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はりぼて

作者: 藍川 透

 気づいてしまったんだ。

 僕なんかがいくら頑張って明るく振舞っても、人は本能で本物を見分けるんだって。

 僕なんかが、いくら笑っていたって、こんなはりぼての笑顔じゃ誰も見向きもしちゃくれないんだって。

 友達はたくさんできたけど、いつも声をかけるのは自分からで。

 本物の人達を見ると、特に何をしている様子もないのに、いつのまにかたくさんの人が周りに集まっている。

 きっと、違うんだ。内側から溢れ出る輝きが。きらきら光って人を惹き付ける魅力が、本物にはあるんだ。そしてこんな、本物を真似た偽物には、輝きなんてない。

 僕が普通に振舞えば大して友達はできなかった。でも、必死に真似してみたら、びっくりするほど友達が増えたんだ。

 ……友達は、増えたけど……なんでかな。たまにすごく遠く感じるんだ。みんなの目に、僕は写っているようで写っていないような気がするんだ。

 満足だったはずなのに。友達がいっぱいいるこんな毎日が、憧れで望みだったはずなのに。せっかく手に入れたのに、なんでかな。全然満たされないや。

 きっと、気づいてしまったからなんだろうな。僕は偽物で、結局本物には勝てっこないってことに。

 虚しくて、それでもへらへら作り笑いを浮かべてる自分が馬鹿みたいだ。

 そこまでわかっててもやめられないのは、作り笑いでもしてなくちゃ誰も友達でいてくれなくなるんじゃないかって、怖いから。

 もう一人ぼっちは嫌だ。誰も側にいてくれない辛さは、一番知ってるから。

 たとえみんなが見ているのがはりぼての僕でも、誰の目にも本当は写っていなくても、一人ぼっちよりはずっといいんだ。


 だから、今日も僕は今にも剥がれそうな笑顔の仮面を、必死に押さえる。仮面の下で泣きながら、こんなのが本当に僕がほしかったものなの? って自問しながら。


 ……今日も、『笑う』んだ。

ありがとうございました。

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