《ステータスなるもの》
「ステータスとは、自分の全てが集約されたものだ、
自分の体力や魔力だけでなく、自分の能力も含まれる」
「それを見るには『ステータスプレート』というものがあり
これを使って基本的には確認をする」
騎士団長が偉そうに説明を続けた。
「ただし、勇者が召喚された場合。。。
君たちが召喚された場合だが、
これは特殊なケースとなり、『普通のステータスプレート』ではなく
『聖剣により生成されるステータスプレート』を使う、
先程の儀式は真の勇者の選定だけでなくステータスプレートを生成するための儀式でもある。」
そう言って説明を終えた。
「さて、実際にどのようなものか見てみよう。
全員どちらか利き腕に力を入れて『オープン』と叫ぶように」
大広間に『オープン』という声が聞こえる。
俺もダメだとはわかっているが
一応唱えてみる。
『オープン』
。。。
。。。
。。。俺何中二病やってるんだろう。
。。。誰か突っ込んでくれ。
ボケのみじゃ虚しいだろ。
そこの衛兵こっちを見て首を振るのはやめい。
まあ、でもこれはこれでボケとなるからいいか。
よし、OK。
うん、案の定何も変化はなかった。
ステータスそっちのけでボケを考えていると
騎士団長が魔術師のような風貌をお供にして声をかけて来た。
魔術師は薄気味の悪いフードを被っている。
「残念ながら君は。。。あー。。どうやら聖剣には選ばれなかったようだ、
ただ、聖剣に選ばれなかっただけで、ステータスが高い可能性もある。うん。」
何かに納得するかのように大きくゆっくり頷く。
理解していないと思ったのか。
ゆっくりと、赤ちゃんに言葉を教えるようにゆっくりと言葉を続ける。
「そこで、君については鑑定を行う。通常のステータスプレートの発行には丸一日かかるため、今回はこちらの鑑定士に見てもらうことにする」
とことん失礼な奴だなぁ。。。
鑑定士が音もなく、前にすっと出てくる
「よろしく」
しわがれた声でそう言った。
何でも自分のステータスは自分で容易に見ることができるが、
相手のステータスを見るには相当な熟練した鑑定士でないと見ることができないとのこと。
それこそ、人生をかけて極めるのだとか。
また、鑑定士のレベルによっては相手の見える範囲が違うらしい。
ちなみに歴代の凄腕の鑑定士でさえ異世界人のステータスはとても特殊で見ることは困難だとのこと。
え。困難なのに俺は鑑定士に鑑定さるの!?
それって、相当低いステータスって思ってるってことだよね。
うん。まぁ、いいけど。
「おおーーーー 流石ーーーー。」
追い打ちをかけるかのように歓声が響く。
ザワザワした声の中にはあの5人組がいた。
どうやら、すごい何かがでたらしい。
「いやーー流石『真』の勇者様、レベル1で攻撃力100以上とは」
「おおー、こっちの『真』の勇者は知力が100超えだーー!」
周りの衛兵たちが口々に驚きの声を上げている。
わざわざ『真』と大きい声で叫んで頂き
誠にありがとうございます。
「さて、では我々も鑑定に移ろうか」
鑑定士の声ではっと我にかえる。
「ええ。お願いします。」
すると鑑定士が何やら呪文のようなものを唱えると
近くの空間に半透明の長方形な画面がでてきた。
【 名 前 】 カシ=セン
【 年 齢 】 27
【 性 別 】 男性
【 種 族 】 人間
【 職 業 】 なし
【 レベル 】 1
【 H P 】 8
【 M P 】 4
【 攻撃力 】 1
【 防御力 】 1
【 知 力 】 2
【 素早さ 】 1
【 スキル 】 なし
「「「。。。」」」
一同、深い沈黙が包まれた。
いや、想像はしてたけど。
これは酷いんじゃないか。
向こう側の異世界人はステータスに100以上とか言ってなかった?
しかも、スキルもなにもなし。
異世界から来たんなら、少しくらい特典あってもいいんじゃないかなぁ。
まったくもって普通の人じゃん。
普通っていうより最弱じゃん。
。。。挙句の果てに名前略されてるし、『カシ=セン』って何
菓子=千みたいになってんじゃん。
俺お菓子と同意義!?
マジか~~~。
芸人の名前じゃないんだからさ。
こんなところに笑いはいらないよ。
いやいやっと
衛兵ばりに首を振ってあげるしかなかった。
*ここから主人公の名前が『千』から『セン』になります。