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第三話

 ――さくらを探しに行こう……。


 いくら待ってもさくらが帰ってこないので、チャコは自分から探しに行くことに決めました。


 さくらを呼びながら町中を歩きました。女の子を見かけると追いかけて顔を覗いてみました。それでもさくらは見つかりませんでした。


 何日も何日も町中を探し続けていたある日、チャコはあの時の黒い車を見つけました。


 ――待って、 待って!


 チャコは走っていく車を必死になって追いかけましたが、どんどん離されてしまいます。


 ――さくら、さくら!


 車が見えなくなってもチャコは走り続けました。でもいくら走っても車は見えず、とうとうチャコは道端に倒れこんでしまいました。


 ――もう少しだったのに……。もうこのままさくらには会えないのかな……。


 ふらふらと立ち上がった時、それはチャコの目に飛び込んできました。

 小さなお店のショウウィンドゥに飾られた大きなお人形。椅子に座った人形は、フワフワの髪も、優しそうな瞳も、まるでさくらのようでした。


 ――やっと見つけた! さくらだ……。きっとそうだ! あんな箱の中で寝ていたから、さくらは人形になっちゃったんだ!


 チャコはショウウィンドゥのガラスに張り付いて、ニャーニャーと人形に呼びかけました。


 ――さくら、さくら、僕だよ!


 でも何度呼びかけても人形は答えてくれません。それでも鳴き続けていると、店のからお爺さんが出てきました。


「どうしたんだい猫さん。その人形が気に入ったのかな?」


 お爺さんはチャコを抱き上げて店の中に入れると、人形の側に連れて行ってくれました。


「この人形はね、私の宝物なんだ。……よかったら友達になってやってくれないかな?」


 お爺さんは悲しそうに微笑むとチャコを人形の膝の上に乗せました。


 ――さくら さくら 僕だよ! 早く起きてよ!


 チャコはすぐに人形のほっぺたを前足で押してみましたが、プニプニだったほっぺたは、硬くてとても冷たくなっていました。

 鼻の頭も舐めました。こっそりと爪をたててもみました。

 それでも人形は人形のままでした。


 チャコはそのまま人形の膝の上で夜まで話し掛け続けました。


「もう遅いから今日はお帰り。また遊びにおいで」


 閉店の時間になり、お爺さんはお店の鍵を閉めると、チャコの頭をなでました。



 それからチャコは毎日お店へやって来て、朝から晩まで人形の膝の上で過ごしました。


 いつかさくらが元に戻る事を信じて……。


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