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《いよいよ聖剣の勇者へ!》

 皆よく不安もなくこの階段降りたな。


 千の眼下に赤い階段に加え

 古ぼけた聖剣が見える。



 地面から低いところにあるせいか、

 聖剣のある場所は全体的に少し暗いようなイメージがある空間だ。



 聖剣を抜いた全員が仕掛け人か何かで、

 下についたら床がなくなるとかじゃないよな。

 そう思いながら聖剣を見つめる。




「あれを引き抜けば良いんですか?」


 不安からそばにいる騎士団長と名乗る男に

 確かめずにはいられなかった。



 そもそも

 ここが異世界である保証もない。



 罠かどうかも分からない怪しいところには自ら行くことはできない。



「あの、私召喚されたときに頭が痛くてあまり話を聞けなかったのですが

 ここが異世界という証拠か何かはありますか。」



「ん。!?お前王様の魔法を見なかったのか!?」

 そう言って。しばらくすると納得したように



「ああ。お前は少しあとから到着したんだったな。まぁいいだろう・・」




 そう言うといきなり天井に手をかざして唱えた。



「ファイヤー」


 手から火が出てきた。




 おおおーーー

 衛兵たちが叫ぶ



 ヒューーと

 口笛を吹くものもいる。



「ま、こんなもんだ。お前たちの世界では魔法が使えないのだろう?」

 騎士団長が得意気に笑う。




 うーん。マジックか何かじゃないだろうか?

 火を出すくらいだったら何とかできそうだしなぁ。


 そんなことを考えていると。


「とにかくいいから、さっさと行け!」

 不意に騎士団長が背中を力強く押した。




 成すすべなく千は階段下の聖剣の場所まで落とされてしまった。



 乱暴だなぁーと思いながら腰をさする

 ここまで来たら仕方がない。



 仮に何かの罠だとしても武器になりそうなものは必要だし、

 とりあえず抜いておくか。



 よし。

 そう思い聖剣に目を向けた。



 確かに古い剣だ。



 所々刃こぼれしている他、全体的に茶色がかっていて。

 とても聖剣とは思えない。

 使い古した園芸用のスコップのような色合いだ。



 ただ、

 近くに来て見て初めてわかったが、

 持ち手の所に竜のような模様が刻まれており。

 それは、綺麗だなと思った。




 ゆっくりと手を伸ばし聖剣を握った。




「よし、抜くぞ」




 意を決して思いっきり片手で剣を引き抜いた。

 高々と剣を空に掲げた。。。



 。。と思ったが

 そこにあるのは剣ではなく

 すっぽ抜けて何も持っていない手だった。




 広間全体に何とも言えない空気が走る。




 。。。






 。。。





 これは恥ずかしい


 少し顔を赤らめる。





 きっと握りが浅かったのだろう。

 今度は両手で握り力を込めて見る。




 しかし、剣はびくともしない。




「ん!?」

 重っも。





 いやいや。大丈夫だ。




 うん。

 大丈夫。




 徐々に焦燥感が募っていく。


 焦るな腰を入れれば大丈夫だ。

 両足に力を込めて引き抜く。




 剣は抜けるどころか動く気配さえない。





 あれ?

 皆、簡単に抜いてたよな。







 それから、数分あれこれ色々な方法を試してみるが。

 抜ける気配は感じられなかった。






 汗だくになりながら。

 はぁっはぁっ


 という自分の声が

 シーンとした大広間に響く。



 肩にポンッと手が置かれたと思うと。

 騎士団長が首を横に振りながらそこに立っていた。


 そして来た時と同じように成すがまま、

 騎士団長に連れられ階段を上った。




 辺りには張り詰めた静寂が漂っていた。

 そこにいる全ての人の視線が自分に注いでいるのを感じる。




 その静寂の中、何やらボソボソと話し声が聞こえる。

 異世界から召喚されたと思われる5人も何やら話ている




 千は召喚の時の埃とボロボロの服で(おまけに眼鏡は割れているという)

 惨めすぎる格好で一人立っていた。



 あれっ。


 俺何か悪いことしたっけ。

 何かの罰ゲームかようになってるんだけど。






 いつの間にか隣にいた騎士団長は王様のそばにいて何やら耳打ちしている。

 そして話が終わったのか戻ってきた騎士団長は言った。




「皆、良くやった。若干例外も確認されたがほぼ全員勇者であることは間違いないようだ」



 そしてそっとこちらを見ると


「まぁ、人生は長いこのようなこともある。うん。。。挫けないように」

 悲壮な顔でこちらを見る。



「さて、勇者に選ばれたということは皆特殊な方法でステータスというものを見ることができる








 ステータスか。。。



 そんなものもあるのか。



先程のことで

中途半端に話を聞きながら千は考えた。







 *次回はステータス編です。聖剣が抜けなくても、恥ずかしくても、ボロボロでも、どんな状況でも前向きで、あきらめない千を描いてきます。


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