表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/44

幕間 稲妻と狂気、玉座の独白 アルベルト王子

※【視点:アルベルト】

【コンドル王宮・玉座の間】


ドオォォン……!


窓の外で、下品な雷鳴が轟いている。


まるで、私の焦燥をあざ笑うかのように。


陰鬱な空気が漂う玉座の間。


重臣たちの怯えた視線。


湿った沈黙。


すべてが不愉快だ。


すべてが、私の神経を逆撫でする。


「なんたる失態か! ガルム司令官! 一体、どういうことだ!? 説明しろ!!」


私は玉座から身を乗り出し、激しい怒りと共に問い詰めた。


顔が熱い。


血が逆流しているのが分かる。


玉座の肘掛けを握る指に力が入りすぎて、爪が食い込み、ギシリと悲鳴を上げた。


「申し訳ございません、アルベルト王子殿下」


眼下に控えるコンドル王国軍総司令、ガルムは深々と頭を垂れた。


「お預かりした『積み荷』を搭載した本命の輸送艦隊が、コンドル星系離脱直後、反体制派の艦隊の奇襲を受けました。……積み荷は、奪取されたものと」


淡々とした報告。


その顔には、悔恨の色など微塵もない。


まるで、他人事のように。


……貴様、笑っているのか?


疑念が脳裏をよぎる。


こいつは、私の失敗を楽しんでいるのではないか?


「反体制派は、だと!?」


私は獣のような咆哮を上げた。


「はっ。クラウス卿の報告によれば、敵は未知の高性能スペースロボットと、強力なフォワード能力者を使用。さらに……コスモノイド解放戦線も関与している可能性が」


「コスモノイドだと!? あの下等な寄生虫どもがか!?」


吐き気がした。


あの薄汚い、遺伝子を弄くり回された紛い物どもが、この私の崇高な計画を邪魔したというのか?


「いや、奴らごときに何ができる! ならば、アンドロメダ正教会か!? あの偽善者どもめ! 神の愛を説きながら、この『選ばれし私』に歯向かうというのか!?」


視界が歪む。


どいつもこいつも、私を陥れようとしている。


私の破滅を望み、私の王冠を狙うハイエナどもめ。


「アルベルト王子殿下! どうか、お気を確かに!」


側近の老将が震える声で諌めてくる。


うるさい、うるさい、うるさい!


「分かっておるわ!!」


私は老将の言葉を遮り、金切り声で叫んだ。


「私の計画を……リリーナ姉さんとの『約束』を邪魔する者は、誰であろうと絶対に許さん! 八つ裂きにしてくれるわ!!」


私は再び玉座に深く身を沈めた。


呼吸が荒い。


心臓が早鐘を打っている。


知らず知らずのうちに、右手の親指の爪を噛んでいた。


ガリッ、という硬質な音。


口の中に広がる鉄錆の味。


ああ、姉さん……リリーナ姉さん……


思考の海に、最愛の姉の笑顔が浮かぶ。


彼女だけだ。


この世界で、私を本当に理解してくれるのは。


必ず、取り戻してみせます。貴女は私のものだ。誰にも渡さない


爪を噛み砕く。


痛みなど感じない。


あるのは、邪魔者たちへのどす黒い殺意と、姉への狂おしいほどの愛だけ。


「見ていろ……必ず、この屈辱は晴らす。銀河を血の海に変えてでもな……!」


雷光が、私の歪んだ笑顔を一瞬だけ照らし出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ