テンプレな死に方
処女作です。なかなか自分の好みな作品が見つけられないのでなんなら書いてしまえというノリでやっていきます。語彙力ガバガバなので変なところもありますが良かったら楽しんでいってください。
早く自宅に帰って推しのブイチューバーの配信が見たい。
毎朝6時からの「クソザコ」が口癖のVの配信、ASMRで有名なあのVの夜の配信を糧にしている三雲雫は冬空を横目に、プログラムを打ち込んでいく。
自作PCを組むほどパソコンが好きだからという安易な考えでプログラマーになる為に情報技術科がある高校を卒業後、IT業界でそこそこの名が通る企業に就職した。
フレックスタイム制を採用していてオフィスはまばらに社員がいる。そう言う私も早めに出勤しているのであと数十分で就業時間が終わる。
「お先に失礼します~」
隣の席の同僚に声を掛けた、彼の名前は山本でコミケにも行くオタク仲間だ。
「そう言えば、今日新刊の発売日だったなあ。散財し過ぎるなよ」
返事をする代わりに奴の肩を叩いてから、職場を後にした。
最寄り駅から7駅ほど電車に揺られながら帰路に就く。駅を出た後近くの大型書店で漫画とライトノベルの新刊を15冊ほど購入してから、10分近く歩いた。
マンションのエントランスを抜けてエレベーターのボタンを押し、ドアが開いた。お隣さんがいた。手入れの入った絹のようなロングヘアと若干つり目で容姿端麗な彼女の名前は中村さんだ、ちょくちょくおすそ分けを貰っていて気があるのではというオタク的思考を隅に置いて挨拶をした。
「こんばんは、何処かへお出かけですか?」
中村さんが苦笑いしながら
「三雲君、ちょっとお酒が切らしてて、そこのコンビニまでね、、」
見かけによらず彼女は酒豪で以前宅飲みした時も先に自分が潰れてしまった。
「それじゃまたあとでね、また作り過ぎちゃったからおすそ分けあるわよ」
内心ガッツポーズをしながら中村さんに礼をして玄関のドアに着いた。重い紙袋に気を付けてながら鍵を開け中に入り、PCの電源をつけてからスーツを片付けた。
紅茶を淹れながら新刊を読もうとしたが砂糖を切らしているのを忘れていたのでコンビニまで行くことにし、財布とスマホそしてコートを羽織ってマンションを出た。
雪が降っているので肌を刺すような寒さだ、紅茶にラム酒でも入れようかなと思いながら大通りに出た。
大通りはクリスマス一色になっている、寒いので早くコンビニに入ると中村さんはつまみコーナー辺りにいた。砂糖とラム酒を手に中村さんに声を掛けた。
「中村さん会計終わったら荷物持ちますよ?」
「ありがとう三雲君すぐに会計してくるわ。」
彼女はそう告げてレジへ向かった。
少しして自動ドアから出てきたので彼女の荷物も持ちながらマンションに向かった。
「三雲君クリスマス空いてる?良かったらご飯食べに行かない?」
中村さんからクリスマスのお誘いがキター!?と彼女いない歴イコール年齢の私は平然を装いながら。
「無いですね。家でくつろごうと思ってましたけど絶対に行かせてください!」
「良かったわ、断られるかと思ってたの。家の年代物のワイン開けようかしら?」
実質リア充なのではと考えながら交差点で信号待ちをしていると、スリップしながら突っ込んでくるトラックが見えた咄嗟に中村さんを庇うようにトラックを背に抱きしめた。
次の瞬間体中から激痛が走った、痛い、燃えるように体が熱いそれをこらえて起き上がろうとしたが力が入らない辛うじて顔だげ動かしてみると中村さんが走って近づいてきた、良かった彼女は生きてる。
「三雲君私を庇ってくれてありがとう、あの時怖くて体がこわばって動けなかったけど君のおかげで助かったの。だから死なないで、一緒にクリスマス過ごしましょう!すぐに救急車が来るから!」
中村さんの必死な声を聞きながら私は死を悟った。最後にこの言葉だけは伝えなければと。
「中村さん、、実は、あな、たのことが好きでし、た。最、後に夢を、見させ、、てくれてありが、とう。」
中村さんが泣きながら笑った
「なんで今そんなこと言うの!私も好きよ、だから死ぬようなこと言わないで!あと少しよ」
まじかー両想いだったのか、そんなことを思いながら彼女の頬を血だらけの手で撫でる。
痛みを感じなくなってきた、周りの喧騒がサイレン音が遠のいていく彼女が何か叫んでいるがもうほとんど聞こえない。
体が温かい何かに包まれたような気がした、中村さんとの記憶を思い出す。楽しかったな。新刊読んでないし、パソコンのフォルダどうしよう。フィギュアもそのままだし冬コミ行きたかったなと思いながら意識を手放した。
感想を貰えたら作者が泣いて喜びます。