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昼下がり  作者: 磯目かずま
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議事録作成

 わたしは月一の定例会議の議事録を作成する係になっている。だいたい17時から19時までの2時間の内容をA4何枚かにまとめるものだ。

 わたしは会議の内容には口出ししない立場なので、会議中は黙ってメモをとっている。議題に合わせて誰が何を話したのか、後から追えるようにしている。

 ボイスレコーダーなどで録音をするのは面倒なのでしていない。そもそも、議事録にそこまでのものが求められていない。言質をとらなければならないような内容であれば、偉い人が勝手にペンに仕込まれたタイプのレコーダーを持ち出して録音しているだろうから、わたしにとってはどうでもいいことなのだ。


 わたしは簡潔を旨としているので、ついついどうでもいい内容をカットしてシンプルな文面にしてA4で2枚くらいに収めたくなってしまう。しかし、それでは誰が何を話したのかわからないし結果だけでなく過程を書け、といわれてしぶしぶ事細かにログを書きこむ。

 わたしの頭の中は文章量にするとおおよそ7000文字くらいのものがサーっと通り過ぎていく。これをわたしは速記で3000文字くらいにメモをして、あとで議題と合わせて5000文字くらいの議事録にまとめる。

 どうでもいい文章というのは実に苦も無くすらすらと頭を通り過ぎるので、わたしにとっては別に何の苦でもないからこれを引き受けている。むしろ、こういう文章仕事でもなければ仕事に貢献できないからこのくらいはやっておかないとポイントも稼げない。

 気を付けておかなければならないのは数字や固有名詞である。それ以外は適当でも意味が通れば問題ないので、解釈違いにだけ気を付けておけばよい。


 そうしてわたしは会議が終わった次の日の午前中にすぐ議事録を終わらせて、同僚にチェックしてもらいそれを上司に送付する。

 そうすると気分がそこそこ楽になるので、昼にカレーを食べてコーヒーを飲んで、今こうして文章を書いていたりするのである。

 たいがい会議の後というのは忙しい人は余計に忙しくなるが、全然関係ない人はむしろ気が抜けてのんびりとしてしまうので、暇を持て余すには最適である。

 年末は予算の作成とか清算とかもろもろ忙しいのだが、わたしは決定的なところに何も関わっていないので、ほとんど傍観者としているだけである。何にも主体的に関わっていないから、上司に主体的にやれと怒られるのだが、自分は最低限のことだけをやることに終始して、やらかさないようにということだけ気を付けていればいいのだ。


 わたしは議事録を書いているとき、今日もどこかで同じように議事録を書いている人のことを考えていた。議事録ならまだいいにしても、さらに月報とか週報、果てには日報まで出せと言われている人もいるだろう。

 そんな後ろ向きの無味乾燥な文章を積み上げて何の意味があるのだろうと思いながら、でも自分の文章も似たようなものかとも思う。

 こんなことするなら資格の勉強とか副業の一つや二つやれればいいのにな。とりあえず、今日は帰ったらオロナミンCでも飲んですぐ風呂に入って寝よう。

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