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昼下がり  作者: 磯目かずま
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世界の赤さについて

 わたしはたまに絵も描くのだが、たいてい下地を赤く塗って、そこから描き始めることが多い。赤といってもライトレッドとかの鉄系の色か、バーントシェンナとかの土系の色である。

 こうすると大概のものは描きやすいからこうしているのだが、なんでそうなっているのかよく考えたことはなかった。


 思いつくものを挙げてみると、まず地面というものは赤いのではないかということがある。関東ローム層とかに親しんでいるからそんなことを思うのかもしれないが、火山灰系の土は何となく赤いイメージがある。

 また、朽ちたものは基本赤いのではないかということもある。落ち葉や錆、腐ったものはことごとく赤くなる。そして、朽ちたものは基本的に土に還っていく傾向にあるから土との共通項をもっている。


 そして、赤というのは緑の補色である。風景を描くときはたいてい緑、植物を描くことになるが、赤を地にしているときは緑をいい感じに調和させる役割があるので描きやすくなる。


 赤は「下」にいる色だということができる。土は基本下にいるし、朽ちたものも下にあるイメージである。さらに、人間や動物では血が皮膚の下にある。もっというと地球は内部にマントルがあるのでそれも下にある赤だといえるだろう。


 同様にして赤は波長が長いことから遠さを表している。夕焼けが赤くなるのは遠くまで赤い光が届くからだ。だから何だというわけではないが、波長が長いほうから短いほうへと書き進めていくという発想でいくと、逆空気遠近法みたいになるのかもしれないが、時間感覚としてはその重ね方でもいいのではないかと思われる。


 黄色を下地にすることもあるが、その場合は中間的な波長であることから、両サイドへと色が進行していくことができるという利点があるのだと思う。


 一瞬、深海魚が赤いのも何か関係があるかと思ったが、それは海が赤を吸収してしまうという話だったので、うまく関連を見出せなかった。


 以上のことを総合して考えると、赤を下に塗る理由としては「ここが地球だから」という答えが一番適切だと思う。なぜならまずもって地球の気象条件が上記の環境を作り出しているからだ。夕焼けは火星だと青いと聞いたこともある。

 そして、人間の光の見え方によって赤というものは存在しているし、その人間的な合理性によって赤は絵画に塗られているのである。これもいってみれば地球の産物であろう。


 なぜこんなことを考えているのかって?それはきっと、茜色の夕日に包まれながら世界の理について考えることが、とても幸せだからだ。

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