには――時間が足りないだろう。




