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fantastic knight  作者: 富海清隆
誓いの日
4/4

運命の朝

1年に一度、実りを祝う豊穣祭。

その宴で、ファルカスの乙女は盾を手に入れたのだという。


「悪しき剣は盾によりて」


「滅び、盾は乙女を守る」


「想いあるべき人に手を」


「貸すは乙女の誓いなり」


騎士を目指す少女たちはファルカスの城門を目指して、駆けていく。


遠き昔から伝わる、秘めたる誓いを叶えるために。



-fantastic knight-


-第1部 誓いの日-


濃淡の掛かる空。

その景色が明けていく、朝焼けの平原。


黄金色の穂麦が、風で棚引く。

心地の良い音が、潮騒のように耳を掠める。


この光景が、私は誰よりも好きだった。


「きっと。誰もがもう知っている風景なのかもしれない」


けれど、今この瞬間は私のものであって欲しい。

駆け抜けていく道の途中で、私はそう願った。


運命の朝は、こうして始まりを告げた。



ガス灯に照らされた、城門前の公道へ差し掛かった。

開かれた門の前に並ぶ、無数の踊る影。


祭りの前に出店の支度をする人々や、守衛の近衛兵の姿がおぼろげに映った。

私は試験の行われる広場まで、馬を駅舎に留めるとゆっくりと歩き始めた。


「七つ国の物語には、続きがあるの」

ずっと昔姉さんから、その話を聞いてから。


「神から逃れた空の果て、この大地へまた誰かが現れると考えた人は」

見果てぬアークラウドをたった一つの脅威から護るため。


「盾を手に取り、そして神への感謝と贖罪を兼ねて」

喜びを。そして祈りを胸に秘めながら。


「この大地に破れぬ誓いを立てたのです」

騎士になる夢を私はこの胸に抱いた。



聳える壁があろうとも。

たった一つの誓いを胸に。


私はまた、この場所へと立った。

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