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ギルドカードの謎

今、センは宿屋のベットの上で寝転がりながら

ギルドカードを穴が開くほど見つめていた。



 【 名 前 】 「柏木 千」カシ=セン

 【 年 齢 】 27

 【 性 別 】 男性

 【 種 族 】 異世界人

 【 職 業 】 ボール

 【 レベル 】 1

 【 H  P 】 8

 【 M  P 】 4

 【 攻撃力 】 1

 【 防御力 】 1

 【 知 力 】 2

 【 素早さ 】 1

 【 スキル 】 なし

 

【 ユニークスキル 】季節感、倉庫



うーん。


コレ間違いじゃないよな。




何度見ても王宮でみたのとは違う表示がある。



違う点としては、

名前が『本名も書かれている』点。

種族が『人間』→『異世界人』へと人間をやめた?点。

『ユニークスキル』なるものが書かれている点。



。。。



そして、

『職業がなし』→『ボールになった』点。


どうやら今日から俺はボールに就任したらしい。

「ボールチーフの元で働かせて頂けるなんて私幸せです」感極まる新人女性が言う。

「いやいや、何の何の」と手を振る。



いや、中々愉快な女性ではないか。



ふーーとため息を吐いたのち

「おいっボールってなんだよ。ボールって。」


あれか、よく料理に使うボールのことか。

ふと、こっちに来る前に目にした空を浮かぶボールを思いだす。





うーん。

でもボールっていう職業が

この世界にあるということもあるだろうしな。



この辺は話してもよさそうなら、誰かに聞いてみよう。





『異世界人』や『本名』が掲載されている点から、

これは王宮では掲載されていなかったことは

あまり人にしゃべらない方が良いかもしれないなあ。

と思った。



ただでさえ、今ここがどこかもわからない以上、

無暗にわが身を危険にさらす必要はないと感じた。




さて、


最後の『ユニークスキル』これはなんだ。

名前からしてとてもユニークである。



王宮も普通のスキルですら何やら騒いでいたし

ユニークが付属されたスキルなら価値はありそうである。



項目は『季節感』『倉庫』


『倉庫』はおそらく物とかを入れる場所っぽいのは名前でわかるけど。

『季節感』の方は全くわからないなぁー。




このスキルどうにかして詳しくわからないものだろうか。と思い



ギルドカードを手でなぞってみたり、タップしたり、横にスワイプしたりしてみた。


当然、歯でかじってみたり、頭に乗っけて「バランスめっちゃいいじゃん!」とか

近くの花瓶に「何か知ってる」と聞いてみたことは内緒だ。





。。。が






反応はなし。






「おーーいっ!反応なしかい!?」

そこは何かしろの変化があるべきではないでしょうか。




うーーむ。

元々詳細を見ることはできないのかな?

と思いながら



『倉庫』の欄を何気なく見ると。

倉庫の文字を囲っている四角いところが二重になっている。

よく観察しないとわからないほどだ。




「ん。」




「何だこれ。」



重なっているところを注意深く押す。




すると画面に別の文字が出てきた。




「おおーーー。やっぱりあるんじゃないの!」

冗談交じりに、これに気付く俺は天才だなっフフと思いながら


得意気に画面を見る。




そこには





『桜の和菓子』



。。。




と書かれていた。


「あれ?」



「これって確かこっちに来る前に作ったものじゃなかったっけ!?」



こっちに召喚されたときに手に持っていたはずの和菓子がなかったから

どこかで落としたのだろうと思っていたが



まさか、倉庫に保管されていようとは!?


そして、つい

『え、この倉庫温度はどうなんだろうか。』

『カビとか生えないよな?』そこは和菓子職人の心がちょっぴり出てくる。







そんなことを考えながら

『桜の和菓子』の画面もタップしてみる







・・・



すると突然




目の前の空間から縦横無人に光があふれだしてきた。


普通の光ではなく淡くピンク色に染まった光だ。

そして、何処からともなく風と共に桜の花びらも舞いだした。

何やら音楽もかかってきたようだ。踊りたくなる。





驚きながら光があふれる空間にそっと手を伸ばす。




すると、パッっと音を立て、

始まりと同じく急に光は消えた。



伸ばした手の中には紛れもなく

ここに来る前に作った和菓子があった。





。。。





。。。






急のことでしばらく放心しながら、

和菓子と睨めっこしていた。



睨めっこしても和菓子に勝てることはないだろう。

和菓子が窓際の夕焼けに照らされる。





するとどこからともなく声がした。




「いいものを持っているな」





ハッと我に返る、




注意深くあたりを見回し声の主を探す。

すでに大量に舞っていたはずの桜は消えていた。




窓から下の通りに人はいない

まして、宿屋の一室である

自分以外にいるはずがない。



『誰だ!?』


『え、まさか和菓子おまえか?』

心の中で思うと同時にセンの体が宙に浮いた。






そのまま部屋の窓を抜け、夕焼けの空へと引っ張られるように










センは天空へと昇っていった。







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