《召喚完了!?》
目が回る。
それもそのはず、
千は方向など分からない不思議な空間で揉みくちゃにされたのだ。
しかも高速回転というオマケつきで!
そんなわけだからして
目が回るのも当然だろう。
これ、いつまで続くんだろう。。。
と考えていると
ガツンッ!
回転は急に止まり
いきなり顔面に何か固いものがあたった。
イッっ!
目から火花が散る。
何事かと、ぼやける視界と手探りで状況を確認しようとする。
どうやら固い大理石のようなものにぶつかったらしい。
調理器具に使われているかのような固く冷たい触感がそんなことを連想させた。
すでに取れかかっていた眼鏡をかけなおす。
あ。眼鏡割れてるなこれ。
痛む頭を押さえながら、
誰に怒りをぶつけたらいいのかわからない。
あの何とも戻眼かしい気持ちでレンズをなぞる。
ばやけた視界でも薄っすらとヒビ割れが見える。
すると、
ふいに後ろから声がした。
「おお、異世界の勇者よよくぞ来た。」
人がいるとは思わなかったので
びっくりして急いで振り向くと
何やら上空2メートルの所当たりにやたらと輪郭がピカピカ光輝くものがいた。
クリスマスツリー!?
凝視したまま思わず後ろに後ずさる。
幾度か瞬きをして、慣れてきた視界でピカピカするものを確認する。
それは未確認飛行物体ではなかった。
でっぷりと太った人が椅子に座っていた。
光っていたのはどうやら貴金属や宝石の類だったようだ。
金刺繍が光る赤いベストに、ふくよかな髭が印象的だ。
頭には王冠のような金色の尖ったものを付けている。
浮かんでいるように感じたのは階段があり
どうやら階段部分がぼやけてみえなかったようだ。
床には高級そうな厚手の絨毯が太っちょの周りに敷き詰められていた。
おまえは動く電飾か!
サンタか!!
せっかくなので
先程の怒りを心の中でぶつけてあげることにした。
召喚と同時に顔面から床に突っ込んで、おまけに眼鏡も割れて
少しはこっちの心配もしてほしいものだと
ちょっと頭にきながら心で突っ込んだ
高圧的な口調だな。
なんか王様っぽい人だなと思っていると。
太っちょから自己紹介があった。
「よく来た。異世界人たちよ。お主達は召喚された。」
聞こえていないと思ったのか
2度目の召喚宣言が入った。
「そして召喚したの我だ!」
のっそりと立ち上がりながら、話を続ける
「我はリク=ドンゴ王国の王である。お主たちが召喚されたのは他でもない
お主たちに魔王を倒してもらいたい、そのために禁呪を使ってこちらへ呼び寄せた・・・」
王様の話は長かったので掻い摘んで話すと
どうやら近々未曽有の災害があるとの古くからの予言があったとのこと、
おそらくそれは魔王が復活するのではないだろうかとの意見があり、
魔王に唯一対抗できる聖剣を持つことができる異世界の勇者を召喚したとのこと。
フムフム。なるほどねぇー
。
。
。。
。。。
ん!?、今、異世界っていった?!!