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第78.5話 氷の玉座と咲き誇るダリア
【視点:レオンハルト】
一人になったオフィスで、私は椅子に深く身を沈めた。
指先で黒曜石のデスクを叩く。
コツ、コツ、と。
まるで、世界の終わりを刻む秒針のように規則的に。
「今はまだ、それで良い」
私は窓ガラスに映る自分自身の瞳に向かって呟いた。
「惑星企業連合のために、その美貌と才能を存分に使ってくれ。ルーナ・ルビントン」
優秀だが、野心家で、飼い主の手を噛もうとする気配を隠そうともしない女。
自分がプレイヤーだと思っているようだが、可愛いものだ。
その野心さえも、私の盤上では計算済みのスパイスに過ぎない。
「『ダリアの花』が、枯れる前に」
私の口元に、どこか満足げな、そして氷のように冷たい笑みが浮かんだ。
盤面は既に完成している。
誰にも知られることのない計画は、静かに、着実に、星々の運命を蝕むように進行していた。
アヴァロンの玉座は、今日も冷たく、そして心地よいほどに孤独だった。




