第一話
茶虎のチャコはさくらが大好きで大好きでたまりません。さくらに貰った青い首輪はチャコの一番の宝物でした。
毎朝さくらを起こすのはチャコの役目でした。ベットに飛び乗ると、まずは前足でさくらのほっぺたをプニプニ。でも、たいていそれだけでは起きないので、次はザラザラした小さな舌でさくらの鼻の頭をペロリと舐めます。
「や〜 チャコつめたい〜」
さくらはすぐに飛び起きるのでしたが、チャコを見るといつも、仕方ないなぁと笑って撫でてくれました。
さくらが学校に行っている間はチャコの嫌いな時間です。一人で遊んでいてもあまり楽しくありません。ぬいぐるみの入った箱に潜り込むと、さくらが帰って来るまでお昼寝です。
さくらが帰って来ると今度はチャコが起こされる番です。
「チャコ、起きて。遊ぼうよ」
さくらはチャコのお腹を指でつんつんします。チャコは本当はすぐに目が覚めるのですが、さくらの指がとても気持ちよくて、わざと寝たふりを続けます。
「そんな箱の中で寝てばかりいると、チャコもぬいぐるみになっちゃうよ」
あごの下をコショコショされると、くすぐったくて耳や尻尾がピクピクしてきて……。チャコは我慢出来なくなって飛び起きるのでした。
毎週木曜日の夜はチャコとさくらの秘密の楽しみがあります。木曜限定販売のメロンパンをさくらが買ってくるのです。
買い食いがばれるとお母さんに怒られるので、夜中に窓際の月明かりで仲良くメロンパンを分けます。
「私メロンパン大好きっ!甘くて、サクサクなのにフワフワで、まんまるで……まるでお月様を食べてるみたい!」
メロンパンを食べるさくらはとても嬉しそうです。
「知ってる?お月様って猫の神様なんだよ。猫はみんな瞳に小さななお月様を持っているでしょう。だからね、満月に祈れば猫の願いを一つだけ叶えてくれるんだって」
さくらはチャコの瞳を見つめて笑いかけました。
――それなら僕はいつまでもさくらと一緒にいたいってお願いしたいな。
今はまだ三日月の空を見上げて、チャコはニャ〜ンと鳴きました。




