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昼下がり  作者: 磯目かずま
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カウンセリング

 不健康な自分にサヨナラする可能性があると気づいてわたしはキーボードを叩く。

 いや、そんなに人格が変わるなんてことはないことだって気づいているが。

 人生初のカウンセリングへGO!いやまだ、薬も何も貰わないんだから、何にも変わんないし、話聞いてもらうだけだからね。

 でも話を聞いてもらって人格が変わったり考え方が変わったらどうするの?いやそれはいいことじゃん?何を気にする必要がある?

 だって、わたしがわたしではなくなってしまうんじゃないかって。今、ここにいるわたしが。

 いや、たとえ変わったとしても、あなたはあなたでしかいられないのだから何も気に病むことはない。むしろこの世界からおさらばして別人のように生きられるのならば本望では?生きながらにして転生できるよ。

 自分のことが嫌いなのか好きなのかもわからないし、変化を嫌って変化のないことを嫌うのが人間なのだから、それも仕方のないことだ。

 世界は移り変わる、自分も移り変わる。ただそれだけなんだ。それなのだから、自分の考え方や生き方が変わるのも当然だ。

 でも自分は自分でしかいられないの?なんで?

 そういうものだからだ。そして、それは自分で作り出したものだ。

 そうなの?ああ。そうだ。この世に数多ある実験結果を見てみろ。わたしというものがいかに不明瞭なものか。そして他者というものが。

 そうなんだ。そんなの痛いモチーフとして消費されるだけのペルソナじゃなかったんだね。

 ああ。そして、わたしが上手く形成されなかったり、分裂したりグニャグニャになったら病気だと言われるんだな。

 そっか。じゃああなたがここにいることも病気の一種なのかな。

 そうだな、おまえがここにいることもな。どっちもどっちさ。

 じゃあ、健康になったらあなたに会えなくなるのかな。

 そうだな、お前とわたしは一体になって、健康な世界のわたしとなって幸せに暮らすだろう。

 そうなんだ、なんだか寂しいね。

 何、問題ないさ。完全に消滅するわけじゃないし、言ったろう、すべては移り変わりつつも、同じものがあるんだって。それがいいことなんだって。

 そっか。じゃあ、いなくなったりしないんだね。消えたりしないんだね。

 ああ。大丈夫だ。どこにも行ったりしないよ。

 よかった。また一緒にお話ししようね、約束だよ。

 ああ。また一緒に、な。

 バイバイ、バイバイ、また逢う日まで。

 何を今生の別れみたいに。どうせすぐに逢うんだから。気をつけて還れよ。

 わかった。あなたもね。

 そうしてわたしたちはそれぞれの場所に還っていく。いつか巡り合うことを信じて。心のぐるぐるへ。

 そろそろ時間だな。どれ、在宅勤務の途中にしれっと病院行ってこよっと。

 わたしは今日も元気です。

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