1/3
0-0 その日までは普通の人
1960年5月2日深夜3時49分、豪雨の中、交差点の真ん中で一人の少年が倒れていた。
腹には、ナイフが刺さっていた
血がだらだら流れている。
通りすがりの人が少年を発見し、救急隊と警察を呼んでくれた。
みんなはよくドラマなどで見るだろう、刺された人が大量に出血しているのを。
そして、大抵その人は死ぬ。
少年も、その通りすがりの人も思っていた。
私は今から【死】をみる、と。
だがその4時間後、つまり7時49分ごろ、少年は元気に学校へ行っていた。なぜなら彼は高校2年生だからである。
彼の名は 青谷 四郎