エピソード52-3
・2022年7月4日付
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アカシックレコード、それは別次元の技術やノウハウが記されたサイトである。他のアカシックレコードでは、別次元で書かれた小説サイト、別次元のニュースを記したウィキ等と記されている物もあるだろう。しかし、このアカシックレコードは違う。これを独占出来れば――5000兆円の利益を得られると言われていた。
一方でアカシックレコードを特定企業や芸能事務所、日本政府が独占すれば非常に危険とも言及され、下手に海外へ流れればリアルウォーも避けられない。
「どのような物があると聞いてみて見れば――これでは、まるで三文小説ではないか」
あるアイドル投資家は、このような事をアカシックレコードの記述を見て怒りをあらわにしたと言う。超有名アイドルに関して批判的な警告、更にはネット炎上に至った経緯、超有名アイドル商法に対する明らかな根絶を視野にした声明文――。こうした物を見て、アイドルファンは怒りを覚えない方が――と言うよりも、ネタをネタとして判定出来ない人物も何人かいるだろうか。
この世界では虚構とも言える内容に怒りを覚え、恨みを晴らす為にまとめサイトでネットを炎上させ、超有名アイドルファンを増やそうとした人物さえいた。こうした流れが、一連の超有名アイドル商法を巡る事件を生み出したのだろう。
最終的には――過去のガングートの一例も、こうした歪んだ考えの人間が広告会社や芸能事務所と組み、仕組んだとも言える。ただし、ガングートの一件は事件性はないという事で日本政府も関与を否定しているが――。
『やっぱり――あの事件は黒歴史認定か』
スレイプニルがARメットでアカシックレコードにアクセスを試みるも、ガングートの一件は発見できず。これには、日本政府が黒歴史として抹消した可能性も考えた。
その一方で、ガングート自身もある物を探す為に同じ事件を調べていた。しかし、表向きのニュースサイトやまとめサイト、アーカイブ系サイトを調べても発見できない。特にアーカイブ系サイトは、相当なものではない限りはログが残っていると言ってもいいだろうが――。
検索はしても、エイプリルフールネタや滅多に見る事が出来ないであろう裏情報しかない。裏情報と言っても、覚せい剤だったり危険ドラッグの様な情報ではないが。
「裏情報でも該当文章がないとなると――」
ガングートがサイト調査に使っていたのは、ARガジェットではなくノートパソコンである。アーカイブ系サイトはARガジェットでは弾かれてしまう事もあって、ノートパソコンなどでアクセスする必要性があった。しかし、それでも有力情報を探すのには一苦労だが――。
「ここもか――」
果汁グミを1個口に入れて、ガングートは再びサイトを調べ始めるが結果は同じだった。結局、ARガジェットなしでもありでも答えは同じなのだろうか?
ガングートのいる場所は、コンビニの外でもなければネットカフェでもない。ARゲーム専門のアーカイブデータを集めた図書館みたいなものだ。谷塚駅からは徒歩10分位と距離があるのだが。部屋に関しては個室となっており、そこでデータの検索が出来る。
ただし、飲み物の持ち込みは禁止、禁煙、禁酒、アダルトサイトの検索制限等の制約あり、最大2時間までの延長しかできない。飲み物がどうしても欲しい場合は、外のイートインスペースで飲む必要性がある。これがネットカフェなどと違う点だろうか。
莫大なアーカイブデータを閲覧できるので予約が殺到しており、そうした事情で最大2時間までの制限がかかっている。オープンして1カ月もたっていないのに、順番待ちが出来るほどには――混雑をしていると言ってもいい。
「アーカイブデータを探れれば、そこに書かれていると思ったが思い違いだった――?」
90分経過した辺りで、最後の延長をかけようとしたガングートは、ある記述を発見した。それは、ARパルクールとは別にロボット系のARゲームをロケテストしていた時のニュースである。そこに書かれていたのは、意外な人物の名前だった。芸能事務所関係ではないのだが、その人物の名前には見覚えがない。しかし、その外見は――間違いなく別の場所で目撃した人物だったのである。
「まさか、この人物は――!?」
大声で驚きそうになったが防音設備が完璧と言う訳ではないので、隣にも聞こえてしまう可能性が高い。それ位に見覚えがあった外見だったというのもあるのだが、その人物の名前も――。
「鹿沼――零?」
その人物とは、鹿沼零だったのである。この時の肩書は草加市ARゲーム課所属――と書かれていた。この肩書に何の意味があるのか、この時のガングートには分からなかったと言う。




