エピソード51-3
・2022年7月4日付
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コンビニ前でアイオワに見せた物――それは例のパルクールアニメのDVDパッケージだったのである。何故、それをジャック・ザ・リッパーは知っていて、アイオワに見せようと思ったのかは――。
「それは初めて見る。何か、チートプレイヤーと関係があるのか?」
『無関係と言う訳ではない。実際問題、この作品の内容が――これから起こるであろう事件の伏線である可能性が高い』
「事件に影響を受けた作品が、どのような末路をたどるのか――分かっているのか?」
『それは百も承知している。だからこそ、止めるべき事案なのだ』
「しかし、その作品はマイナー作品だと言う事がネット上でも言われている――と聞いた事があるが」
『それを把握していて、パッケージを見た事無かったのか?』
「あくまでもパッケージは初めて見た――と言う事だ」
2人の会話は続くが――ジャックとしては、何としても便乗事案を止めたいと考えているらしい。その一方で、アイオワはこれ以上の面倒事がARゲームで起きるのは都合が悪い――と考えている。お互いに考えている事はあるのだが、上手く妥協できる個所がない状態かもしれない。
様々な人物が、例のパルクールアニメと同じ事を起こそうとしているのはどの勢力なのか――探り合いとなっていた。
【特定作品を炎上させ、芸能事務所の仕業とするのは芸能事務所AとJのよく行う手段だ】
【その常識が覆されるような時代――それが迫っている可能性が高い】
【芸能事務所Eや他の事務所が反撃に出るとか?】
【そうしたつぶやきが拡散する事こそ――芸能事務所の思う壺じゃないのか?】
【相変わらずの文章は違えど、内容はいつものテンプレが――】
ネット上のつぶやきサイトでも、今回の勢力を探ろうと言う動きはあるのだが――。
「まとめサイトで取り上げられ、悪目立ちしようと言う意図が感じ取れるコメントばかりが――」
取り上げられる前のつぶやきを見て思ったのは、アルストロメリアである。彼女はARゲームの未来を見極める為にも、今回の計画に参加した。
しかし、それでもネット炎上や情報戦、便乗宣伝等の超有名アイドルが使う様なビジネステクニックが――。それに関しては、規制法案の提案も待ったなしなのだが――そこまでして本当に正しいのか、疑問を投げられる事となった。
彼女が使用する通報ツールを初め、運営側などに丸投げする事が本当に正しいのか――と言う事である。ネット上でも賛否両論あり、専門家に対応してもらうのがベストと言う意見もあれば、自分で判断できる物は自己の判断に任せるべき――という声もあった。
その一方で、ガイドラインを無視して悪目立ちし、一部コンテンツを炎上、芸能事務所AとJのコンテンツだけ残ればいいという様なマスコミの発言も火に油を注いでいる。一体、何を信じればよいのだろうか――彼女は考え直さなくてはいけなかった。
「これ以上のネット炎上は、物理的な犠牲者も出かねない。それこそ、超有名アイドルのイベントをピンポイントで襲撃するような――」
ARガジェットの軍事運用が禁止されているのは分かっているが、これ以上の放置は別の意味でも超有名アイドルファンに大量破壊兵器を渡しかねない状況になるだろう。そこで、彼女が考えたプランこそ――ふるさと納税の返礼品として受け取った計画書に存在した没案だったのである。
「だからこそ――誰かが、動きださなければいけないのか――」
彼女は改めて思う。自分が行う事は別の勢力が行おうとしている事の便乗かもしれない。しかし、彼らは自分達さえよければ風評被害等の事はお構いなしと考えるだろう。だからこそ、ARゲームだけでなくコンテンツ流通的な意味でも――閉鎖的空間になる前に、先手を打つ必要性があった。
政府が超有名アイドルを神コンテンツと認め、それを利用して――というWEB小説で書かれているような事を、起こす事はリアルウォーを意味しているからである。




